(海象社)
まえから「メールをやっていない友人に、これまでのニュースを全部プリントアウトして渡したよ」「あらら、重みあるニュースだから(^^;)、それは相当な重さだったでしょう」という話が時々ありました。
たまたまご縁をいただいて読んで下さっている方々のほかにも、私のおしゃべりや皆さんからの情報やコメントをお伝えできたらいいな、デジタル・ディバイド(情報格差)を超えてうねりが広がっていったら嬉しいな、と思ってました。
「突然ですが、enviro-news を本にしませんか?」というメールを海象社の山田さんからいただいたのは、2000年の1月のことでした。
「本の分量ぐらい、ある程度溜まってから」ということで様子を見ているうちに、分量があふれてしまいましたが(^^;)、増え続けるメールニュースに負けじと編集作業を進め、2000年11月に無事発刊されました。
『地球白書』テレビ番組/パキスタン人の運転手さん/テッド・ターナー氏/機内にて、環境報告書雑感/車社会 沖縄/環日本海環境協力会議/環境を考える経済人の会21、水俣市長のお話/ワールドウォッチ研究所/半導体セミナーにて/地球白書2000年版/ワールドウォッチ研究所 ブリーフィング参加記;前編/ワールドウォッチ研究所、ブリーフィング参加記:後編/リレー通訳/有機農場訪問記/渡り鳥に会いに/中国の地球温暖化対策/世界初の燃料電池タクシー試乗記/ドイツの新エネルギー法と市 場創出/携帯電話とカエル跳び/新ワールドウォッチ研究所と、教科書に載った環境/ハノイ旅行記/ベトナムのニュースより/身土不二/富山の売薬資料館で学んだこと/富山の薬売り/フューチャー 500と、日本人のチームワーク
棚田/棚田のつづきと、大江戸事情/棚田のつづき その2/棚田つづきその3/間伐材と林業/シベリアのタイガの破壊を止められるか/シベリアの森林問題セミナー参加記/山の感謝祭での講演会/森林問題のつづき/やった! 国内初「森林認証」取得/森林認証と技術移転/森林認証のつづき/グリーンピースの抗議活動〜北方材のゆくえ/北方材を扱う製材屋さんとのやりとり/血を流す島/気候変動と保険業界/里地と地球温暖化対策/世界の氷が消える日/すでに始まっている社内排出権取引/世界の氷が消えていく〜体験談/気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第二次評価報告書/鳥取の湖山池/湖山池の問題ふたたび/心配な湖山池/プラスチックの話2つ/ペットボトルはペットにあらずの巻/環境ホルモン/環境ホルモンの余談/千枚田と、川の話
地球環境問題 まとめ/原因/人口と豊かさについて/経済の変革/タマネギと電気の関係/仕組みづくりの話/ゼロ・エミッション/ゼロ・エミッション つづき/資源生産性と「本当の豊かさ」/功利主義を超えて/LCAとBWA(ビジネスワイド・アセスメント)/環境調停者/環境調停者 ふたたび/「エコ」って?/環境教育について/ファクター4・ファクター 10について/環境問題に取り組むために/「循環型社会」ってなあに?/循環型社会について ふたたび/「循環型社会」「もったいない」は英語になるか?/「もったいない」を英語にすると?/日本青年会議所のMOTTAINAI運動/もったいない つづき/もったいない つづきその2/山川草木悉有佛性/竜安寺のつくばい/モノを長く使い続けることの比較文化/ヨーロッパの捨てない文化とよろず屋さん/埃まみれの「物体」を誇りある「もったい」に/もったいない考/もったいない、チェロキーインディアン、そして線香花火/レスター・ウィーク/ビジョンともったいない/ビジョンの意味/岩手県の増田知事/ビジョン つづき/ビジョン つづきその2/コミュニケーションについて
富山の鱒寿司屋さん/鳥取の「かにめし」/グリーンコンシューマー/エコ・スリッパ誕生/ISO14001取得状況/ISO情報:アイソス/ナチュラル・ステップ/ナチュラル・ステップとISO14001/ISO14001の改定と原点/ISO14001の原点〜楢崎氏のお話/ISO14001を最大限活かすために〜環境マネジメントシステムの真の力/Changing Course/ISO14001と環境情報開示/ナチュラル・ステップと ISO14001、企業での取り組み/環境報告書/エコラベルと環境税はなぜ必要か/GRIシンポジウム報告記/GRIシンポジウム雑感/「環境経営」が「経営」になる日をめざして/環境報告書のどこを見る?/環境報告書とGRIガイドライン/グリーン購入ネットワークへのお誘い/グリーン購入ネットワークの購入ガイドライン/早い!安い!うまい! 環境活動評価プログラム/環境活動評価プログラムをいっしょにやりましょう/「今すぐできる環境マネジメントシステム」セミナー報告記/エコファンド/エコファンド つづき/エコファンド つづきその2/金融と環境/エコファンドに関する取材の報告/エコファンドの現状と、荏原製作所への対応/エコファンド ふたたび/エコファンド、指標、そして仕組みづくり/エコファンドとエコバンク/環境白書に初登場のエコファンド
東京都産業振興ビジョン/ダイナモ:住民が主体者となる新しい政策形成モデル/ダイナモの内側に迫る!/燃料電池実用化物語/鎌倉市の取り組み/山梨県の「グリーン購入」の取り組み/市民の市民による市民のための発電所/NPOに愛を込めて!/エコマネー/持続可能な都市へのチャレンジと国際環境自治体協議会/環境NPOとCSO/うるさい市民を増やすには/寒い寒い帯広の熱い熱い動き:北の屋台で町の活性化を!/屋台、そして投げ銭/カーシェアリング/カーシェアリング つづき/カー シェアリングの追加情報と、クルマ・交通と環境(214)/シェアリングの時代/持続可能なモビリティへ向けて
カエルのお話を2つ
こんな笑い話をご存知の方も多いでしょう。
いろいろな国の人々が乗船している船が座礁し、沈みそうになりました。何人かが海に飛び込んで船を軽くしなければなりません。船長がアメリカ人の乗客に「勇気があるなら飛び込んでください」というと、飛び込みました。イギリス人には、「紳士なら飛び込んでください」。ジャボーン。フランス人には、「愛があれば飛び込んでください」。ジャボーン。ドイツ人には「ルールですから飛び込んでください」。ジャボーン。そして最後に、日本人の乗客には何と言ったか?「みんな飛び込んでいるから、飛び込んでください」。ジャボーン!
私は、通訳者として数多くの環境に関連する国際会議(政府、自治体、企業、NGOその他)に参加している経験からも、また日本国内や欧米の友人や知り合いと、それぞれの国での環境への取り組みや意識についての情報交換をしている経験からも、「本当にこの通りだなぁ!」と感心しています。
私個人の感覚ですが、アメリカでの環境問題は、「非常に勇気のあるごく少数の企業やNGO、市民は先進的な取り組みをしている」けど「政府・議会にとって環境は優先課題ではなく、産業界は“環境は経済の足を引っ張る”と後ろ向きで、大多数の市民は環境問題や地球の限界などには注意も払わずに生活している」ような気がします。環境先進国のモデルと目されているドイツでは、税制や法規制などのルールづくりは本当に進んでいると思います。でも企業や市民がどのくらい「主体的に」取り組んでいるかは「?」という声もけっこう聞きます。
そして、わが日本! 上の笑い話は、日本人の「横並び意識」を揶揄するためによく語られますが、私は「横一線にスクラムを組みつつ進んでいる国」、「政府も自治体も企業も市民も、それぞれが、そしてお互いの連携と協力の輪を広げながら、環境問題に取り組み始めている、いま世界中でもっともオモシロくて注目に値する国」は日本だと思っています。
アメリカの企業が経済ブームに浮かれている間に、日本企業は“環境”を切り口に現場での地道な努力や企業理念の練り直し、体質強化を着々と進めています。わずか30年前には「品質が経営の一部に入ってくるとは思いもしなかった」そうですが、地球環境の限界が明らかになるにつれ、同じことが“環境”でも起こっています。そして、早くそれに気づき、経営に取り込もうと努力を重ねている日本企業は21世紀にはどんなに有利な立場に立てるだろうか、とワクワクします。
市民も地方自治体も、NPO法や地方分権の流れの中で、着実に「自力で立ち、責任を伴う権利の主張」ができるようになっていると思います。いま様々な試みや取り組みが行われ、勢いを加速しているいちばん元気な分野はここでしょう。
そしてもうひとつ、日本がとてもユニークなのは、政府の立場です。政府と経済界が協力して、温暖化への取り組みを進めている。企業の環境会計や環境報告書への取り組みをさらに加速するために、企業の代表者や学者といっしょに政府がガイドラインを策定し、さまざまな支援ツールを準備する。中小企業にも取り組みやすいような環境プログラムやガイドラインを政府が作成して、セミナーその他の支援を行う。誰でも家庭で取り組める環境家計簿だって、とってもユニーク。様々な形で政府関係諸財団が企業や市民に無料で支援やツールを提供する。環境NGOの事務局の運営を政府の関連機関が手伝う。このような企業や市民との「協働」(コラボレーション)は世界でもあまり例を見ないような気がします。
特にこの1〜2年の日本の動きは、本当にダイナミックで目が離せません! 環境は、企業にとっては「21世紀の生き残りの鍵」であり、市民にとっては「これまで忘れていた大切なものを取り戻すきっかけ」であり、政府や自治体にとっては「国民や市民との関係を築き直す道」になってきました。どの当事者にとってもそれぞれの意味で環境の重要性が高まり、それぞれの取り組みを始めているのが日本だ、と。行政と企業と市民という社会の3つの当事者が同じ方向に向かって、それぞれの分野で活動を始めています。
そして、特に最近では、インターネットなどのIT革命を活かして、時空も既存の領域も超えて、連携や刺激の与え合いがあちらでもこちらでも始まっているのが本当に面白いところです。あちこちで小さなネットワークが芽生え、雨滴の波紋が重なり合って広がっていく湖面のように、ネットワークのネットワークが広がり、新しい出会いと想いと取り組みを増幅させています。もちろん、勇気あるアメリカやルールづくりの進んだドイツを始め、海外の国々や国際機関、国際NGOから学べることもたくさんあります。逆に日本の取り組みに刺激を受けて、ドイツでも環境NGOと企業のコラボレーションが始まりつつあるなど、いろいろな分野で国境を超えたネットワークが広がりつつあります。何ともワクワクする楽しい時代です!
本書もそのようなネットワークの広がりの中で生まれました。一年足らずの間に、“環境”というつながりで、どれほど多くの人々が(バーチャルにせよ)出会い、新しい考えや取り組みが生まれ、たくさんの刺激や情報を送り出すと同時に受け取ることで広がり深まりつつある“エコ・ネットワーク”……。いつか、皆さんの思いやネットワークともつながって、より大きなうねりをいっしょに作っていけますように。
「エコ・ネットワーキング」の世界へようこそ!