「…なんだよ。
せっかく俺様が、ちょっかいださないようにシテンのに、バカかお前?
シメルぞ、こら。
俺みたいのにつきあってねーで、優等生でもやってな。」
[選択1-1]
(よろしく。名前なんて言うんだっけ?)
「…。
オメー、いや、なんか調子狂うタイプだな。
…あー。
…香織。
田代 香織(たしろ かおり)。
ただし! 香織さんとか、香織ちゃんて言ったらボコる。いいな!」
[選択1-2]
(わかった。そうする。)
「へっ…。
ビビッてんじゃねえよ…。」
「なんだよ。
…うぜえぞ。
ここは変な奴ばっかりいるから、お前、勘違いしてるだろうケドナ…。
俺は、単に数合わせで配属されたバカだぜ。
…おめーは、俺達…いや、俺と同じ様には見えないね…。
…ついでに、おせっかいは損するぜ。
軍隊の流儀を知らねぇとな。
それだけ。」
「あーん? 死を告げる舞踏だってぇ?
戦車学校の怪談だろ。
絢爛舞踏、自動的なる死を告げる舞踏の者が、悪い人間と幻獣と、双方を狩るって…。
よく、話になってたぜ。
戦争って現実が厳しくて目をそむけたくて、そんなこと噂するのさ。
そんな人がいたらいいねって、そのうち、それが言ってる本人も信じ始めたって奴。
…へっ、俺はそうならねーけどな!
現実から目ぇ逸らしても、何にもなんねーんだよ。そいつは逃げてるだけだ。
俺は逃げねーぞ。
…逃げるとこなんか、俺にはねえんだ。
戦場以外は、どこにも、どこにもな。」
田代は上機嫌で、歌を歌っている。
「幾千万の私とあなたで
あの運命に打ち勝とう
どこかのだれかの未来のために
マーチを歌おう
ガン…
なんだよ、文句あんのか、ああ?
シメルぞ!」
「軍隊ってのはなんでもかんでも歌にしやがる。俺は小学生の頃、音楽の成績よかったから、別にイーけどな。
こー見えても、リコーダーでも歌でもなんでもござれだぜぇ?
いろいろ歌を覚えさせられて、ヘマやらかしたら修正くらってたけどな、俺は…それでも歌は好きだね。
特にガンパレード・マーチ。あれはいい。
不良はみんなそうさ。あの歌、ガンパレだけは、みんな好いてる。
ここに来る前は仲間だけでも良く歌ってたさ。
突撃行軍歌、斉唱、銃を取れ!
ヘヘッ。
あの歌を歌っている間は、俺達は、みんな全世界の人々のために命を賭けて戦う戦士だ。
みんなが俺達をソンケーしてるって思える。
それがなんともいいんダヨナ。
…幾千万の私とあなたで、あの運命に打ち勝とう。どこかのだれかの未来のためにマーチを歌おう。
そうよ未来はいつだってこのマーチとともにある。
…ってね。
俺はフツーの学校行ってたら落ち零れだけどな。ここはいい。
みんな、俺を仲間と認めてくれる。
ソンケーしてくれる。
それがどれだけ大事なことか…。
はは、不良の言ってることなんか、分からないだろ。
俺はな、いや、軍に拾われた不良はみんな、頭からあの歌の通り戦って死んでやるって思ってるぜ。
ダチ置いて逃げるようなドクソヤローとは違うってな。俺たちャ、全世界のために銃を取った戦士だって。」
「…今日は、俺のダチが死んだ日なんだ。
お前も乾杯してやってくれ。」
田代は、コーヒーを飲んだ。
「…これで俺と同じ中学出身は、俺だけになっちまった…。
知ってるだろ? 最近の小隊は、編成に便利がいいように、同じ地区の出身で、だいたい中学のクラスまんまなのさ。
…競争だからな。
いちいち適性を見るのも面倒ってね…。
全滅したのさ。地区のガキも、全滅さ。
…俺が人数足りないからって整備学校に回されていなきゃ、俺も置いてけぼりにはならなかったかもな…。
くそっ。幻獣め。
殺しても殺しても飽きたりねぇ。
俺のダチを殺しやがって。
…クソッ。
昔は良かったよ。
俺は、ガンパレード・マーチを歌って、銃をぶっぱなしてりゃよかったんだ…。
…はっ、大丈夫さ。俺は。
今はただ、悲しんでいるだけだ。
今日眠って、明日になったら、また戦うさ。
俺達が戦わなくなったら、俺達はまた落ち零れだからな。
今まで俺達不良に階級をくれて、飯をくれて世界の為に戦わせてくれた、軍を裏切れるわけねぇだろ…。
そうなったら仲間が悲しんじまう。
俺は、最後の一人になったって、胸を張って戦ってやるさ。ガンパレを歌ってな。
…。
…だから、今は悲しませてくれ。
俺を、少しでもダチと思うなら。
ダチのために何も出来なかった俺を、俺が悲しむ時間をくれ…」
「この手の平が青いのが…分かるかい?
…。
…さあね。俺は学がねぇからわかんねぇケド。
ダチが死んだあたりから、こうなったのさ。
…俺は、これがダチのように思えてね。
…だから時々、歌ってやるのさ。
俺達最低の不良がたったひとつ、信じるその歌を。」
「…。
俺はやめねえぞ。
ここで終ったら、みんなで歌ったあの歌がうそになっちまう」
田代は、地面を見ながら、ずっと小声で歌っている。
「…幾千万の私とあなたで
あの運命に打ち勝とう
どこかのだれかの未来のために
マーチを歌おう…。」
なにかとても大切な歌のようだ。
今日の田代は、何だか怒っているようだ。
田代「…な、なんだよクソ!
変に笑いやがって気持ち悪い!
…前々から思ってたんだけど、お前のその笑い、どうもムカツクんだよ。
…俺を…俺を見下しているだろ!」
[選択1-1]
(実は…。)
田代「…。
…はっ…ハッ!
そんなところだろうと思ったよ!
やっぱりお前も俺を珍しい動物かなんかと思って親切にするタイプだな!
…クソ! クソォ!
騙された…騙されたッ!」
田代は、泣きながら走っていった…。[イベント終了]
[選択1-2]
(誤解です。)
田代「…。
ウソつけ。
…アタイの…俺の頭が悪いこと、陰で笑ってるだろう。」
[選択2]
(怒る!) / (あ、いやそれはそれだよ…。)
田代「…な…、
なんだと!
俺が下手に出てればいい気になりやがって!」
田代は、めちゃくちゃなことを言い始めて怒った!
どうも途中から自分が何を考えて言っているか分からないようだ…。
田代「冷静そうな顔するな! バカ!
…くそ…クソぉ!」
田代は殴り掛かってきました。
田代「ていうか、ぶっ殺す!」
○○「…おいおいおい…。」
[喧嘩突入]
[PC勝利]
田代は、じっとこちらを見た後、その目に涙を浮かべた。
田代「ふぇぇん…。」
○○「ふ、ふえぇん…?」
田代「ふぇぇん…。」
田代が泣き出してしまいました。
理由と結果は全部脇において、○○の負けです。
家に連れて帰るまでに、だいぶ悪い噂が立ちました。
一日を終了します。
[田代勝利]
田代「…バ…バカぁ! なに俺やってんだよ!
っていうか、お前もお前だ!
ケンカ強くもないのに、乗るなぁ!」
自分から仕掛けておきながら、田代はわけのわからないことを叫んでわめいた。
田代「…バカー!」
一日を終了します。
[010でPC勝利時]
「…。
…そ、その…、
…あ、あやまります。あやまりますから…。
その…、
…おしおきは…やめてください…。」
[010で田代勝利時]
「…そ、その…悪い…。
悪かった…。
あの時は、なんちゅーか、いや、ああいう雰囲気に馴れてないというか…。
…こ、今度は…大丈夫だから…。
だ、だから…あの…。
…。」
田代「そうだ。…見せたい物があるんだ。見るよな。」
[選択1]
(ああ。) / (いいよ、別に。)
田代は、拳を光らせて、腕を走らせた。
淡い光の残光が、夜に残っていく。
田代「ほ、ほら。花火みたいだろ。」
○○「…。」
どうでもいいが、こんな使い方をされる絶技って一体…。
田代「あはは、ごめん、やっぱりつまらなかったよな。」
[選択2-1]
(もっと見せて。)
田代「え?」
○○「もっと見せて。」
田代「あ…うん。」
田代は、顔を真っ赤にして腕を振るった。
汗をかいていた。
[選択2-2]
(面白くない。)
田代「こっ、こっちだって願い下げだよ。」
しばらく下を見ていた田代は、不意に○○を光る拳でなぐった後、よそを見た。
○○「な…。」
よそを見たままの田代。機嫌を損ねたようだった。
田代が、明後日の方向を見ながら、突然拳を突き出した。
○○「わわっ!」
動きが止まっている田代。
頬のところが赤くなっている。
○○「?」
田代「…バカ! 早く受け取れ、手が疲れるだろうが!」
○○「…。」
手に、小さなウサギのキーホルダーがぶら下がっている。
○○「ありがと。」
田代「…。」
○○「…昇進祝い?」
田代「…。」
田代は動きをとめたあと、小さくうなずいた。
○○「…ウサギ。」
田代は、きっとにらむと、光る右ストレートで○○を殴って行った。
肩を怒らせて去っていく。