日々、皆さんからのご質問メールにはいろいろな内容のものがありますが、その中において比較的よくあるご質問に対しての私の答えを、より一般的な内容へと少々手を加え、ここに掲載しておくことに致します。

部分入れ歯をお使い頂く上での注意点 部分入れ歯(局部床義歯)の構造的特長
入れ歯を入れたときの唇と頬の張り 総入れ歯と定期健診
食べかすが歯の間につまる(食片圧入) 本当に抜歯すべき歯なのかどうか

どんな先生を選べばいいの!?

出来上がった冠の形が、元々の歯と違うような気がするのですが・・・

歯科関連HPはたくさんありますが、それぞれ内容は、本当に信頼できるのでしょうか!?

10

根っこの治療途中なのですが、痛みが(腫れが)なかなか退きません

11 セカンドオピニオンをお求めになる理由 12 どんな歯ブラシを選べばいいの!?
       
       

1.部分入れ歯をお使い頂く上での注意点

 入れ歯は正式には有床義歯といい、大別すると総入れ歯(総義歯)と部分入れ歯(局部床義歯)の2種類に分かれますが、ここでは局部床義歯についてのお話を致しましょう。

 ちなみに、局部床義歯とは一本だけの入れ歯の方から、一本だけが自分の歯という方までの全ての場合を指します。ですから、奥歯がなく前歯のある方や前歯がなく奥歯のある方、片側だけが入れ歯の方や両側共入れ歯の方、小さな入れ歯を入れておられる方から大きな入れ歯をお使いの方まで、局部床義歯の患者さんには、さまざまなケースが考えられるわけです。

 この局部床義歯が総義歯と大きく異なる点は、前述のとおり残存歯があるということであり、それらの何本かには、バネのような維持装置がついているという点です。そして、歯科医師はその設計にあたり、まずどの歯に維持を求めるかを考えるわけですが、これは入れ歯にかかる力を想定した力学的計算から算出されるものでもありますし、また患者さんの装着感なども考慮に入れなくてはなりません。

 そうして出来上がったた部分入れ歯を皆さんにお使い頂くわけですが、入れ歯というものは他のものとは違い、お口に入ったその瞬間から何でも食べられるというようなものではありません。義手、義足、義歯・・・みな同じで、これには使いこなせるようになるためのリハビリテーションが必要になってきます。

 この局部床義歯をお使い頂く上において最も気をつけていて頂かなければならない箇所は、その維持装置のかかっている歯です。この局部床義歯というものは歯と粘膜の両方でその力を支える歯牙粘膜負担という構造になっているため、装置のかかってる歯が入れ歯を支える大きな役割を担っており、そこにはかなりの負担がかかってきます。その上、装置のせいでその歯には汚れが残りやすく、不潔にもなりやすいのです。

 ですから、できれば毎食後、少なくとも就寝前には必ず入れ歯を外し、その入れ歯をきれいに洗ってやると共に、残っている歯、特に装置のかかっている歯を丁寧にブラッシングしてやる必要があるわけです。

 また、入れ歯をお口に入れたままでは、決しておやすみにならないで下さい。粘膜は押さえつけられたまま、歯は負担をかけられたまま、尚且つ口腔内を不潔にしたままの状態で寝ていることになるからです。そして、入れ歯には乾燥が大敵ですので、何かの容器に水を張り、その中に浸けておやすみ頂きたいと思います。(入れ歯洗浄剤に浸けて頂くのは、2〜3日に一回程度でいいと思います。)

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2.部分入れ歯(局部床義歯)の構造的特長

 上顎片側の奥歯部分だけに欠損のある方の局部床義歯の設計についてお話ししてみますが、このような片側だけの入れ歯の場合であっても、Palatal-Barと呼ばれる上顎に渡る金属のバーは必要なのです。

 たとえ一番奥に一本歯が残っており、前方と後方の歯に維持装置をかけることだけで入れ歯の安定を図れるように見えても、その入れ歯は、常にローリングといってボートが横揺れをするような状況下に置かれ、その結果、入れ歯の下の歯ぐきや骨に支障をきたすだけでなく、前後の頼りにしている歯にも悪影響を及ぼすことになります。

このローリングを防ぐためには、どうしても反対側に腕を伸ばし(Bracing-Armといいます)、反対側の歯につかまらせることでその揺れを止めるしかないのです。では、どこでもいいからバーを渡らせて向こうの歯をつかませればいいかというと決してそうではなく、発音や嚥下などの運動に対して出来るだけ障害をきたさない位置にこのバーを設定する必要があるわけです。

 つまり、このようなケースにおいてはどうしても上顎を渡るバーは必要だが、その設定位置によっては、意外とその異物感に早く慣れることができるものであり、これになかなか慣れられない場合は、その設定位置に問題がある場合が多いということになるわけです。

図1

図2

 図1と2は、全く同じ欠損に対してのバーの設計だけを変えた部分入れ歯ですが、話し易さや飲み込み易さは、かなり違ってきます。実際の患者さんのお口の中では、口蓋隆起と呼ばれる骨の隆起など、他のいろいろな因子によって、このバーの設計が左右されることも多いのですが、とりあえずは、このようなバー1本においても、お一人お一人に応じた設計があるのだということを、皆さんには知っておいて頂いてもいいのではないかと思います。

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 尚、ここに書きましたことはあくまでも保険診療にてお作りすることのできる入れ歯に関しての話であり、インプラントや特殊な装置を駆使することで、局部床義歯の設計は大きな広がりを見せます。

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3.入れ歯を入たときの唇と頬の張り

 ちなみに、私達の世界には、“Lip-Fullness”とか“Cheek-Fullness”という言葉があり、Lipは唇、Cheekは頬、Fullnessは満たす・・・というような意味です。

 これを簡単にご説明しますと、総入れ歯の方が、その入れ歯を外された顔を想像してみて頂くとわかりやすいと思いますが、頬や唇が内方にへこんだような顔貌になられますね。これは、唇や頬を内側から満たして張りを与えているものがなくなったせいなのです。つまり、言い換えれば歯のなくなった方の顔貌に張りを与えているのは、入れ歯だということになるわけです。

 入れ歯を作るときにはその型採りをしますね。多くの方は、歯ぐきの(粘膜面の)型採りだけで入れ歯が出来上がると思っておられるでしょうが、実は入れ歯は粘膜面(歯ぐきに乗っかる部分)だけでなく、咬合面(歯どうしが噛み合う面)と研磨面と呼ばれる頬と舌に接する部分によって構成されており、この研磨面が入れ歯の安定には非常に重要とされる部分なのです。

― 下顎の入れ歯の断面図 ―

 頬や舌は、動きます。ですから、それらの動きをいかに入れ歯の安定に結びつけるかが、入れ歯作りの重要なポイントになってくるわけです。そして、この研磨面の形態によって、入れ歯の安定だけでなく口元や顔全体の表情までもが、大きく変わることになるのです。

 また、現在お使いの入れ歯が、それ自体はきちんとフィットしているにもかかわらず、下顎の入れ歯が、プカプカと浮き上がったり踊るような場合、あるいは、上顎の入れ歯がお茶を飲もうとした時に落ちてくるような場合には、人工歯の並べられている位置やこの研磨面の形態を見直してやることで、その症状が大きく改善される場合もあるのです。

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4.総入れ歯と定期健診

 総入れ歯というからには、基本的に特殊な場合を除いて、皆さんのお口の中には残念ながら一本も歯は残っていないわけです。そして、「歯がないのだから、定期健診は必要はない。」そうお考えの方も、多いかもしれませんね。

 しかし、それは大きな間違いなのです。あなたのお口は加齢に伴い変化してゆきますが、入れ歯はその変化についてきてはくれないのです。「がたつき」を感じ始めてからでは遅く、その場合・・・また面倒な処置のために何度も通院しなければならなくなったり、最悪の場合、作り直さなくてはならなくなったり・・・というようなことになってしまいます。また、入れ歯はそこに使われている人工歯の咬耗(噛むことによって摩滅した状態)などにより、噛み合せの高さなどに狂いが生じてくる場合があります。

 ですから、総入れ歯の方であっても、定期健診は必要なのです。入れ歯を再三作り変えるなどというのは、愚の骨頂。

いい入れ歯を作り、それをいつまでもいいコンディションで使い続けて頂く。そして、その入れ歯に材質的寿命がきた場合には、そのいいコンディションでお使い頂いている入れ歯の形態を、そのまま新しい入れ歯に継承させてやるのが一番なのです。

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5.食べかすが歯の間につまる(食片圧入)

 食べ物が、いつも同じ箇所につまるというようなこと・・・ありませんか!?この食片圧入(Food Impaction)というのは、歯のためにも、歯ぐきのためにも、歯を支えている骨のためにも、決してよくありません。

 これを放置していると、より歯間が広がる原因になったり、虫食いを作ってしまったり、また圧入された食片が歯茎を為害作用として刺激したり感染させたりして炎症を引き起こさせるため歯周病を助長し、その部分の骨がなくなってしまったりすることにもなります。

 ですから、そのような症状をお持ちの方は出来るだけ早い目に処置をしてもらって頂きたいと思います。ちなみに、この食片圧入にはいくつかの原因が考えられるのですが、主だったものをざっと以下に記載しておくことに致します。

1)

上下の歯の噛み合せに原因がある場合

2)

歯周病により、歯に動揺が出ている場合

3)

歯どうしの隣接面に、虫食いが出来ている場合

4)

補綴物(かぶせたり詰めたりしてあるもの)の形態に、問題のある場合

5)

etc.

 これらに対する処置方法としては、ケースによって、ほんの少しの噛み合せの調整で済む場合から、クラウン(冠)などを作り直さなければならない場合までさまざまですので、担当の先生からの説明をよくお聞き頂きたいと思います。

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6.本当に抜歯すべき歯なのかどうか

 抜歯・・・みなさんにとっては実に嫌な響きの言葉だと思いますが、この抜歯を大別すると「せざるをえない抜歯」と「すべき抜歯」にわかれます。言い換えれば、「虫歯などの病気に侵されていなくとも、そこにその歯が存在しているということ自体に問題があるために抜歯するケース」と、「本来は何としても保存したい必要な歯であるにもかかわらず、手遅れ状態のために抜歯するケース」があるわけです。

 こう書いてきますと簡単なことのようですが、これは決して簡単な問題ではないのです。それは、みなさんが歯科医院を訪れられた時の、その1本の歯に対する歯科医の判断がさまざまだからです。

 あってはならないことですが、残すことの出来る歯に「要抜歯」という診断を下す歯科医も、決して無いとは言い切れないのが現状です。また、抜歯をしておいた方がいいのに、抜歯を嫌がられる患者さんへの一種の迎合から、いい加減な保存をする歯科医もいます。そして、現状は要抜歯に違いないが、患者さんの年齢をはじめとする全身的な状態、及びその後のリスク等を考慮に入れて、その旨を患者さんに告げた後その歯に延命処置を施すような歯科医もいるでしょう。

 こうなってきますと、患者さんにとってはどの歯科医を選べばいいのか・・・その判断はすこぶる難しいことになってくるわけです。だからこそ、インフォームド・コンセントなのです。これは、既に日本語になっているようにも思いますが、和訳をするなれば「納得診療」とでも言えばいいでしょうか。

 とにかく、基本的にはどのような場合においても・・・

@現状はどうなっているのか

Aどのような処置方法があるのか

Bそれぞれに関するメリットとデメリットはどうなのか

Cその処置後、最終的にはどのようになるのか

Dその後の予想される経過はどのようなものなのか

というような一連の説明が医師側からあるべきなのであり、それに関する最終決定権は患者さんであるみなさんにあるのです。

 その説明を常にお聞きになりながらの歯科治療を、みなさんにはお受け頂きたいと思います。

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7.どんな先生を選べばいいの!?

 よく、「患者さんの年齢層は、医者の年齢に伴って推移する。」といわれます。つまり、若い先生の診療室に来院される患者さんには若い年齢層が多く、お年を召された先生のところには年配の患者さんが多く来院されるということをいっているわけですね。

 そう言われれば確かにそうかもしれませんし、これが事実だとすれば、ここにはいろいろな「患者心理」というようなものも働いているのでしょうが、基本的には医者も人間であり患者さんと医師との間における人間関係が必然的に同年代の患者さんを多くする一因になっているのでしょう。したがって、ある意味この現象は当然のことなのかもしれませんね。

 そしてこれとは別に、「若い先生は、技術は新しいかもしれませんが、臨床経験は少なく未熟でもあるしょうし、かといって、お年を召された先生は経験は豊富でしょうが技術的には古いと思うし・・・どちらを選べばいいのでしょう?」というようなご質問のメールを時折頂戴するのですが、これに対する答えはひとことで言えばいたって簡単で、「私には、わかりません」しか書きようがないわけです。

 若い先生方の中にも非常に勉強熱心な方はたくさんおられ、その知識と技術には素晴らしいものがある反面、最近ではすこぶるいいかげんな姿勢のドクターも多くなってきていることは否めないでしょう。また、熟年のドクターの中にも、いつまでも向学心をお忘れにならずに医療の最先端を歩き続けておられる先生方がたくさんいらっしゃる反面、長年の惰性のようなもので診療を続けておられる先生方も残念ながらたくさんおられます。よって、私の答えは・・・「わかりません」になってしまうわけです。そして、いくら知識や技術に秀でたものをお持ちでも、皆さんとは人間的にというか、生理的に合わない先生もおられるかもしれませんね。

 こう考えてくると、患者さんにとっての「いい医者」の定義は意外に難しく、だからこそ、皆さんにとっての「医者の選択」というのは本当に難しい問題だということになるのでしょう。

 但し、このような難しい選択を迫られる以前に、医者を選択をする場合の決定的要素が存在しています。それが、前項でも書きました「インフォームド・コンセント」というものであり、簡単に箇条書きにすると、ざっと下記の5項目になりますのでもう一度ここに記しておきます。

@現状はどうなっているのか

Aどのような処置方法があるのか

Bそれぞれに関するメリットとデメリットはどうなのか

Cその処置後、最終的にはどのようになるのか

Dその後の予想される経過はどのようなものなのか

 これらの項目を患者さんにきちんとお伝えするということは、医者として最低限果たしていなければならない、いわばスタートラインのようなものであり、どのような医者であれ、これを怠る医者がNGであるということだけは、まずもって間違いのないところでしょう。

 したがって、我々はきちんとした医学的根拠による裏付けをもってこれらの項目を患者さんにお伝えし、そのとおりの結果を導き出せるよう、単に知識や技術だけでなく、倫理観をも含めたその人間性を高めてゆくというような意味も含めて、日々の研鑽を積んでゆかねばならないということになるのだと、私は考えています。

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8.出来上がった冠の形が、元々の歯と違うような気がするのですが・・・

 補綴処置(冠やブリッジ、入れ歯などを作る処置)というのは、単に元の形態を回復することが目的なのではなく、正しく機能回復をすることが目的なのです。

 つまり・・・好ましくない形態の歯を修正する、或いは乱れた歯並びや狂った噛み合わせの部分の修復処置が必要になった場合など、本来の補綴処置というのは、そのアブノーマルな状態を是正した上で修復(機能回復)することを目的としているのです。

 通常の解剖学的形態(Anatomical Form)こ対して、この正しい機能を与えられた形態を「機能解剖学的形態(Functional Anatomical Form)」と呼ぶのですが、「補綴の最終目的は、この機能解剖学的形態を付与した上での機能回復にある」という考え方は、実はとても大切なことなのです。

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9.歯科関連HPはたくさんありますが、

それぞれの内容は、本当に信頼できるのでしょうか!?

 我々歯科界のサイト群は、益々節操の無いものへと移行してきているようで、実に情けなく思いますが・・・

ちなみに、個々の歯科医院が持つサイトはともかくとして、Web上にはいろいろな歯科医院紹介のサイトがありますね。あれらの多くは、単刀直入に言えば「広告サイト」なわけです。

 そして、あのようなサイトの内容と実態は、私の知る限り概ね以下のようなものだと言っても、決して過言ではないと思います。

@

掲載にあたっては、歯科医院による登録の手数だけの無料掲載のものから月額数万円〜数十万円の掲載料(つまりは、広告料)を歯科医院が支払うことによって掲載されるものまでさまざまである。

A

そのサイトの上位に掲載されるかどうかは、その負担額によって決まるところがある。

B

基本的に、殆ど全てのサイトが掲載時の客観的裏付け調査を行っていない。

C

トラブル発生時も、紹介者としての責任は負わない。

 したがって、このような一連のサイトに関してはひとつの目安としてのご利用にとどめて頂き、決して安易にその情報を鵜呑みになさらず、あくまでもご自身の手で事前に問い合わせなどをされた上で、最終的には自らの眼でしっかりと見極めて頂くことでで、あなたにとっての「かかりつけ歯科医」をお選び頂きたいと思います。

 もうひとつの注意点としては、審美歯科関連の情報量が多いサイトは、少々要注意かもしれないということです。但し、これも勿論、このようなサイト全てが悪いというわけではありません。しかし、エステティック的観点からのみ審美歯科を捉えているサイトは、まさに要注意かもしれません。

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10.根っこの治療途中なのですが、痛みが(腫れが)なかなか退きません

 基本的に、歯科では痛みや腫れなどの急性症状をお持ちの患者さんを「急患」とし、急患の方々には、先ずそれらの症状を消退させて差し上げることを第一義と考えるのが通常でしょう。

 そこで、その腫れや痛みの消退についてなのですが、みなさんには「3日」という期間をひとつの目安としてみていて頂きたいと私は思っています。

 勿論、単なる虫歯による歯の神経の痛み(歯髄炎)程度ならその場で解消させられる場合が殆どなわけですが、ここで申し上げているのは、それ以上の・・・例えば、腫れを伴った痛みなどの場合であり、その腫れなどの消退をも含めての話です。

 通常、口腔内におけるさまざまな処置や投薬、また患者さんご自身に守って頂くべき諸注意などにより、遅くとも3日以内でそれらの症状が治まりつつあるという自覚をもって頂けないようであれば、診断や処置方針、或いは処置方法が誤っている可能性を私は考え始め、次の方策を講じ始めます。

 医者が、医者としての自分の診断能力や処置能力に自信を持っているということと、自信過剰で傲慢になっているのとでは、これはもう天と地ほどの開きがあり、ましてや自信など以前の問題として能力自体が低いというようなことでは話にもなにもなりませんね。

 そういう意味で、医者というのは「一生研鑽」なわけですが・・・ちなみに、私は釣りをしませんのでよくはわかりませんが、釣り人は気長なのかと思いきや意外と短気らしく、仕掛けなどを常に変化させて魚に対応しようとし続けているのだそうですね。でないと・・・ただ釣り糸を垂れているだけでは、釣れないそうです。言われてみれば「な〜るほど、そりぁそうだ。」と思いますが、成果の出ない処置をただ単に繰り返しているというのは、これと同じことなのですね。

 全ての症例がこれに当てはなるわけでは決してありませんが、投薬の効果なども考慮した上での処置の成果がでる時期の目安として、「3日」というのはひとつのキーワードだと私は思うということです。

 言い換えれば、腫れなどを伴った痛みをお持ちの場合などは・・・これは、私がいつも患者さんにお伝えすることなのですが、

 薬の服用とともに、申し上げました注意はきちんと守ってくださいね。そうすれば、今日より明日、明日よりあさって・・・というふうに、徐々に症状は消えて楽になってゆくと思いますので、そのようになってきていれば、次のアポイントの時にお越し下さい。

 但し、3日経ってもほとんど症状に変化がない、或いは、徐々に楽になってゆくどころか、逆に症状が悪化してきている・・・というような時には、我慢をしたりせずに遠慮なく連絡をくださいね。

・・・ということになるわけです。

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11.セカンドオピニオンをお求めになる理由

 みなさんから寄せられてくるメールの内容を大別すると、ざっと以下の3つに分類することができそうです。

1) 現在、担当医をもっておられず、相談相手もなく一人で悩んでおられる方

2) 現在の担当医を信用できないことから、セカンド・オピニオンを求めてきておられる方

3) 担当医とのコミュニケーションが、殆ど(或いは、全く)とれておられない方

(1) 現在、担当医をもっておられず、相談相手もなく一人で悩んでおられる方へ

 一人で悩んでおられても、結局のところ・・・結論は出ないでしょう!? また、お友達やご家族に相談をされたところで、所詮は素人判断にすぎず・・・ヘタをすると、よけいに怖がらされたりすることもあるようです。

 歯科に関するQ&Aのようなサイトに質問をされるのもいいとは思いますが、回答をする側の私達も、一度もお口の中を拝見しておらずレントゲン写真すらない状態では、あなたの詳細な現状については殆どわかりませんので的確なお答えはしきれないのです。そして、結局は「まずは、歯科医院に行ってみて下さい。」というような回答になってしまうのです。

 とにかく、このような方は早く信頼のできる歯科医にご相談になることなのですが、この「信頼のできる歯科医」というのが、難しいところなんですね。そこで、この難しい判断の基準として、ご参考になるかどうかはわかりませんが「歯医者による歯医者選び」というページをこのサイト内に書いていますので、また一度覗いてみて頂ければと思います。

 ところで、身体や健康に関する質問に対して無記名やハンドル・ネームで回答するなどということは、もってのほかだと私は思うのですが、回答者名が明確に表示のされていないアドバイスを発信しているQ&Aサイトがあります。これほど無責任なことは、ありません。そのアドバイスによって何らかのトラブルが起きた場合の責任は、いったい誰がとるというのでしょう!?みなさんも、このようなサイトには十分にお気をつけ頂きたいと思います。

(2) 現在の担当医を信用できないことからセカンド・オピニオンを求めてきておられる方へ

 何故あなたの担当医を信頼できないのですかと訊くと・・・多くの方が、「ひとことも、説明をしてもらえない。」という理由を挙げられます。

 勿論、「ひとことも、説明をしてもらえない。」というのは、――― いつも、私の申し上げることですが ――― そこには、インフォームド・コンセント(納得診療)がなされていないということであり、これは決定的に医療人サイドに責任のあることでしょう。

 しかし、医療サイドにいる人間から見ればそれなりの説明をしている「つもり」なのに、患者さんはそうは受け取っておられない・・・というような場合も決して無いとは言えないというのも事実のようです。

 つまり、遠慮なさらずにあなたがより詳しい説明をお求めになれば、快く回答してもらえる場合もあるのではないかということです。

 そして、それにきちんと対応してもらえないようであれば・・・それはもう、問題外!当然、その先生は「信頼するに値しない歯科医」だということになるでしょう。

 日々、私は治療の予定や進行状況を患者さんに伝え続けている「つもり」なのですが、それでも「先生、あとどのくらい日数がかかりますか?」というようなご質問を受けることは時折あります。

 そのような時には、あらためて現況をお伝えした後、今後の治療に要する期間をお伝えします。その結果、みなさんにはちゃんと納得してお帰り頂けているようです。(・・・たぶん!?)

 つまり、私がここで申し上げたいことは、「ちょっとしたあなたからの歩み寄りで、つまらぬ誤解が生まれずにすむこともあるのではないでしょうか!?」・・・ということなのですが、如何でしょう。

 セカンド・オピニオンをお求めになること自体は、あなたにとってとてもいいことだと私は思いますし、またそのことによって逆に、より担当医を信頼できるようになったとおっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。

 但し、セカンド・オピニオンをお求めになる場合は、十分に担当医の話をお聞きになった上で・・・と、申し上げているわけです。

(3) 担当医とのコミュニケーションが、殆ど(或いは、全く)とれておられない方へ

 一般の方々同様、歯医者にも口下手はいます。だからといって、それがきちんとしたインフォームド・コンセントのできない理由にはなりませんが、みなさんには、遠慮したりなさらずに率直に担当医に疑問をぶつけてみて頂きたい・・・ということを、まずは申し上げておきたいと思います。

 そして・・・それに対して、不快な表情を浮かべたり不親切であったりというようなことであれば、これはもう「こんな歯医者なんだ」と諦めて(!?)、見切りをつけるなり何なりして頂くしか仕方ありません。

 ましてや、そこでちゃんとした回答が得られないのであれば、それはその担当医が歯科医師としての義務を果たしていないということであり、何をか言わんや・・・です。

 こういった意味からも、医療技術以外に歯科医として最低限具備していなければならない条件だと私の思うところを、「歯医者による歯医者選び」として書いているわけす。

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12.どんな歯ブラシを選べばいいの!?

 皆さんは、店頭に並べられているあまりの歯ブラシの種類の多さに、「いったい、自分はどの歯ブラシを使えばいいのだろう?」「自分にあった歯ブラシは、どれなんだろう?」と、その選択にお迷いになるのではないでしょうか。

 私は、「歯ブラシは医療用器具」だと考えています。したがって、「当然、歯ブラシには規格が必要だ。」とも常々思っているのですが・・・残念ながら現状はまさに無法地帯で、あれだけの数があると歯医者の私でさえ迷ってしまいそうになります。

 そんな歯ブラシ事情の中、皆さんにはメーカーのCMなどに踊らされてしまわれず、歯科医師か歯科衛生士のきちんとしたブラッシング指導を伴ったアドバイスから、ご自身のお口に合った正しい歯ブラシの選択をして頂きたいと思います。

 歯ブラシとブラッシング法は密接に関係しており、その方法にあった歯ブラシの選択が不可欠なのです。