鮭の燻製(ハード)

鮭といえば北海道ですが、地元にいても鮭の真相は不明です
種類・取れる場所・時期、これらの要素が味を複雑に、そして大きく左右します
肉の燻製に比べて再現性が低く、いつも同じ味にしあげることが困難な燻製です
その反面バリエーションが楽しめる燻製でもあります


毎年秋になると「鮭が獲れすぎて豊漁貧乏」の記事が新聞などで報道されます。ところが美味しい鮭はますます品薄、ますます高価になっています。同じ種類の鮭でも獲れた場所が数キロちがっても味が大きく異なります。大海から産卵のため河口に近づく過程でどんどん味が変化します。
ですから、「鮭を一本」と言っても肉屋で買ってくる豚肉のような均一性を求めることはムリです。塩鮭の切り身でも、一切れ100円から1000円の幅があります。原料の特性と製品の仕上がりを勘案して味を調整する必要があります。
北海道では10月末、蝿が出なくなってから製作します。

トラウトサーモン

トラウトサーモン
・脂肪が筋状についている大変美しい色の鮭です。
・以下、トラウトサーモンの写真で説明しますが、他の鮭もおおむね同じです。


ハサミで切る

ソミュール液(鮭4本〜6本)
・水 5 L ・自然塩 1Kg ・三温糖 100g+ザラメ50g・粒胡椒(黒) 50粒 ・ローリエ 3枚 ・オールスパイス10粒 ・醤油 180ml ・ミリン180ml ・酒 180ml 
・一度沸騰させアクを取ってから室温に戻す。

尾に紐を掛ける

下拵え
・鮭は三枚におろし細い骨は包丁ですき取ったり毛抜きで抜きます。トラウトサーモンは三枚におろした時、身の厚さ3cm-4cm最大幅18cmほどです。縦に2分します。それぞれを縦に幅2cmに切りますが尾部は切り離しません。
・尾部にタコ糸をかけて釣り下げます。

味付け

味付け
・ソミュール液に浸けて味をつけます。
・液に浸ける時間を一定にしても最終製品の味が大きくずれることがあります。浸けたときの味の染み込み具合と、乾燥工程での乾燥度の差です。鮭の脂肪の多寡が大きな差となってあらわれます。脂肪の少ない鮭は味が染み込み易く、乾燥も進んで塩が濃縮しますのでトラウトサーモンとおなじように浸けると濃い味になってしまいますので浸け込み時間を短くする必要があります。また、身への切り込みがない状態では数倍の浸け込み時間を要します。

味付け終了

味見
・鮭を手早く液から引き出して吊るせるような用意します。
・鮭を液に浸けてかき混ぜる。7分後もう一度かき混ぜ、その後7分たったら手早く引き上げ吊るします。合計14分間浸けたことになります。
・吊るして5分後一部を切り取り焼く。おかずにしても良いようであれば塩が強すぎ、おかずにはちょっとものたりないぐらいが丁度です。万が一塩がつよすぎたら水に浸けて塩抜きしますが、うま味も逃げますから極力避けます。
・塩味が足りなかったら30秒単位で浸け込みます。

煙を掛ける

燻煙・乾燥
・燻材は縦に二分割する。一回に二分割したものを1本使用します。少ない煙を数日かける方が上品に仕上がります。
・25℃を超えないように一日3時間ほど燻煙、ひき続き外で乾燥させることを7日間繰り返します。鮭と燻材のあいだの距離は50cm以上が理想的です。乾燥は太陽光に当てても良い。
・太陽にあてるとトラウトサーモンは脂肪が解けてしたたり落ちますが水分の蒸発は少なく乾燥しません。もし乾燥したトラウトがよければ縦にいくつか切れ目を入れる。
・最後の燻煙後3時間以上風に当てた後に(煙臭さを抜く)適当に切って真空パックする。冷凍保存で半年以上美味しく食べられる。

作品1

製品例1
・上記説明にあったトラウトサーモンで作った冷燻です。
・そのまま食べてもよし、サラダやマリネで楽しめます。
・乾燥度合いを変えることによって様々な旨さが堪能ではます。

製品例2
トラウトサーモンを製品例1より乾燥させたもののタコ糸で縛った
部分は、脂肪が乗っているにもかかわらず歯ごたえのある逸品で
門外不出の女房専用製品です。これは旨い。
作品2

製品例3
・脂肪分がすくない鮭で乾燥ぎみに製品を仕上げた例です。
・北海道で言うところの「トバ」に近いものです。