「インフォームド・コンセント」とは、日本語では「納得診療」とでも訳せばいいのではないかと思います。

 ところで、抜歯の必要性があると判断した場合、私は必ず患者さんに「抜かなければならない理由」と「抜いた後の治療計画」をお伝えします。また、患者さんである皆さんには、(抜歯に限らず、どのような場合においても)単に「歯医者が抜歯しなければならないと言ってるんだから、しかたがない。」ではなく、「なぜ、そうしなければ(抜かなければ)ならないのか」、「そのあとはどうなるのか、どのようにしてゆくのか」に関する説明を、しっかりと納得のいくまでお聞き頂きたいと思います。

 そして、その説明をお聞き頂いた後で、なお「この歯は、抜かない!」とあなたがおっしゃれば、むりやり抜くことはできないのが私たち歯医者でもあります。あなたの身体に対する治療方針の決定権は、その身体の持ち主である「あなたご自身」にあるのですから。但し、当院において私が「この歯は、抜かなければなりません。」と申しました時は、「抜かずして、きちんとしたは処置はできない」、或いは「現時点では、抜くことが最善の処置である」と私が判断しているのだ・・・ということだけは、ご理解頂きたいと思います。)

 もちろん、抜歯に関してだけでなくあらゆる処置において、何でもお気軽に私かスタッフにお尋ね頂きたいと思います。「私達を信頼して下さる」ということと、知る権利を放棄して「私達にまかせっきり」にされることとは、まったく違うのです。

 あなたと私達が、お互いの納得の上で一緒にあなたのお口の健康をとりもどし、そして一緒に維持管理をしてゆく・・・これこそが本来の歯科医療のありようであり、インフォームド・コンセントというのは、単に「説明をする」というようなことではなく、あなたに「理解をしていただく」ためのものであり、また「今ある病気を克服していって頂くための動機付け」でもあると、私は考えています。

 どうか、あなたの担当医に説明を求め、その説明をしっかりとお聞きいただき、そしてご自身のお口の状態と処置方針をきちんとご理解頂きたいと思います。

 ・・・ということで、「歯科におけるインフォームド・コンセント」として最低限行われるべきだと私が思いますことを、ご参考までに記しておくことに致します。

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あなたのお口は、今どのような状態なのか・・・レントゲン写真や口腔内写真、模型などをお見せしたり絵や図を描くことで、できるだけあなたにわかりやすく説明する

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今後の処置方針としてはどのようなものがあるのか・・・その全ての処置方針におけるメリットとデメリット(リスク)をあなたに説明し、最終的にあなたに納得をして頂いた上で処置方針(治療方針、治療計画)を決定する。