ここでは、ブラシの動かし方ではなく、ブラシを使いやすくするコツをお教えいたしましょう。まずは、顔を左右に動かす(振る)ことで、ブラッシングは随分と楽になります。

 例えば、右利きの方が左上の一番奥の歯の頬側から後ろ側にかけてをブラッシングしていらっしゃるとしましょう。

多くの方は、こんな感じでブラッシングをされるのですが、しっかりと口角を外に開いてやらないと、これでは奥歯の後ろへはブラシが届いていません。

そして、口を縦に大きく開ければ開けるほど、逆に口角は横に広げることができなくなりますね。

また、口を大きく開けると下顎の筋突起と呼ばれる骨の突起が前方にせり出してくるため、頬側の歯ブラシの入るスペースが (人によっては、極端に) 狭くなります。

このため、特に一番奥の歯 (通常、第2大臼歯) の頬面から遠心面 (後ろ側の面) にかけて常に磨き残されていることになり、この部分から虫歯や歯周病になってしまうわけです。

つまり、奥歯のブラッシングについては上下の歯が軽く接するか接しないか程度に軽く口を閉じた状態でやっていただければいいわけですが・・・決して、食いしばるのではありません。

食いしばると、今度は咬筋という筋肉が張り出してきて、これまたスペースが狭くなってしまいます。

こんな方も、いらっしゃいます。

一所懸命に窮屈な感じで右腕を左へと持ってゆかれるのはいいのですが、そのぶん顔も左を向いてしまっておられる方です。

これも、意味がありませんね。ブラシと歯列のなす角度には、何ら変化がないわけですから。

そんなに窮屈に右腕を左へと回さずとも、顔をちょっと右に向けてやればいいのです。

これだけで、十分にブラシを歯列に対して適切な角度で挿入することが出来るのです。簡単なことなので、試してみてください。

 もうひとつは、下顎を左右に動かす(ずらす)ことです。

          右の奥歯の後ろの面をブラッシングする時には、顎を右側へ。

          左の奥歯の後ろの面をブラッシングする時には、顎を左側へとずらすのです。

 すると、最初の方で書きました筋突起というものや咬筋という大きな筋肉の位置が外側後方へと移動するため、、ブラシの挿入が楽になるのです。