昨2001911日にアメリカで起こった同時多発テロと,それにたいするアメリカ政府および日本政府の対応とについて,私たち経済理論学会会員有志416名は,同年108日に「無差別テロと軍事行動との悪循環を断ちきる理性的行動を」と題する声明を発表いたしました。それから1年が経過しましたが,アメリカ国家によるイラクへの軍事的進攻の可能性が高まるなど,声明で表明しました私たちの懸念は残念ながらまったく消されていないと言わざるをえません。そこで同声明の世話人は,有志のあいだでの現時点での討論の糸口をつかむことを目的に,有志の皆さんに「あれから1年」についてのご意見をお寄せいただきました。以下に,お寄せいただいたご意見を広く公開し,討論の場に素材として提供いたします。これを機会に活発な討論が展開されることを期待しております。(2002年10月22日,世話人一同)

 

あれから1年

 

経済理論学会有志意見集

 

2002年10月5日

 

*     *     *

 

世話人からのよびかけ

2002711

前略 声明「無差別テロと軍事行動との悪循環を断ちきる理性的行動を」にご賛同いただいた皆さま。

 昨年私たちの見解を発表する共同行動を行なってから,この9月で1年が経ちます。声明世話人のあいだでその後をフォローする企画を立てようという話が出たのを受けて,経済理論学会関東部会が105日午後25時に立教大学で講演とパネルディスカッションの集いを開催してくださることになりました。(元NHK解説委員の平山健太郎氏が講演されたあと,声明世話人から3人が加わってパネル討論に移ります。)

 この会合の討論に,皆さまの「あれからの1年」についてのご意見を反映させたいと思いますので,e-mailまたは郵便で下記宛にお送りください。整理の都合上,字数は600字以内,9月20日締切とさせていただきます。集約したご意見は,この会合および翌々週の経済理論学会年次大会時に配布する予定です。

  e-mail宛先:yagi@econ.kyoto-u.ac.jp

  郵送先:606-8501 京都市左京区吉田本町 京都大学経済学部 八木研究室 

 皆さまの積極的なご発言をお願いいたします。(匿名希望の方は,その旨ご付記ください。)

匆々

声明世話人代表 柴垣和夫


*          *          *


寄せられた意見
[配列は会員名簿にしたがいました]

伊藤誠井村喜代子枝松正行王建鋼大澤覚大谷禎之介大西広

唐渡興宣北田芳治北原勇小谷崇小宮昌平佐々木洋渋井康弘

新藤通弘須江國雄鶴田満彦鄭淵沼中野洋一西野勉平石修

福留久大藤岡惇増田寿男毛利明子森岡孝二八木紀一郎和田幸子

 

1伊藤 誠       

 アメリカのイラク軍事攻撃への姿勢と日本政府のこれへの協力方針に関心を共有し,会合の席上で意見を集約できれば,ニュースレターその他で,これを公表することはいかがでしょうか。憲法の精神に沿って。


2井村 喜代子

 昨年,アメリカが始めた「テロ撲滅」戦争の展開は,私の恐れをはるかに超えたものであった。アフガンでの大量殺戮爆撃(戦術核兵器なみの破壊力をもつディジーカッター等),誤爆による大量の死傷者,テロ防止名目での人権無視行為(大量の容疑者の拘束,通信傍受等),「テロ撲滅」に便乗したイスラエルのパレスチナへの軍事行動……。「報復の連鎖」,「憎悪の連鎖」は拡大するばかりで,アメリカの「テロ撲滅」戦争は対イラク戦争へと突入しつつある。

最近,米ブッシュ政権の核戦力強化の姿勢が際立っている。核兵器の心臓部・プルトニウム塊の製造開始,新型核兵器開発等……,だれもアメリカの核兵器には対抗できないと世界に示す戦略である。

 いまや唯一の超軍事大国となったアメリカによるテロの脅威と「テロ撲滅」の叫びは,人間の理性や理想を踏みにじり,戦争への批判さえをも許さない恫喝力をもって世界を圧倒しつつある。

日本の小泉政権も,理念もないまま,“テロ撲滅”でアメリカと完全に一体化し,対イラク戦争にも協調が危惧される。

 私は,アメリカの原爆独占と“冷戦”という悲劇的条件下で始まった戦後史のなかで,たとえ無力な非現実的ユートピア論といわれようと,あらゆる戦争の否定,あらゆる国の核保有禁止しか無いと考えてきたが,現在は,あらゆる戦争・殺戮を許さず,アメリカを含め核全面廃棄を唱えることが,不可欠になっていると思う。


3枝松 正行

  平和を愛する諸国民のなかで,日本は今こそ名誉ある地位を

 社会科学に関わってきた者なら誰もがそう感じたことであろう。あのテロは,解体しつつあるグローバル資本主義の頂点アメリカが崩壊するバブルを少しでも先送りして延命するためにむしろ待ち望んでいたものではなかったのか,と。

 もともと一万ドル割れ寸前だったNYダウを覆い隠すかのように9.11はやってきたが,テロ後まもなく明らかになったエンロンやワールド・コムの破綻を待つまでもなく,いわゆるY2K問題の直後にITバブル崩壊がくることは誰にでも判っていた。恐らくは98年5月のインド・パキスタン核実験と8月の北朝鮮のミサイル実験成功時点で,かの国の政策担当者にはニューヨークバブル崩壊以後の政策転換シナリオがもう出来上がっていたのだろうと思う。すなわち,規制緩和のグローバル化を各国に強要する市場原理主義から大規模国防予算の財政出動を景気対策とする戦時ケインズ主義への転換である。ブッシュの中東政策は露骨にすぎた。

 パールハーバーがかの国の政策担当者によって待ち望まれていたのとあまりに酷似した「報復戦争」の開始ぶりは,われわれの生存する世界が少しも進歩していないことをまざまざと教えている。

 日朝正常化やイラクの核査察受け入れが真実だとしても,解体するかの国の狂気は容易には収まらないだろう。日本は今こそ平和憲法の精神で国際社会の「名誉ある地位を占め」なければならない。


4王 建鋼Wang Jiangang

  9・11以降の中米関係

2001年9・11テロ事件後,アメリカはアフガニスタンを侵攻し,テロ事件の死傷者よりはるかに多くの一般平民を殺戮した。アメリカのその独断専行,弱小国の国民の殺戮に対して,中国政府は直接に糾弾したり,批判したりはしなかった。その見返りに,ブッシュ政権は一時的に反中国のトーンを下げ,中米関係は好転してきたかのように見えた。

中国は軽工業製品のアメリカへの輸出を増やし,国内経済の高度成長によって,アメリカからの対中国投資を引き付け,経済成長を維持してきた。為替レートの面では,人民元を米ドルと強く結びつけ,安定した両国貿易の発展を意図した。対米輸出の増加,米国からの投資の増加によって,中国は対米依存も増していき,例えアメリカがアフガニスタンで言語道断の行動を起こしても,目をつぶって,国内の経済発展に専念している。

いっぽう,アメリカではかつてないほど中国脅威論が新たに出回っている。いままでのイデオロギーによる中国脅威論のうえに,経済力を増してきた中国は,アジア,世界でアメリカの軍事権威に挑戦するものだとしている。アメリカは台湾により多くの,より新鋭の武器を売却し,武器輸出を拡大している。台湾問題を国内政治問題としている中国政府は,この点ではアメリカに譲らず,台湾問題の解決のために武力行使も辞さない姿勢で臨んでいる。

経済での対米従属と台湾海峡で米国との軍事的対峙は,中米関係の複雑性を増している。強い経済力を持っていくようになる中国は,アメリカから見れば対抗勢力になる可能性があり,脅威となる。9・11テロ事件で一時的に好転したかのような中米関係は,今後長く継続できるものではないであろう。


5大澤 覚

   問われる世界の叡知   

 あれから1年,思うのは,やはり,「なぜ阻止できなかったか」ということです。

 朝日新聞(9/11)によれば,当の米国の下院テロ・国土安保委報告書が「FBIの情報収集・管理・分析能力の欠如」,「CIAへの情報量の減少と技術・訓練不足」をあげ,国務省情報調査局報告書が「テロの共通の定義もないままバラバラに対策を講じていたこと」をあげていますが,機関の欠陥を嘆くだけでは2800人の犠牲者もさぞ無念でしょう。

 この間,アメリカは復興に640億ドル,報復に300億ドルを支出しました。前者は当然として,後者は推定400人の爆死者と370万人の難民を生み出した6500回の空爆や地上戦のためで,無辜の犠牲者を増やしただけでした。一方,日本は,軍事支援を公約し,テロ対策特措法を成立させ,いまも約1000人・5隻を派遣して支援活動(軍事行動)中で,各国はブッシュの「対テロ団結」に呼応してきました。しかし,いまだに首謀者の消息すら不明なばかりか,ロビンソン国連人権高等弁務官が「テロ対策を理由に人権を顧慮しない政策が米国を筆頭に世界的に広がりつつある」(日経,9/11)と苦言を呈する始末です。

 では,なにが必要だったのでしょうか。それは「国連憲章の精神や国際法」です。これこそが「世界の憲兵」に欠落しているもので,テロ防止を困難にした理由です。「武力による平和」ではなく,「言葉の力で平和を!」。いま「世界の叡知」が問われています。


6大谷 禎之介

 この一年,経済理論学会会員有志が昨年秋の声明のなかで懸念を表明した,最も好ましくない事態が進行してきた。 

 920日,ブッシュ政権は,「国家安全保障戦略」の名のもとに,アメリカ国家が「正義」に反すると判断した国家にたいしては,国連の意向にかかわりなく,先制攻撃を加えると宣言した。昨年911日の同時多発テロののちこの国家がアフガンに軍事進攻したときには,まだこの事件を口実にしていた。ところが今回は,口実などなくても世界のどこにでも好きなときに進攻することを明言したのだ。これによってこの国家は,帝国主義国家以外のなにものでもないことを自らさらけ出した。いま,一方で,この国家の傘のもとにパレスチナでのイスラエル国家の乱暴狼藉がエスカレートしつつあり,他方で,イラク攻撃開始は時間の問題になりつつある。

 世界中の労働する諸個人が,その「労働」というキーワードのもとで団結して,アメリカ国家とそれを支える従属諸国家群との帝国主義的行動に対して対決する闘いのほかには,この事態をくいとめる最終的な力はない。この力はいまのところまだ決定的に弱い。日本でも,有事法制に向けた策動を最終的に粉砕できていない。それぞれの地域,それぞれの国で,あらゆる可能な共同行動を発展させ,連帯をつくりあげていくことが求められている。私たちにできることはなにか,会員有志とともに考えていきたい。


7大西 広

  ニューヨークに来て1月の感想を順に書きたい。家毎に飾られた星条旗に違和感を感じる。アメリカはやはり負けたのか。市民生活の外観は変わらないが,それは「思い出したくない」気持ちからに見える。アメリカ人はやはり傷ついている。「proud to be an American」の文字も「誇り」に自信がなくなった証拠ではないか。自分達の国を心から嫌う人々がいることに気づきつつも,そう思いたくない気持ちは分かる。「反米」の私もどんな民族をも受け容れるこの国に感服した。中華帝国のあの受容性と同じものだ。

 9/11前後に記念行事が相次ぐ。9/11には「グラウンド・ゼロ」にも行ったし,記念ドキュメンタリーもある博物館で見た。よく出来たドキュメンタリーだけあって犠牲者の家族の気持ちが伝わる。が,同時に突っ込んだテロリストの気持ちにも思い及んでしまった。制作者の意図ではなかったろうが2機目の突っ込む瞬間が5秒ほど映されていた。私の感覚では加速して突入している。その最後の5秒にテロリストが何を思ったか。「アメリカ帝国主義!」という言葉が浮かんでしまった。

 マスコミや政治家は「リメンバー」を繰り返す。これもまた彼らが必要としていることだ。がしかし,そこには「反テロ戦争」によって殺された無実の市民に関する言及はなかった。

(911日,NYにて)

8唐渡 興宣

 アメリカはいわゆるニューエコノミーという未曾有の好況の下で,国際経済における競争で一人勝ちの体を演じてきた。その一時的経済的パフォーマンスに幻惑され,アメリカニズムをグローバリゼーションと称して押しつけてきた。その傲慢さは政治的には単独主義(ユニラテラリズム)として現れ,世界の警察・憲兵として君臨する姿勢を強化してきた。9.11以後にはそうした姿勢を一挙に加速している。とりわけアメリカの急速な景気後退による民衆の先行き不安を外側に向けることによって解消せんとしている。アメリカは45兆円にも達する膨大な軍事費を毎年消化しなければならず,その消化先を絶えず探し続けており,今を軍事力行使の絶好のチャンスと見ているのであろう。

 とはいえドイツでもイギリスでもアメリカの目に余る行為に対して反対の世論が盛り上がっている。こうした世論に私たちも誠実に耳を傾けると同時に,私たちの日本においてもそうした世論を作りだしていくことが,今問われているのではないでしょうか。


9北田 芳治

 「悪の枢軸」を名目にしたアメリカのイラクに対する一方的攻撃がいよいよ現実化してきました。このことも気違い沙汰と思えますが,国際的には日本だけがこれを支持するとすればさらに輪をかけた気違い沙汰と思います。しかしこの可能性は大きいと考えます。

 小生は「有事法制」について最初は,国内に陣地を構築するために民間の土地を接収するなどの法制度をあらかじめ作るなど,戦前にも見られなかった悪質なものだということを周囲の人に言ったりしていました。戦前は他国を攻めることしか考えていなかったからと付け加えたりしていました。しかし小生自身が「有事」という言葉に惑わされたということを最近痛切に感じてきました。小泉は備えあれば憂いなしという事を言います。これについてはて北朝鮮のテポドンの脅威をあげることがあります。しかし北朝鮮が現実にテポドンを打ち込むことはあり得ないことです。万が一,打ち込まれたとしても国内に戦車の通る道をつくるとかは全く関係のないことです。

 「有事」ということで我が国の防衛に関係があるかの錯覚を作り出しているわけです。これはまさにトリックです。そういうトリックまで使って戦争が出来る態勢を作るということは,やはりアメリカのイラク攻撃に参加するためのものだと思わなければ行けないと強く考えるようになりました。

 有事法制の阻止はきわめて重要になってきています。


10北原

  正義を振りかざす超巨大国家の無軌道ぶり

 1年前我々が声明で表明した「今こそ理性的な対応を」という願いも空しく,米国は報復のためアフガンを武力で制圧,我々の危惧していた「憎しみと報復の悪循環の進行」は現実のものとなった。そして今年中に米国はイラクに対して大規模な先制攻撃を仕掛けるという。超巨大国家米国のこの無軌道ぶりは本格的な世界永続戦争の幕開けを予感させ,世界中の人々を恐怖に陥れている。

 何としてでもこの対イラク先制攻撃を止めさせなくてはならぬ。「自国に対する他国の軍事的脅威が大きくならないうちにその芽を摘もうとする武力攻撃は正しい」という米国の論理と行動は,国連憲章に明白に違反し,平和のために築かれてきた国際法秩序を根底から崩すものだからだ。とくに米国がこの論理を正義の国=米国にのみ許される権利と考えている独善性に,我慢が出来ない。

 イラクによる大量破壊兵器開発の実態やイラクが暴発する蓋然性の程度について,よく知っているわけではないが,厳重監視の必要があるといわれれば否定はしない。しかしこれらの点で米英両国が公表した情報はきわめて不確かで,先制攻撃の正当性を納得させるにはほど遠いものでしかなかった。化学兵器工場だという誤った情報をもとにクリントン政権が行った無法なスーダン攻撃の惨状が思いだされる。それにしても核兵器の使用や化学兵器の開発および大量散布の実績でずば抜けた存在なのは米国なのだ。国連による厳重監視が必要なのはイラクだけではなかろう。米国もだ。


11小谷 崇

  「太陽政策」こそ本命 

 9・11事件から1年。米国と日本との超タカ派政策ばかりが突っ走っている。今日の米国は,ついに国連も同盟国も無視して単独でイラクを攻撃すると(事実上)公言するまでになった。日本はテロ特措法可決から有事法案国会提出まで,平和憲法破棄ヘ直進した。しかしそれらの政策は,米国の孤立化,有事法案の不成立にみられるように,破綻必至である。唯一の解決策は,金大中韓国大統領が実行し,ついに北朝鮮の方針を転換させた「太陽政策」にある。「(文明や宗教や体制の)異質な(前近代の)国」も,経済と生活が向上すれば,長期的には,その国民自身の意志で,その「異質」さを変えよう。マルクス主義もこの問題を考えたい,と思う。


12小宮 昌平

  「あれから1年」

 9・11の貿易センタービルの映像に私はとっさにバベルの塔を重ね合わせてしまった。ブリューゲルのバベルの塔である。だが数千人を一気に死滅させたビル攻撃テロをバベルの塔と比較するのは,いささか不謹慎かとも考えた。

 今はそう思わない。ブッシュの国家安全保障戦略は,「ソ連崩壊後,圧倒的優位に立つ米国にいかなる国家も追いつくことは許さない」と,武力脅迫による世界制覇を公言するにいたった。バベルの塔は,われらの勢力を高々とかかげよう,われらの名こそ天地のなかでもっとも強い名,美しい名,この世はわれらだけでこと足りると公言する人びとによって着手された。センタービル崩壊はバベルの塔とそのまま重なってしまった。

 バベルの塔を意図した者たちに,神は互いに言語が通じないという罰を与えた。センタービルを攻撃したのは,宗教の名の下に無差別殺人を賛美するもっとも非文明的なテロ集団であった。標的となったセンタービルは,賭博的な国際金融取引が合理的に富を生み出すことができるという「経済学」や,経済の永遠の上向きを確信するニューエコノミーなどを象徴する役割ももたされていた。ともに20世紀の経済発展の負の遺産である。

 米国のイラク攻撃強行姿勢への世界の反応が,人類をこの負の遺産の清算に向かわせる導火線になることを期待するほかはない。

2002/09/21
 


13佐々木 洋 

 9・11事件の「テロ戦争」や,ラムズフェルドの進める「軍事革命」を見るにつけ,アメリカの政治経済軍事分析の重要さを思い知らされた。そこで,門外漢でありながら,多少ともそうした切り口から,自分に出来ることはないかと,取り組んだのが,ロバート・S・リトウォク著/佐々木洋訳『アメリカの「ならず者」国家戦略―その起源・生成・軋轢―』(Robert S. Litwak, Rogue States and U.S. Foreign Policy; Containment after the Cold War, Woodrow Wilson Center Press)の刊行である。

 この仕事から受けた印象は,現代政治学分野では,チャルマーズ・ジョンソンやマイケル・クレアなどの非常に優れた研究がある(リトウォクの著書も誠実で説得力ある学術書である)のに比べると,政治経済学分野の業績は見劣りするのでないかとの懸念であった。 

だが,逆にいうと,政治経済学的な,実証的な研究は,それだけ,分析視角的に,あるいは,典拠資料的に,厳しい制約があるということかも知れない。そう考えると,わが学会にも,安全保障問題を不可欠な対象に組み込んだ研究交流が求められるのでなかろうか。


14渋井 康弘

  悲しみの共感こそグローバルに                     

 19991月,劇団・木山事務所が『はだしのゲン』のニューヨーク公演を行なった。『ニューヨーク・タイムズ』は「心に響く衝撃的な平和の願い」と絶賛し,多くのアメリカ人が涙をぬぐった。原爆投下を正当化するのが一般的なアメリカで,1945年・広島の惨状を描く舞台が高く評価されたことに,私はアメリカの世論の変化を感じていた。しかし,2001911日以降のアメリカは,そんな私の思いを吹き飛ばした。

「罪もない人達を殺すなんて,許せない。」インタビューに応じるアメリカの人々は訴え,犠牲者の家族らと悲しみを分ち合う。私もそう思う。許せない。だがそれは繰り返されてきたのだ。アフガンでも,イラクでも,広島や長崎でも。実に多くの罪なき人が,鉄の雨に打たれ,放射能の霧に曝され,子どもを,親を,友を,恋人を失った。この人達の痛みをも,自らの痛みとして受け止めようとする人が,今のアメリカにどれだけいるだろう。

グローバリゼーションが日々の話題となり,資本も技術も人も国境を越えて移動するこの時代に,何故か悲しみの共感は,国境を越えられない。そして今,アメリカはイラク攻撃の準備をしている。繰り返し訴えよう。共感がグローバルに広まるまで。アメリカにも,『はだしのゲン』に涙する人達がいたのだから。


15新藤 通弘

 90年代初頭の東西対決構造の終焉後,アメリカの一極覇権主義は次第にその度合いを深めてきておりましたが,昨年の911日以来ブッシュ政権は,ファナティックな性格をむき出しにして,まさに傍若無人外交(ユニラテラリズム)を推し進めています。

 予防先制攻撃を一国のみの基準から正当化できるのであれば,これまで築かれてきた国際法は,なきに等しく,数世紀も歴史を後戻りさせる考えです。

 2001911日は,そうした意味で現代史の画期をなす期日と後世の歴史家は述べるのではないかと思います。

 あらゆるテロリズム反対,国連を中心とした話合いによる紛争の解決を強く世界に呼びかけましょう。


16須江 國雄

 私,今年から経済理論学会に加入致しました,佐野短期大学の須江國雄ですが,夏に調査研究でオーストラリアに行っており,遅くなり申し訳ございませんが,声明「無差別テロと軍事行動との悪循環を断ちきる理性的行動を」には,賛同致します。


17鶴田 満彦

  グローバリゼーションと9.11テロ

 衝撃的な9.11テロの実体についてはまだ十分には明らかにされていないが,その重要な背景には,情報化・金融化・アメリカ化という特徴を含んだ現代の急速なグローバリゼーションがあるように思われる。

 東西冷戦と91−92年の湾岸戦争に勝利したアメリカは,グローバリゼーションという名のもとにユニラテラリズム(単独主義)を強行している。9.11テロ以後,アメリカの常軌を逸した傍若無人ぶりはいっそう強まり,一方的に「悪の枢軸」を指名し,自国の保有する大量破壊兵器を棚にあげて,大量破壊兵器を入手する前にイラクを先制攻撃すると公言している。

 しかし,他方では,「反グローバリズム運動のグローバル化」(A.ギデンズ)といわれるように,インターネットなどで連携する市民レベルのグローバル・コミュニティは着実に成長して,アメリカ主導のグローバリゼーションへの有力な対抗軸になりつつある。

 このグローバル・コミュニティが,テロと報復の悪循環を断ち切り,世界レベルの公正と平等,環境保全を保障するような国際秩序を構築して,その枠内にグローバリゼーションを包摂できるかどうかに,21世紀の人間の運命はかかっている。


18鄭 淵沼 (Chong Yon So)

 アフガン戦争からさらにイラクへの戦争準備に狂奔しているアメリカの「独走」をどのようにしても押し留めなければなりません。独自の国益観から発したアメリカの単独主義にたいし同盟国からも反対の声が日増しに高まっており,とくにアラブ諸国から戦争の危機に対し強く反対するのは当然といえましょう。私はイラクへのアメリカの戦争に強く反対します。

  深刻な経済危機のなか異常な体制まさに戦時体制を構築するために膨大な予算を計上しながら,さらに莫大な戦費を積み上げ財政赤字をふくらませるばかりのアメリカ経済に果たしてどのような展望が描けるのでしょうか。危機に直面したアメリカがそれから逃れる方途があり得るはずです。国際的な合意のもと交渉による平和的な解決につとめるべきです。 

2002.9.20


19中野 洋一

  2001911日のテロ事件と途上国の悲惨

 2001911日,ニューヨークで悲惨なテロ事件が生じた。それは世界中に大きな衝撃を与え,アメリカとイギリスはその後,アフガニスタンにおいて「テロ報復戦争」を開始した。最初の報道では,911日のテロ事件での1日の犠牲者は数千人の規模と発表された。それから毎日,その悲惨なテロ事件での犠牲の映像が世界中に連日大量に流された。しかし,その後の報道では,当日の死亡者の数は名簿を整理したところ,3000人程度と修正された。

 さて,911日のテロ事件は確かに悲惨なものであった。その1日の犠牲者の規模にも世界は驚嘆した。しかしながら,今日の発展途上諸国の貧困の実態を知るとその1日当りの死亡者の規模がそれよりもはるかに大きいことにさらに驚愕させられる。

 たとえば,UNICEF(国連児童基金)の1993年の『世界子供白書』によれば,途上国においては貧困からくる栄養失調や病気のために年間1200万人もの子供の尊い命が失われていると報告されている。1日当り3万人以上の子供たちの命が貧困という「構造的暴力」によって毎日失われているのである。それは911日のテロ事件での1日での死亡者の数の10倍以上の規模であるが,毎日の報道ではほとんど扱われることがない。

 また,最新のエイズに関する国連の報告によれば,2000年末の世界のエイズ感染者は4000万人であり,その90パーセントが途上国の人々である。エイズという病気は現在では「貧者の病気」と呼ばれている。そのエイズによって,年間300万人もの人々が死亡している。1日当り約8000人の死亡者数であり,これもまた911日のテロ事件での1日の犠牲者の数をはるかに上回っている。このように今日の世界では途上国においては,911日のテロ事件より大規模で悲惨な貧しい人々の毎日の「地獄の生活」が存在しているのである。しかしながら,それはほとんど広く知られていない。

 多くの識者によって「貧困はテロリズムの最大の温床である」と指摘されているが,一部の地域ではパレスティナのように貧困の上にさらに政治的あるいは民族的抑圧が加わり存在する。そして,人々の絶望と怒りがさらに付け加えられるとテロリズムの爆発となる。

 われわれは,グローバリゼーション(世界経済の一体化)→貧富の拡大→貧困・抑圧・絶望→テロリズムの爆発,という悪循環の深刻な問題に直面している。このグローバリゼーションがもたらす悪循環の問題をなんとか解決しなければならない。

 それゆえ,発展途上諸国の深刻な貧困問題すなわち世界の南北問題の解決と世界平和の実現が最重要な課題となっている。


20西野 勉

  「あれから1年」について

 昨年108日付けで我々が行った諸国家への訴えの内容は,その後の1年の経過に照らして見てほぼ全面的に正しいものであったことが確認出来る。この間の米国の行動,それに連動したパレスチナにおけるイスラエルの武力的手段の強化等は,アラブ世界において反米感情とテロの温床を確実に拡大再生産した。また,この間あの事件をいわば活用して日本にも起こり得る「有事」として世論操作をしつつ,支配層が日米安保条約を「米国の世界戦略と共に行動する条約」へ決定的に変質させてきたが,これも「あれから1年」の負の出来事としなければならない。日本のあり方をどう変えるか我々の関与責任は益々重くなってきている。


21平石 修

  経済埋論学会関東部会パネルディスカッションによせて    

小泉政権は従来の自民党政権で最悪の政権だと思います。この政権がいまだに40%という高い支持率を持っている,そのことが心配です。有事法制は,国民の生活を守るための法律だということですが,実質はその逆であろうと思います。国民の保護と開係する条文はありませんが国民を戦争に協力させるための条文であれば十分にあります。アメリカが計画している戦争に,日本の軍隊を出して積極的に協力するための法律というのが,正直なところであろうと思います。その協力で日本の軍隊に死傷者の出る可能性があるだけではなく,日本の国土にも死傷者の出る可能性があります。この法律ができるとして,そのさきにあるものは,憲法改悪による徴兵制の採用や軍備強化であろうと思います。小泉政権は,いま税制改革を高額所得者に有利で,低額所得者に不利な方向でとりくんでおります。軍備強化は税金の増大を要請するとともに国民の福祉の圧縮を要請します。いま健康保険関係の法律で高齢者を中心に国民の負担の増大をねらっておりますし,言論関係の法律で国民の言論の統制をねらっております。政府は,憲法によれば国際平和の貢献のために努力し国民の生括の安定のために努カすべきものとしてあるはずです。政府の進めているおそろしい方向の,その逆転がいまこそ叫ばれなければならないと思います。

2002,7,16


22福留 久大

 賛同いたします。意見としては,ごくごく平凡ですが,日本では武力を用いないと憲法で規定しているということを,幾重にも本気で,強調・主張することです,あくまで本気で。


23藤岡 惇

  9月11日は,経済学に何を提起したか

 この1年間の動きをみて,つぎの3つの感想を持ちます。第一は,「独占軍国主義」という視点で米国の動向を分析することの重要性です。じっさい米国は戦死者一人の犠牲でタリバーン政権を粉砕できました。宇宙覇権と精密誘導技術(そして超小型の核兵器)とを統合することで,軍事的に米国は無敵になりうることが確証されたのです。「独占資本主義」とか「国家独占資本主義」といった旧来の理論は,視野を純経済的側面に限定する傾きがあり,自然環境や市民社会,政治の動向によって,経済がどのような変容をうけるかを解明できない弱点がありました。これにたいして「独占軍国主義」という概念は,少なくとも経済と政治・軍事とを結合していますから,より現実に近いのだろうと思います。

 第2に,経済政策の点でも,軍事と国際関係の点でも,ブッシュ政権は,19世紀末の帝国主義時代のルールに戻りつつあるように思います。ただし,かつて流行した「帝国主義」論には,経済主義的な全般的危機論の誤りがへばりついていましたので,私は,この用語の使用には慎重でした。しかしこの1年の動向をみるとき,現代資本主義を,政治と経済とを統合する「帝国主義」という視角から分析することの意味は非常に大きい。こんごは「自然の一部に経済がある」というエコロジストの視点にたち,民主主義的代案を模索する市民運動の可能性も組み込んだ,もっと柔軟な帝国主義論を創造的に展開していきたいものです。

 最後に,「弱者の恐喝手段」としての無差別テロという反抗手段が,いかに誤った,有害なものであったかが劇的に明らかになった1年でした。「真実と和解,強者の非暴力,大量生産ではなく大衆による生産」を唱えたM.K.ガンジーやシューマッハーの見地を科学的社会主義の変革主体論にどう取り入れるのかを,南アの「環境と開発」サミットに集うNGO活動家たちは鋭く問いかけています。
 


24増田 寿男声明世話人としての文書発言

  9.11テロから1年  

 1.9.11テロの背景

ソ連の崩壊で終了した冷戦体制後の世界は,アメリカの一極支配とその下でのグローバリゼーションの進展によって特色づけられる。90年代の世界は,アメリカが唯一の軍事大国となったばかりでなく,経済的にもITを基礎として一時的な「繁栄」をし,この下でグローバリゼーションを押し進めた。WTOIMFもこのアメリカンスタンダードの推進軸となった。このことは,第三世界との格差を拡大させ,第三世界の貧困を増大させることとなった。超軍事大国であり,しかも経済的に覇権国家として振る舞うことになったアメリカに対し,第三世界の抵抗ばWTOやIMFやサミットに対する反対運動やテロという国家としてでなく様々な運動体としておこなわれてきている。9.11のテロの問題もこういう運動の側面を持っていると理解する必要がある。

 2.ブッシュのテロとの戦争

ブッシュ大統領が9.11テロに対する報復として,犯人であるかどうかすらはっきりしないビン・ラディンを攻撃するという名目でアフガニスタンという国家を空爆するということは,国際法からしても全くあってはならない軍事行動である。しかもこの行動に対し,先進諸国は事実上の反対もなく支持するという事態に至っては,アメリカの軍事行動を阻止できない故の消極的行動でなく,積極的な支持行動をとったということでは,世界が完全にアメリカ独裁体制であるといってもよい形になってしまっている。

 3.アフガニスタンの現在をどう見るか

ビン・ラディンを捕まえるという目的は果たさないで,アルカイダを北部同盟を支持することで追放し,新しい政権を作ったが,アフガニスタンの政治情勢は軍閥が割拠する体制で安定政権にはほど遠い。しかも,アルカイダ討伐作戦は続いており,空爆は未だ継続している。アメリカの軍事介入がなくなれば,アフガニスタンはまた内戦に逆戻りする可能性がたかいといわれている。ということはいつになったらアメリカの軍事介入が終了するのかもはっきりしない。このことは最初からのアメリカによる空爆という軍事介入が間違っていたということ以外の何者でもない。

 4.日本の参加

アメリカのアフガニスタンへの報復に対し,目本はテロ対策特別措置法を作り,自衛隊の海外派兵を積極的におこなっている。湾岸戦争の時の金銭的支持では不十分という理由で今回は積極的に軍事行動で示すことになった。現在,自衛隊の補給艦2隻,それをまもるための護衛艦2隻,連絡用などの護衛艦1隻が,アメリカ海軍の燃料補給などの支援を今も続けている。私たちにとってテロ特別措置法と継続審議になっている有事立法の問題が,当面大きな問題である。日本国憲法が戦争放棄条項を持っていることが,我々の大きな自負であったはずである。これが事実上なし崩しにされてきていたが,今回の事態は今までよりはもっと深刻である。ということはこれによって戦争放棄条項は,全く形骸化してしまうからである。テロという事態をもって憲法を実質的に変えてしまうという事態に対し,国民的な反対運動の力が弱い。テロで声明を出した責任からも経済理論学会として何かしなければならないと考えます。

105日)


25毛利 明子

 マルクスやケインズの考察した対象は,national economy というclosed systemの資本主義でしたが,いまや考察の対象は国民経済という枠組みをこえたグローバルなものに変化した。生産力が国という生産関係の枠組みを突破してしまった。この状況に対応する経済理論としては,ネオ.リベラリズムがあるが,それにもとづく政策がもたらしたものはテロの頻発する不安定な現代世界です。これに代わるグローバル経済に対応した経済理論の構築が急がれるとおもわれます。

 私の貧しい研究経歴の範囲でそれを考えるとき,参考になるのは1970年代に研究された新世界経済秩序 NIEO と関連した経済統合の理論がある。EUの成功という歴史の事実もあり,アジアに広域の経済共同体を形成するための具体的提言をわれわれの学会が創り上げること。EU とアジアに大経済共同体が形成されるならアメリカの専横は大きく制限されるし,日本の対米従属的性格も変化する。ASEANの実績や中国の台頭その他,21世紀に入ってそのための条件は好転しているとおもわれます。またわれわれの学会員にはその理論のための蓄積も多くある。そのためのプロジェクトを立ちあげることを提案します。


26森岡 孝二

  アメリカの外交目的と軍事支配                  

 拙稿「アメリカにとっての2001911日」(『経済科学通信』第98号,20024月)をまとめるために,ノーム・チョムスキー『アメリカが本当に望んでいること』益岡賢訳,現代企画室,1994年(What Uncle Sam Really Wants, 1986)を読んだ。

 この本は,ジョージ・ケナンが1948年に国務省政策立案者に向けて書いた政策研究計画の一節を引用している。私は,当時,極秘資料であったこの文書のこの一節ほど帝国主義国家アメリカの外交政策の中心目的をあけすけに語った言葉を知らない。これは冷戦を超えて現在の対アフガニスタン・イラク戦略にも貫かれている。

 「我々の人口は世界の6.3%にすぎないが,世界の富の約半分を所有している。……こうした状況では,我々が羨みと憤慨の対象となることは避けられない。今後我々が本当にしなければならないことは,この均衡のとれない位置を維持できるような国際関係の様式を作り上げることである。そのためには感傷主義と夢想とは捨て,あらゆる面で,我々の国家目的に注意を集中しなければならない。……人権や生活水準の向上,民主化といった曖昧で非現実的な目標について語ることをやめなくてはならない。我々がはっきりと力によって問題に対処しなくてはならない日が来るのはそう遠いことではない。そのときに,理想主義のスローガンに邪魔されなければされないほど好ましいのだ」(同書14ページ)。


27八木 紀一郎

  思想的衝撃と社会科学的分析

 9月11日のテロ事件は,大きな思想的衝撃をともなった事件であった。それは,具体的要求がない攻撃,つまり,アメリカに代表される資本主義的世界に対して,それに脅かされている共同体的な世界を対置しておこなわれた攻撃であった。それは,国境を越えるという意味だけでなく,国家を超えるという意味でも「国際的」であった。グローバル資本主義への違和,パレスチナ人への明かな不正,流れ込むオイルマネーという条件をもったイスラーム世界が,そうしたテロ組織を生み出す土壌になった。

 この攻撃に敵意を感じ取ったブッシュが,それを自由と民主主義の世界への挑戦とみなして「新しい戦争」を宣言したことには,上記の思想的衝撃へのある種の直感がある。アメリカは,それに対して国家の総力をあげて戦おうとしている。しかし,社会科学者は,まず,テロリストとブッシュの双方がいだいているような黒白一色の,あるいは善悪二元論的な世界像に対して批判をおこなうべきである。「自由」と「民主主義」の価値と機能は,経済的・政治的,あるいは軍事的支配と切り離しうる。これは,テロリズムと(米国を現在支配している)好戦的愛国主義を批判する基礎である。また,社会科学者は,このような思想的事件も,(まったく没思想的な)利害闘争(原油利権など)に利用され,そのなかで決着させられるというシニシズムをも認識しなければならない。

 現実の進展の思想的衝撃の大きさにたじろぐことなく,上記二つの分析と批判の課題を遂行することが社会科学者の責務であろう。


28和田 幸子

 最近の内外の情勢を見ていて気になることは,強者の弱者への排除の論理,異民族や異教徒などへの蔑視や攻撃を正当化する排外主義的思考傾向を,さまざまな口実をつけて国際的な価値判断の基準(グローバルスタンダードに?)にする動きが強まっていることです。

 歴史的にすでに破綻が証明されている筈のこの種の論理が,「中国脅威論」「北朝鮮拉致問題」とも絡んで日本国内においても強まって来ているように思われますがいかがでしょうか?。さらに他者への思いやりを欠いた社会には,孤立感にさいなまれる人々が増えてきました。

 こうして人間関係をバラバラに分断され,相互理解を遮断されそうになっている今,私たちは,米国を盟主とする「世界破壊同盟」に荷担することの意味について問い直し,その非を見抜き,国民の各レベルで状況の認識を共有するよう努力することが求められていると考えています。また,国内の研究者ばかりでなく,世界各地で活躍する大勢の人々と国際的な意志疎通をはかることなども,必要だと感じています。

<以上>