先ずは、何をさておき・・・ご懐妊、おめでとうございます。

 さて、妊娠というのは・・・新しい生命があなたの中に宿った素晴らしい瞬間ですね。そして、お母さんとしてお腹の赤ちゃんを何よりもいとおしく、大切に思われることでしょう。

 しかし、それと同時にご自身を大切にして頂きたい時でもあるのです。

 どんなに健康な妊婦さんでも、必ず分泌系のバランスの変化と共に体調に変化が現れ、その変化は口腔内にも出現してきます。また、この場合の歯科における代表的なものは歯周病ですが、母胎における感染症はお腹の赤ちゃんへの影響が懸念されることは言うまでもありません。

 そこで、以下に妊娠中(出産後も含めて)のお口のケアとして重要なことを箇条書きにしておきますので、参考にして頂きたいと思います。どうか、お腹の赤ちゃんと同時に、ご自身も大切にしてください。

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 妊娠以前に歯科検診を受け、要治療の箇所があればきちんと処置をし終えておくことで、安心して妊娠期間中を過ごして頂く・・・というのが、まずは大前提ですね。

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 もし妊娠中に治療を要するような事態になった時には、担当の先生に必ず妊娠しておられることをお伝えになり、その上で赤ちゃんの安全が第一というスタンスでの治療方針を検討してもらって頂きたいと思います。

 ちなみに、健康な妊婦さんの場合、安定期(5ヶ月〜9ヶ月程度)における歯科治療は、お腹の赤ちゃんも含めて、比較的安全だとは言われています。しかし、だからといって「絶対に大丈夫!」というわけではなく、これについては産婦人科医も歯科医も保証できるものではないのです。

 そして、どんなに健康な妊婦さんであっても、以下のような処置については極力避けて頂くべきことは言うまでもありません。

  ・薬の服用 (抗生物質や鎮痛消炎酵素剤など)

  ・レントゲン撮影

  ・外科処置

  ・etc..

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 どんな妊婦さんでも、口腔内には大なり小なり妊娠性歯肉炎というものが発現してきますので、妊娠中こそ徹底した口腔内ケアが必要なのです。

 つまり、この時期には特にブラッシングがしっかりとできていなければいけないのですが・・・「つわりのために、歯ブラシを口の中に入れるとオエッとなるんです。」とか、「だんだんとお腹が大きくなってきて、何をするのも億劫で、ついついブラッシングもサボリ気味になってしなうんです。」などと、おっしゃる方がおられます。

 「子供を産んでから、歯が悪くなったんです。」というようなことをおっしゃるお母さんに何人かお目にかかりましたが・・・お母さんの歯の栄養分が溶け出して子供の栄養になるなんてことは、絶対にありません。

 妊娠中にできる歯科疾患は、手入れと管理の悪さ・・・つまり、ブラッシングの悪さからくるものなのです。

C

 妊娠中は、月に一回程度のペースで歯科医院での継続的な口腔内ケアをお受け頂き、妊娠中も出産後も健康な口腔内環境を保ち続けていて頂きたいと思います。

 とにかく、妊婦のみなさんには・・・お腹の赤ちゃんと共に、ご自身も大切にして頂きたいと思います。