基本的には、離れた2本以上の歯を使い、それらに橋渡しをすることで歯の欠損部分を補う処置をいいます。これは 有床義歯 による欠損補綴と違って取り外すものではありませんし、自分の歯がその橋脚の役割を果たしますので、自分の歯の噛み心地を回復できます。しかし、その失った部分を補うための土台(橋脚)として使う歯は、たとえ虫食いが無くても削らなければならないという欠点もある事を忘れてはなりません。

 ブリッジは、どの部位の、そして何本の歯を失ったのかと、残っている歯の部位と本数、その状態によってさまざまな設計が成り立ちます。要は、失った歯の役割を他の何本かの歯に分担させるのですから、最終的には力学計算が必要になってくるわけです。

 そういう意味では、まさに川に橋を架けるのと同じなのですが、通常、川に橋を架ける場合には最短距離でかけますね。ところが口の中のブリッジの場合には、歯列弓という言葉もある通り歯の並びは弓型をしているために湾曲した橋の設計と建築が必要になってくるのです。そしてその橋脚となる歯の状態もケース・バイ・ケースで、またその橋に対しては、まっすぐに垂直方向の力が加わるのではなく、常に斜め方向から橋を揺さぶるように力がかかってくるのです。

 自然治癒のない皆さんの歯は、充填 → クラウン → ブリッジ・・・という具合に、条件はだんだんと難しく悪くなってくるのです。

ここまで書けば、もうお分かりですね。「何よりも、予防が大切なのだ!」ということが・・・。


 ちなみに、お口の中にブリッジの装着されている方は、その支台歯(橋でいうところの、「橋脚」に相当する部分)の、特にポンティックと呼ばれる偽物の歯に接した面の歯頚部については、丁寧なブラッシングを心がけていて頂きたいと思います。

 通常のブリッジの場合、複数のクラウンがその支台装置として使われており、歯にかぶせられたクラウンは、いわゆる茶筒に蓋を閉めたような状態なわけで、必ず自分の歯との継ぎ目(クラウン・マージン)がぐるりと一周にわたってあります。つまり、このマージンの部分から下は自分の歯であり、自分の歯は虫歯になる可能性を持っているわけです。

 また、ポンティックの基底部にも汚れは残りやすく、それがポンティック直下の歯肉の炎症を招き、そしてその炎症は両支台歯の周囲歯肉へも広がってもゆきます。

 とにかく、歯がノーマルに並んでいる箇所に比べてブリッジのこの箇所は特に汚れが停滞しやすく、プラーク(歯垢)の付着しやすい場所であり、これについては、河川に架かっている橋において、その橋脚の根元部分にゴミや汚れがたまっているのと同じだと考えて頂ければ、おわかり頂きやすいのではないかと思います。

 きちんとした清掃ができておられないために、この部分が歯周病におかされたり、クラウン・マージンから下で虫食いができてしまったり・・・ということになってしまい、結果的にブリッジ自体をダメにしてしまわれる方は、たくさんいらっしゃるようです。

 どうか、特にブリッジのこの部分については、丁寧なブラッシングを心がけていてください。


保険適用外診療(自由診療・自費診療)で製作する場合

 保険診療ではブリッジの材質、設計などにいろいろな規制がもうけられていますが、自由診療ではそれらの制約を受けることなく、クラウンの場合と同様にそのケースに応じた最良の材質とテクニックの選択と多くのバリエーションを持った設計が可能です。


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