放送を語る会

2007年11月17日

NHK次期会長の選出に際し、視聴者に開かれた論議を求めます
                                            

                                       放送を語る会

 NHKの一連の不祥事などで辞任した海老沢前会長の後任、橋本現会長の任期が来年1月末で切れます。
「新生」と「改革」、視聴者第一主義を掲げるNHKの次期会長選出は、公共放送の今後に影響を与えるだけに、私たち視聴者・市民は関心を持たざるを得ません。
 放送法二十七条によれば、NHK会長は経営委員会が任命することになっていますが、歴代の会長人選に当たって、政府・自民党の意向が強く働いてきた経緯は周知の事実です。
 また、来年に予定されるNHK次期会長の選出についても、受信料の値下げを巡る菅前総務相の言動や、安倍前首相に近い古森重隆委員長を中心とする経営委員会の最近の動向などから見て、政府・自民党の意向が絡まないか、強く危惧するものです。

 公共放送の会長人事が、受信料を支払う主権者である視聴者・市民の目の届かないところで決められるとすれば、由由しきことと言わねばなりません。
 現在、英国や韓国などの先進国で、公共放送の会長の公募制が実施されており、日本でも、現行放送法の枠内で、NHK経営委員会自身が決断すれば、公募制を実現し、民意を代表する優れた人材を会長に選ぶ道は開かれていると、私たちは考えています。

 私たちは、以上のような観点に立ち、経営委員会に対し、次期会長の選出が視聴者の立場に立って公正に行われることを求め、11月26日、以下の各項について検討するよう、申し入れを行います。

1.会長の選出基準については、ジャーナリズムと放送の文化的役割についての高い見識を持ち、言論・報道機関の責任者として、放送の自主・自立の姿勢を貫ける人物であるかどうかを判断の柱にすえること。

2.会長選出の審議経過の議事録を公開し、説明責任を果たすこと。

3.経営委員会が公募した会長候補の中から会長を任命する公募制を採用すること。

 私たちは、かつてロッキード事件の被告・田中角栄を見舞った当時のNHK小野会長の辞任と、「国民に見える新会長選出」を要求して行われた、137万人署名運動の盛り上がりを記憶しています。
 私たちはNHKが真の改革に乗り出すべき重要な時期に当たり、視聴者・市民の皆さんと、メディア研究者、ジャーナリストなど各界の人々が、会長選出に積極的に意見を述べ、互いに知恵を出し合う努力を払っていただくよう、心から呼びかけるものです。