国際条約が守ってくれている

 親が教育を選ぶ権利は、国際的に広く承認されています。この権利がないと、子どもに合わない教育を強制されて追い詰められる人たちや、自分の文化伝統を失う人たちがたくさん出るからです。



世界人権宣言

26条3項
親は、子に与える教育の種類を選択する優先的権利を有する。

(解説)世界人権宣言は条約ではないため、法的な拘束力はありません。しかし、世界人権宣言は各国の憲法に取り入れられ、確立した慣習法(正式の立法ではないが、みんなが認めて従っている法)となっています。



社会権規約 (1979年日本批准)

第13条第1項 この規約の締約国はすべての者の教育への権利を認める。


(解説) 「教育への権利」は、教育を受ける者が自分が受け入れることのできる教育を受けられる権利です。

第13条第3項は、保護者が
「公の機関によって設置された学校以外の学校を児童のために選択する自由」
「自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由」


 を国が尊重するとしています。
 その学校は、国が定める最低基準に適合する必要があります。在宅教育は、「教育基本法」と「子どもの権利条約」をその最低基準として、一家庭一学校ができているものです。

第13条第4項
は、「個人及び団体が教育機関を設置し運営する自由」を国が妨げないとしています。
 ここに個人が含まれていることは重要です。その教育機関は国が定める最低基準に適合する必要があります。ホームスクールは、「教育基本法」と「子どもの権利条約」を最低基準として、一家庭一学校ができているものです。

 なお、社会権規約第3,4項は、教育機関についてのみふれたものであり、家庭で教育を行うこととは無関係であるとする解釈も存在します。
 家庭の実情に合わせて、どちらかの解釈を選ぶことができます。


 ここにあげた条文は、英語正文から直接に翻訳したもので、政府訳とは異なります。
(詳しくは 「教育への権利」(訳・解説 伊藤美好 古山明男  イオ 300円) io@itoh.orgで注文)



児童の権利に関する条約 (1990年日本批准)

第3条 (最善の利益の確保)
 子どもに関するすべての活動において、その活動が公的もしくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政機関または立法機関によってなされたかどうかにかかわらず、子どもの最善の利益が第一次的に考慮される。
(国際教育法研究会訳)

 この第3条が、「子どもの権利条約」の根本になっています。

 なにが「児童の最善に利益」であるかは、定義されていません。それは、法律で定義することは難しく、人間条理に従い、社会の実情に従って、決まっていくことです。これを行政当局まかせにすべきではありません。

 子どもが学校に合わないとき、私たちは「児童の最善の利益」をすべてに優先させた行動を取るべきです。

 在宅教育を行う場合、「子どもの権利条約」に従って子どもの権利を認めなければなりません。

 「子どもの権利条約」政府訳は適切とは思われない箇所が多く、国際教育法研究会訳を基本とすることをお勧めします。