ザ・インタビューズ 「書き出し文を質問し、それに続く文を書く。」



「にゃーにゃーにゃー、にゃーにゃーにゃー」

これは、『おーい、来たぞ』の合図。

玄関の前で合図を送ると、扉が開く。
OLの姉ちゃんが、ミルクの入った小皿を持って出てくる。
猫好きの癖に、猫が飼えない家らしい。
足元に身体をこすりつけてやると、嬉しそうに笑うんだ。

「にゃーにゃーにゃー、にゃーにゃーにゃー」

軒下で合図を送ると、窓が開く。
大学生の兄ちゃんが、部屋に入れと手招いてくる。
小骨の乗った弁当の蓋に、真っ白いご飯が一山。
頭を撫でる力が強すぎるのが、玉に瑕なんだよな。

「にゃーにゃーにゃー、にゃーにゃーにゃー」

こんな合図を送らなくても、いつも開かれている縁側。
日向ぼっこをしていると、一緒になって昼寝を楽しむ婆ちゃん。
この縁側は、オイラと婆ちゃんの憩いの場所。
いつだって開かれている。

なのに、ここ数日は閉じられたまま。
ガッチリと填められた雨戸が、婆ちゃんの姿を隠している。

「にゃーにゃーにゃー、にゃーにゃーにゃー」

おーい、来たぞ。外は良い天気だ。
布団の中より縁側で昼寝した方が気持ち良いぞ。
兄ちゃんから貰った小骨、今日は食べずに持ってきた。
見た目は悪いけど、味は良いぞ。だから、早く出てこいよ。

「にゃーにゃーにゃー、にゃーにゃーにゃー」

明日、また来るからな。


2014.07.05