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 遠いむかし、因幡の国、大きな竹やぶに、1匹のうさぎが住んでいました。 ある年の大水で、竹やぶはくずれて、うさぎは海に流され、隠岐の島にたどりつきました。 うさぎは因幡の国に帰りたくてしかたありません。 ある日、浜辺で黒い大きなワニザメが遊んでいました。 うさぎは「どちらの仲間が多いか競争しよう」と言いました。 正直者のワニザメは、うさぎを信じて、隠岐の島から因幡の竹ノ崎まで並びました。 うさぎは、数えながら、ワニザメの背中を飛んでいき、浜を降りる時、 「うまいことだまされたな。」と口をすべらせました。 ワニザメはたいそう怒り、大きな口でうさぎを捕まえ、白い毛を全てむしりとってしまいました。 赤はだかにされたうさぎが、痛い痛いと泣いていると、出雲の国の神様が通りかかり、 「傷をなおすには、海の水をあびて、風通しのよい山の上で寝るとよい。」と。 ところが、前より痛みはひどくなってしまいました。 そこへ、遅れてきた末の弟の神、大きな袋をかついだオオクニヌシノミコトが通りかかりました。 ミコトは、うさぎからわけをきき、「きれいな池の水で体をよく洗い、その後ガマの穂を敷き、その上を ころげ、ガマの穂を体にまぶしたら、風のない所で静かに寝ているがよい。」と言いました。 うさぎは、お礼をいい、ミコトに行先を尋ねると、「兄神たちと因幡の国の八上姫（やがみひめ）の もとに行く」と。うさぎは、「お姫さまは、あなたをおむこさんにお選びになるでしょう。」と言いました。 そして、姫はミコトをおむこさんに選び、結婚をしました。 うさぎは、池の水で体を洗って、ガマの穂にくるまると痛みはとまり、やがて白い毛がはえて、 もとの姿になりました。 |