放送を語る会

20121127

NHK会長 松本正之 様
NHK
放送総局長 石田研一様

NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
共同代表 湯山哲守・醍醐聰

総選挙にあたって争点提示型の公平な放送を要望します

 当会は日頃より、NHKが公共放送の充実のためにどのように尽力されているかを注視しています。
 このたび当会は、124日告示、16日投票という日程が迫ってきた衆議院選挙に関連するNHKの放送について以下のような申し入れをいたします。有権者が賢明な1票を行使するのに資するための判断材料を提供するという公共放送の使命に照らして、私どもの申し入れを真摯に受け止め、番組制作に反映してくださるよう要望します。

1.政党の離合集散を追う政局報道ではなく政策本位の争点提示型報道を 今回の衆議院総選挙は原発問題、TPP交渉への参加問題、社会保障改革と消費税増税問題、沖縄を始め全国に配備された米軍基地の安全性、日米地位協定をめぐる問題など、国民にとって死活の課題の方向性を問う極めて重要な選挙です。そこで、有権者が表面的な話題性に流されず、各党の公約を熟知して政策本位で1票を投じることができるよう、上記の各重要課題に関して各政党の政策及びその異同をわかりやすく伝えていただくよう要望します。
 その際、特に強調したいのは各党が掲げた公約を単に紹介するだけでは不十分だという点です。各党の公約には、文面を読んだだけでは不明確な点や日ごと週ごとに転変する曖昧模糊とした点があります。それだけに、こうしたあいまいさを質す調査・取材を交えた番組制作が必要です。特に、今回の総選挙にあたって、いくつかの政党が「合流」を急ぐ余りに重要政策の不一致を「小異」と称してうやむやにした点が少なくありません。過去の政権与党が掲げた公約とその後の実際の政策に重要な齟齬が生じ、それが有権者の政治不信、政治離れの原因になりました。こうした愚を繰り返さないためにも、NHKが重要政策をめぐる各党の争点を明確にする主体的な番組制作に注力されるよう強く要望します。

2.既存の大政党の動静に過度に焦点を当てた報道を戒めること
 
最近のNHKの選挙関連放送(ニュース番組や選挙関連の討論会、報道番組など)を見ますと、民放や全国紙と同様、「三つ巴の争い」と称して、民主党・自民党・いわゆる「第三極」の動静、離合集散に焦点を当てた政局報道に大半の時間が当てられています。こうした放送が繰り返されますと、選挙をめぐる話題が既存の大政党に集中し、有権者の関心をこれら既存の大政党に偏重させ、他の野党の主張、政策に関する有権者の関心、知る権利を阻害することになります。選挙にあたっては、国会での既存の議席数分布を固定化せず、どの政党の政策、公約も対等に扱うことが原則です。
 しかも、3つの大政党とはいっても、上記の重要政策をめぐる3党の政策はそれこそ「小異」といってよいほど近似しています。また、既存の大政党とはいってもNHKが行った直近の世論調査(1126日放送)によりますと、回答者の35.4%が「特に支持する政党なし」でもっとも高い割合を占めています。こうした事実も銘記され、既存の大政党の動静に過度に焦点を当てた報道を戒めて、公平な選挙関連放送に徹していただくよう、強く要望します。

                                        以上