大切なことは、まず ご自身のお口をよく知っていただく ということです。

 自分自身の歯並びの特徴を知り、その箇所その箇所に応じたブラッシングをして頂かなければならないからです。あなたの歯並びに乱れがある場合、当然そのぶんブラッシングは難しくなり、注意深い丁寧さが必要となってきます。

 鏡を使って見ていただくのもいいですが、これには見える範囲に限界がありますので、やはり歯科医院でご自身のお口の模型を見せてもらったり、口腔内写真を見せてもらうことで、自分の口はどんなふうになっていて、どこに磨き残しを作りやすいのか・・・というようなことの説明を受けていただくのがいいでしょう。

 また、ブラッシングのひとつのコツとして「外側(頬側、唇側)のブラッシングにおいては、大きな口をあけない」ということがあります。鏡を見ようとしたりすることで、大きくお口をお開けになる方がいらっしゃいますが、これはよくありません。下顎ならともかく、上顎の奥歯などはどうやっても見えるはずはありませんし、また縦に大きく口を開けることで口角を外側に開くことができなくなり、このために奥歯の後ろ側などにはブラシが通せなくなります。そして、ちょっと難しくなりますが、下顎骨の筋突起と呼ばれる部分が大きく口を開けることにより前方に移動してくるため、上顎の奥歯の頬側から後方にかけてブラシを当てる際に、一番奥にまで入れているつもりのブラシがこの筋突起に邪魔され入りきっていないというケースが多いというのも、大きく口を開けないでブラッシングをして下さいという理由のひとつです。

 ですから、ボ〜ッと、顎の力を抜いて口を半開きにした状態(下顎安静位といいます)、ヘンな言い方ですが「間抜け面」のような表情か軽く上下の歯を合わせた状態が、最も表側のブラッシングには向いているということになります。
逆に、内側(口蓋側、舌側)をブラッシングする場合には、歯ブラシをそれぞれの角度で入れることが出来るよう、口はある程度の大きさまで開けなければなりません。