「えっとねー、
東原 ののみ(ひがしはら ののみ)です!
えへへへ、元気でしょ。
ののみね、元気なのだけがとりえなのよ。」
「みおちゃんがね、ときどきすごーくながいきしているようにみえるのよ。
…どれぐらいって…えっとね…、おっきなねこさんくらい。
あなたにせんとーりょくがあれば、そのぎのー、げんしの力もつかえるでしょうって。
なんのことかな? ってきいたら、おおむかしのおもいでだって。
ののみがね、それでね、おおむかしにとらわれるひつようはないのよっていったら、こまってわらってたの。
じゅーよーなのはおおむかしといまではないのよ。そこからつづいてね、おーきくひらかれていく時のためにがんばることなのよ。
むかしはただのおもいでなの。
いまは一時のこしかけなのよ。
じゅーよーなのはむかしにもいまにもないの。
あしは、むかしといまから、どこかに走っていくためについているのよ。
だからどこかにいかなきゃいけないのよ。」
「えーとね。まいちゃんは、なにかにまよっているのよ。
うんめーだって。われもまた、うんめーのはぐるまとして、じんるいのけっせんでそんざいをつくるもので、かなしいって。
それでね、うんめーなんてみたことないからないのよっていったらね、そなたはちじょーのいかなるゆうしゃよりつよいなだって。
…。
えへへ。ほめられちゃった。
みんながふこーになるうんめーはね、めー。
そんなものはねぇ、あったらいけないのよ。
そのひとがどうなるかはそのひとがきめるの。
それが、だいじなのよ。
せかいのせんたくなの。」
「どこを見てるの?
ののみのこれ?
えへへ。ののみね、まつげ長い?
えっとね。まきちゃんが言ってたでしょ。
ののみは、しょーらいすごいびじんになるんだって。
うれしい?」
[選択1]
(ええと…。) / (ええ、もちろん。)
「えへへ。嬉しいなあ。
ののみねえ、ののみねえ、ほめられるのはうれしいんだぁ。
でも、だめなんだ。
ののみねえ、
おおきくなれないんだ。
けんきゅーじょのね、
じんこーちょーのーりょくとふろーふしのじっけんのけっかだって。
ざんねんだなあ。
おおきくなったら、がっこうのせんせいになったりね、およめさんになったりね、いろいろやりたいことがあったんだけど。
…。
でもいいんだ。
今、おともだちがいっぱいいるから。えへへ。
それにめー、なのよ。かなしいのはめーなの。ののみがこうなのは、かなしいけれど、もうかえられないから。
えへへ、それにね。なにがどうなるかは、だれにもわからないの。
むかしといまでないどこかは、だれにもいったことがないから、だからどーなるか分からないの。分からないことはいいことなのよ。
分からないけど、しんらいしているのよ。
それがじゅーよーなの。いいことはしんらいすることからはじまるの。
しんらいにこたえないものはないのよ。
だから、むかしといまでないどこかを、しんらいするの。そしてみんなに話すのよ。
むかしといまでないどこかのために、がんばろうって。
それがしんらいすることなのよ。」
ののみは、ねむたそうだ。
というか、こっちに抱きついてきて、寝息をたてている。
「…おとーさん…。」
[選択1-1]
(家に連れて帰る。)
しかたがないので、おんぶして家に運んであげました。
一日を終了します。
[選択1-2]
(起こす。)
「…うー。」
機嫌悪そうです。
「…。
ふええ、おおきい手だねぇ。」
ののみは自分の手と、○○の手を重ねあわせてみた。
「ののみがいちばんすきなひともね、手がおおきくてよくあたまを うー してくれたのよ。
いちばんすきなひと?
…。
おとーさん。
いつもわらっていたのよ。
ののみはおとーさんがだいすきなのよ。
だからいつもまねしてるんだ。
えへへ。
…ふぇ?
…うん。でもね、
おとーさんはね、おとーさんはねぇ、死んじゃった。
きぼーのたねはまきおえた、これからだい7せかいにいくだって。
きぼーってなにってきいたらね、
きぼーはきぼーがみえないって言ったのよ。
なぜならそれはじぶんだからって。
ののみがおおきくなったら、ことばのいみがわかるようになるのかなあ。」
「えへへ。えっとね、うんとね。
まいちゃんのお部屋をそーじしてあげたのよ。
とけーの電池も交換してあげたの。
えらい? えらい?」
[選択1-1]
(えらいね。)
「えへへ。うれしいなぁ…
えっとね、まいちゃんは、あー見えて、めんどうくさがりやさんなのよ。
ののみねぇ、ののみねぇ、おねぇさんみたいにおそーじしたんだぁ。
まいちゃんもこまったかおで手つだったのよ。」
[選択1-2]
(ポンと手を叩く。)
「ふぇ?」
「えへへ。えっとね、さいきんね、すごくあんしんできるのよ。
たとえね、どんなときも、○○ちゃんがたたかってくれる気がするの」
「えへへへ。
ねこさんとしゃべれる? しゃべれる?
すごいねぇ。」
「えっとね、○○ちゃん。
きいてもいいですか。」
[選択1]
(どうぞ。) / (なにかなー?)
「えっとね。
これ、なんてよむの。」
戸籍 東原 のぞみ
[選択2]
(これ、いったい…?) / (お母さん?) / (…うぉ?)
「えっとね、うんとね。
きのーになってゆーそーで、とどいたのよ。
じゅーしょかわってたのに。にほんのゆうびんやさんはえらいねぇ。
ふぇ? どーしたの。」
1990年生まれのお母さんはいますか。 答:いいえ。いません。
「ふえ? どーしたの?」
[選択3]
(ののみを漢字で書ける?) / (姉妹いる?)
ののみは、ふるふると首を振った。
[選択4]
(もんどりうって倒れる。) / (倒れる。)
「…そうしろって書いてあるの?」
ののみじゃなくて、君の名はのぞみだ。…と言いました。
「…。
…そーなんだぁ。
そーいえばね、おとーさんが、ののちゃんはあいしょーなのよっていってたの。
えっとね、うんとね。じゃあね、のぞみさんのいみはなんていうんですか。」
[選択5-1]
(望みだから希望。)
「きぼう…きぼー。しってるのよ。」(以下※に続く)
[選択5-2]
(望みだから未来。)
「みらい…、みー・らー・い?
…えっとね…うんとね。
…しってるのよ。しってるの。」(以下※に続く)
[選択5-3]
(ひどい嘘を教える。)
ののみは泣きそうだ。
「…うぇぇん。
うそー。それうそー。」
嫌われました。[イベント終了]
※
「むかしでもいまでもないところでしょう。
おとーさんが言ってたのよ。
それが、せかいのせんたくだって。
わがいちぞくは、おまえもそのためにあるって。
すべてはみんなそこをむいているのよ。
それはすごいことなの。
おとーさんがね、はじめてあったとき、すごいねって。ののちゃんはすごいねって…ほんとうだったんだぁ。
…うれしいなぁ。
うれしいなぁ。
そーかー。
ののみの名前は…いいなまえだね。
えへへっ。
おとーさんがね、ののちゃんが、むかしでもいまでもないときが、どこかわかったら、せかいはえらばれるって…。
いつか、このことばのいみもわかるかな。
わかるといいなぁ。」
ののみ「○○ちゃん。えっとね。質問なの。
なんでみんなピリピリしてるのぉ?」
○○「…。」
ののみ「それにね、なんでお菓子が高くなったのかな。」
○○「…。」
ののみ「あとね、みんながののみに急に話しかけなくなったの。
…ののみ、なにか悪いことしたのかな。」
[選択1-1]
(ののみを抱きしめる。)
何も言わずに、ののみを抱きしめた。
何か言おうとして、結局何も言わずに目をつぶるののみ。
[選択1-2]
(戦争が近いんだよ。)
ののみ「せんそ?」
○○「…戦争。」
ののみ「…せんそう。」
うなずいてみせると、ののみは下を向いた。
ののみ「…ふぇ。
えっとね、台風と違ってね、嫌なの。
それ。」
「ふぇぇ、ねこさんだぁ。
ねこさんかわいいねぇ。
ののみね、ねこさんをだっこしたいけど、ねこさんおおきいから変に見えるのよ。
えへへ。でもね、
このあいだはなしたらね、
ねこさんがね、とくにさしゆるすだって。
なにをいっているのかな。」
「…えっとね。
げんじゅーのこころのなかが見えた時があったのよ。
めーなこころと、とてもかなしいこころが見えたのよ。
それでないたらね、げんじゅーさんがきえたの。…なんでかな。」
「…なんだかね、目がまわるのよ。」
[選択1]
(今日は帰りなさい。) / (だいじょうぶ?)
「だいじょうぶだよ、
もー、しんぱいしょーだねぇ。
えへへ。でも、うれしいな。
…ほんとに…うれしいなぁ。
えへへ。」
本田「ええと、…その。
坂上先生、お願いします。」
坂上「…。」
本田「すみません…坂上先生。」
坂上「…みなさんに哀しいお知らせをしなければなりません。
昨日、ののみさんが、死亡しました。
風邪、です。」
クラスがどよめいた。
坂上「栄養失調がひどくて、ね。
医薬品も高くて手にいれることができなかったようです。
もうすこし早く連絡があれば…。
いや、元気そうにふるまってましたから、どちらにせよ、駄目だったかもしれません。
…。
…これも、戦争の一つの姿ですよ。
…勝手な判断ですが、私は彼女をしばらく生存していることにして、配給食糧をみなさんに増量しようと思います。
あの子もきっと、それを喜ぶでしょう。
皆さんも、健康には注意してください。
…以上、解散。」
坂上「…本当ですよ。
私も、あの子だけは、生きていて欲しかった。
戦況が悪いのは我々全員の責任ですよ。」