届け! 7万7千家族へ
クリスマスが近づいてきました。初詣は神社に行きますが、クリスマスにはどこに行けばよいのでしょう。
我が家で家族揃ってクリスマスをお祝いするという方が多いと思いますが、ちょっと不思議な戸惑いを覚えませんか。クリスマスケーキが用意され、ご馳走も揃いました。まるでだれかの誕生日のお祝いのようです。確かにクリスマスは、イエス・キリストの誕生を祝います。しかし、お祝いされるイエスさまはどこにいるのだろう。そんな戸惑いが残ります。
沼津市内の牧師・神父・司祭が集まり、そんな皆さんの戸惑いの解決を願い、クリスマスを祝う場所を皆さまにお知らせしようという話になりました。そして、市内の教会の場所とクリスマス行事の案内を記したチラシを作り、新聞折り込みにしました。その数は、何と7万7千枚でした。
一口に7万7千枚と言っても、段ボール箱31箱にもなります。また、印刷を業者に頼めばよいのでしょうけれども、お金には余り縁のない教会のことですので、全部自前で作りました。印刷のために輪転機を回し続けて14時間。これがチラシ作りの裏側です。それを市内にある新聞販売店に持参し、皆さんの目に留まることを祈ったのですが、気づいていただいたでしょうか。
白いB4コピー用紙に黒インク一色刷りで、市内にある一二の教会の場所とクリスマス行事をご案内しました。「クリスマスは教会へ」を合言葉に、ここでクリスマスをお祝いしていますから、是非お出かけくださいとご案内したのです。
この案内に応じてこれから近くの教会にお出かけくださろうと考えておられる方々に予めお伝えしておきます。それは、教会にあるものとないものです。教会にはクリスマスケーキやご馳走が必ずあるとは限りません。しかし、すべての教会にあるもの、それは、神さまのやさしさです。
イエスさまのお母さまのマリアがわたしたちに伝えてくれています。「わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます」と。この言葉は、神さまの愛がわたしの心の中で大きくなって、わたしはその神さまの愛の中でプカプカ浮いているような喜びがあるということを語っているのです。
教会にあるのは、神さまを礼拝する場所です。そこで神さまを礼拝する時、神の愛の中で生かされていることの喜びを味わうことができるのです。
聖書は、クリスマスの知らせを最初に受けたのは羊飼いであったと記しています。羊飼いはファンタジックな職業を意味していません。町の人からは疎んじられている仕事でした。しかし、その羊飼いに神さまはあなたの救い主がお生まれになったことを一番に知らせたのです。彼らに喜んで欲しかったからです。
讃美歌の「慈しみ深い友なるイエスは」という歌をご存知の方は多いと思います。その歌詞には「われらの弱さを共に負われる」イエスさまのことが、そして、「世の友我らを捨て去るときも」支え、導く神さまのことが歌われています。そのようなお方があなたの傍にいることを教会は礼拝の中で皆さまにお知らせしたいのです。どうぞ、クリスマスの喜びが皆さんに届きますように。
(沼津朝日「言いたい放題」 2010年12月15日掲載)