【山日記】  ツキ谷千尋滝登攀
【山域】   :台高
【日程】   :2008年10月5(前夜発)、曇り一時雨
【山行形態】:登攀
【食料】   :行動食
【メンバー】 :PINEさん、くりさん、あいかわさん、ごましお

【行程】   :滝下7:40 〜2ピッチ終わり 9:20 〜 3ピッチ終わり10:40 〜5ピッチ終わり12:5、13:30〜 6ピッチ終わり14:20 〜7ピッチ終わり15:40 〜8ピッチ終わり16:0 〜滝下16:40

今回デジカメを忘れたため、くりさん、あいかわさん撮影の写真を使用させて頂きました。

大滝で知られるツキ谷は、425号線から目にできる池原ダムに落ちる滝のある谷だ。
この夏に一度行って初めて目にした千尋滝は天高く豪快に流れ落ちる滝だった。その日は大滝を巻き、上流の滝をことごとく登らせてもらい、梅雨の晴れ間の一日、爽快感に大満足し、秋に大滝を登る話も出て帰った。
昔から登られていて登山体系には書かれているが、ネットで検索しても報告は僅かだ。
今回企画が出た際、私の力量で登れるだろうかと迷ったが、経験豊富なPINEさんくりさんとアルパインに強いあいかわさんなので、滅多に無い機会に勇気を出して参加することにした。



早朝朽ちた作業小屋の前には既に2台の車があった。最近人気がある谷だそうだ。小屋横には登山道があるが、谷に下りてスタート。直ぐに登山道に上がり大滝前に着いた。釣り屋さんが2人居るので車の主だろう。こんな所で釣れるのか疑問に思ってると、この上は登れるかと尋ねられたので、釣り装備では無理だと話すと帰って行った。

今回の装備は少し多くなった。残置がほとんど無いらしいので、ピトン、ボルト、カムが多くなりナッツが1セット、プレートアブミは各自、ロープ3本。シュリンゲ、カラビナ多数。結局荷揚げ用のロープは使わなかった。





準備を整え7時40分登攀開始。
1ピッチ目、前回試登したので、あいかわさん快調に登る。残置のボルトとピトンがあるのでピッチを切る。続いて私、天気予報では午後から雨らしいが、雨粒が落ち始めた。またも雨か、今年は必ず雨に遭遇してしまう。だが、覚悟を決めて登り出す。難なく登れ後続を待つが、足場が狭いので4人は無理、くりさん一段下で待つ。



2ピッチ目、あいかわさんが草付きに向かい登る。ランニングはカムになる。太い立木で短いピッチを切りビレイ支点にする。通常はここまでで1ピッチのようだが、安全を期して2ピッチになった。
ロープを送り出すと、団子になり最後に捻れを解すのに、狭い足場で難儀した。ダブルのロープ捌きが下手です。
ここも狭いので、3番目のPINEさんが来ると3ピッチに入った。



3ピッチ目、あいかわさん、最初のアンダーフレークを抜け、水線沿いに登るが、ビレイ地点から何も見えない。するとナッツが落ちてきた。ビレイ支点作りに時間が掛かったようで、漸くコールがあったが水の音で聞こえ難い。今度は上手くロープが流れた。
アンダーフレークから次の一手の足場が無く非常に悪く感じた。カムを持って体を引き上げた。
水線に沿って登ると大テラスに出る、テラスの上をトラバースしたがこれは間違い、大テラスに降ろしてもらう。その上の小テラスでピトンとカムで支点を取りピッチを切っていた。
その上の2段目の落ち口は被っているので難しいようだ。我々も登山体系同様トラバースしてブッシュ帯にルートを取った。




迫力ある眺望だ、こんな落差のある光景を間近で見たのは初めてだ。高度感に緊張しつつ圧倒されてしまった。

4ピッチ目、あいかわさん、左上するクラックに沿って登った。木の根やブッシュが邪魔になり登りにくい。その中でカムを外し損なった。いろいろ試したが私の技術では回収不能と判断し、PINEさんに大声でお願いし私はそのまま登ることにした。
上では、立木でビレイしていた。PINEさん難なく回収して登ってきた。
5ピッチ目、人工登攀の取り付きが分からないので、そのまま立木の間を探しながら進み短く切る。




6ピッチ目、PINEさん。いよいよA2の壁が登場してきた。偵察に行って上部に残置ボルトを発見するが、そこまでのルートが分からない。ボルトが飛んでいる可能性もあるようだ。兎に角上部に上がるルートを求めるしかない。時は12時10分、延々とルートを探した。
まず、壁横の立木から上のバンドに渡るが失敗する。次は下のバンドから水線沿いに登高を試みるがランニングが取れないのでスリングを残置して戻ってきた。時は13時半、もはや撤退かと思っていると、PINEさんは、手前のコブの上を斜上して上のバンドに降りるルートを狙っている。微妙な足場に乗り込んでコブの上まで行ってしまった。良く見えないが、支点を木の根から取り降りているようだ。上のバンドに載ってるPINEさんが見えて一安心する。次はくりさんがロープの中間に入りバンドに降り立った。あいかわさんが続き最後は私、本日の核心を前に気持ちを引き締める。ギアの回収を忘れずに慎重に斜上する、コブ上からは凹角になっており懸垂で降りなくてもテンションを掛けたまま降ろしてもらった。狭いバンドなので私は一段上で待機する。ピトンとカムでビレイ支点を取っていた。





7ピッチ目、PINEさん、いよいよアブミ登攀だ。バンドから上にリングボルトが4本見えている。1本は古い。果たしてボルトが持ち堪えるか心配だが使うしかない。PINEさん、思った程傾斜が無いので順調に登っていった。くりさんも続いてあいかわさん、アブミに付ける短い紐の引き渡しを忘れたため、途中のボルトに置いて登ってしまった。
その間に私は、ロープを支点から抜くためセルフビレイを取りロープを抜き再び結び直すがあまり気持ちの良いものではない、結構緊張した。アブミを落とさないようにザックから取り出すため、カラビナで全部繋いで注意して出した。

私の番だ、空が真っ暗になり、一人だけ滝の中に居るととても心細くなる。ここで焦っても事故になるだけなので時間は十分あると自分に言い聞かせた。
ロープにテンションが掛かった状態で、セルフビレイを取っているピトンをハンマーで抜く。ハンマーに付けた紐を直すのに時間が掛かった。最初の乗り込み後、カムの回収に失敗しないかと冷や冷やものだった。もし回収できないと残置になるだけ、それは避けたかった。
バランスに気をつけ最初のボルトに掛かったスリングを掴む、先ずはアブミを掛けて乗り込み3番目のボルトに次ぎを掛ける。
アブミに紐を付けるのに片手でしなければならなかったので可成りパンプした。
2番目のボルトを手掛かりに3番目のアブミに乗り込んでフィフィを掛けて休憩し、4番目のボルトに次を掛けて乗り込もうとしたが、ランニングを外し忘れて引っ張られて動けない。テンションが掛かり中々ロープが抜けなくて難儀した。ここが一番焦った。
4番目に乗り込むと真横を凄い勢いで流れる水に圧倒される。次のホルドはガバでホッと胸を撫で下ろした。岩場に逃げ込みアブミを回収して上がると、くりさんが待ち構えており記念写真を撮って7ピッチ終了。メンバーの顔から笑顔がこぼれている、みんな満足げだ。

8ピッチ目、落ち口に出る巻き道までの短いピッチ、簡単だが気を抜かず慎重に登った。16時下降開始すると雨粒が落ち始める。

巻き道からは6月に歩いた道で、至る所にテープがあり道を外すことは無いだろう。一度だけ懸垂して9時間の行程の末、無事に滝下に戻れた。小降りだった雨が駐車地点に戻ると同時に本格的に降り始めた。

あとがき
こんな大滝を登ったのは初めてで、当初私が付いて登れるか不安だった。幸い経験豊富なメンバーに助けられ、高度感にビビリながらも成る可く下を見ないようにして、屏風岩以来のアブミ登攀も無事に終える事が出来た。
二度と出来ない経験をさせてもらったメンバーに感謝したい。いつまでも記憶に残る登攀になり、経験値が増えました。



                               ごましお