「歯磨剤は、どこの何を使えばいいでしょう?」・・・患者さんからよくこのようなご質問を受けるのですが、結論から申しますと、よほどのことがない限りどんな歯磨剤をお使いいただいてもそれほどの大差はないと、私は思います。

 巷では、いろんなメーカーが多くの歯磨剤を販売しており、その種類の多さが 「いったい、どれを使えばいいの?」 と、みなさんを悩ませてしまうことにもなっているわけですが、本当にあれだけの種類が必要なのでしょうか!?

 また、テレビCMなどを見ていると・・・歯ブラシなんてしなくても、あのペーストを舐めてさえいれば虫歯や歯周病が防げそうな・・・そんな気すらしてきますね。(笑)

 しかし、実際に口腔内の病気を予防、あるいは治療するためには、歯ブラシによる機械的清掃・・・つまり、ブラッシングこそが不可欠なのであり、歯磨剤による薬理効果自体にはあまり多くを期待できないといっても決して過言ではないと思います。

 ところで、多くの歯磨剤は発泡と共に清涼感を伴いますが、そのスッキリ感のために多くの方が 「磨けたような気分」 になってしまわれます。せっかくの歯磨剤も、こうなると使わない方がマシ!・・・歯磨剤の使用が、逆効果を生んでしまっていることになります。

 そこで、私からひとつ提案です!

 先ずは、最初から歯磨剤を使わず、水だけでしっかりとブラッシングをするようにしてみて下さい。

 そして、ブラッシングが完了した時点で、最後に小豆大ほどの量で十分ですので歯ブラシに歯磨剤をのせ、それで丁寧に仕上げのブラッシングをして下さい。ちなみに、CMでやっているように、ペーストをブラシの端から端までグニュ、グニュッ!と大量に絞り出す必要はありません。

 こうして頂くことで、歯磨剤の効果を最大限に引き出していただけると思いますので、是非とも一度お試し頂きたいと思います。

 また、ペースト状の歯磨剤とは別に、液状のものやジェル状のものも市販されていますが、これらはペーストに比べてフロー(流れ)がよく発泡もしませんので、お口の隅々にまでいきわたりやすいという利点があり、私はいいと思います。

 但し、これもしっかりとブラッシングをした後の仕上げ段階での話で、液状のものは最低20〜30秒以上はブクブクし続けて頂くべきでしょう。 途中で息継ぎが必要・・・ですね。(笑)

 とにかく、歯磨剤の選択以前に、しっかりと正しいブラッシングができていることが重要だということです。

 ちなみに、ブラッシング後のうがいについては、ペーストでお口の中が泡だらけになっている場合でも、せいぜい軽く1回程度にしておくのがいいと思います。

 ジェル状や液状のものをお使いのかたの場合は、うがいは不要だと思います。

 せっかく歯磨剤が持っている薬理効果を、わざわざ完全に洗い流してしまう必要はないと思うからです。