ザ・インタビューズ 「書き出し文を質問し、それに続く文を書く。」



忘れたい女と忘れられない男がここにいた。
『願い』という名の呪縛に捉えられ、そこから抜け出す術を失くしていく。

最愛の彼から届いた手紙。
 この手紙を読んでいるキミへ。
 ボクはキミが大好きだから、未来へ踏み出すための勇気をあげよう。
 ボクを忘れてください。キミの中から、ボクという存在を消し去って欲しい。
 ボクがキミにあげる、最後のプレゼント。キミは幸せにならなければいけない。
彼が亡くなった後に届いた手紙。
忘れたい女は彼の願いに囚われた。忘れたくても、心がそれを許そうとしない。

大切な親友から届いた手紙。
 この手紙を読んでいるキミへ。
 ボクの我が儘を聞いて欲しい。親友のキミにしか頼めない。
 ボクには最愛の人がいる。ボクは彼女の心から消えることにした。
 キミはボクらと一緒にいすぎたよ。キミが傍にいたら、彼女はボクを忘れない。
 キミもボクと一緒に、彼女の前から消えてくれないか。
 キミが彼女に思いを寄せているのは知っている。だから、最後に賭けをしよう。
 彼女の心からボクが消えた時、キミのことが残っていればキミの勝利だ。
 キミが持っているその優しさで、今度こそ彼女を幸せにして欲しい。
親友が亡くなった後に届いた手紙。
忘れられない男は彼の願いに囚われた。
遠くから見守りることで、彼女への思いを忘れてはならない。

日常が戻り始めた頃、女の前から男が姿を消した。


2015.08.30