レストラン



【フランス料理は“高級”とはかぎりませ〜ん】

 フランス料理というと、『高級料理』なイメージがわくのは、フランス以外の国だけだと思われます。日本人が毎日食べているものが、すき焼きと天ぷらと寿司ではないように、フランス人が毎日食べているものは、外国人が考える『フランス料理』ではありません。

 どんな国でもそうであるように、フランスにも、手ごろな旬の素材を使い、家でできる範囲の技術で作った『家庭料理』が存在します。しかし、日本人以外の人が肉じゃがや煮さばやおひたしや秋刀魚定食をほとんど知らないように、私たちもフランス人にとっての肉じゃがや煮さばやおひたしや秋刀魚定食を、なかなか知ることができません。

 もちろん、フランスにはいわゆる我々外国人がイメージするところの、超高級フランス料理があり、それを供する超高級レストランがあります。

 しかし、これまた日本で、政治家がいくような高級料亭に、普通の庶民はまずいかないように、フランス人もそんな超ゴージャス・レストランには普通の(収入の)人はまずいきません。よっぽどものすごい人生のイベントがあるときに、とっておきのおしゃれをし、貯金を崩し、清水の舞台(彼らの場合エッフェル塔?)から飛び降りる気分で出向くことはある、という程度です。

【庶民の味方・定食屋にゴー!】
 彼らが普段行くのは、街の定食屋か、日替わり定食を出すカフェです。昼(デジュネ)なら、12、3ユーロ出せば、アントレ(前菜)、メイン、店によってはこれにデザートのついた定食を食べられます。
 ちなみに、メイン=mainというのは当然英語です。フランス語ではプラ=platと言います。英語でいうplateのことですな。

 アントレとかメインと聞くと、なんだかやっぱりおフランス〜のように思いますが、言ってみれば、『おひたし』がアントレであり、『肉じゃが』がメインなのです。“アントレ”や“メイン”という異国の響きでなんだかかっこよく思えるだけです。ちなみに写真は、パリ版“おひたし”である、アボガドサラダ。といってもアボガド切って、自家製マヨネーズソースかけてあるだけです。他に、葱をゆでてドレッシングをかけたものや、ゆで卵にマヨネーズかけたもの、などが“おひたし”レベルの定番アントレです。いやー簡単簡単。

 わたしたち夫婦は、事前にいろいろな資料で「おいしい」といわれる定食屋をチエックしておきました。「フランスだからどこにいってもおいしいはず♪」というのは巨大な間違いで、どんな国でもそうであるように、美食の国と言われるフランスにも、やはりまずい店(というか日本人の口と相性の悪い店)とおいしい店があるということを、前2回の旅行で、身をもって知ったからです。

 わたしたちが選んだのは、昼定食が15ユーロ前後のところです。旅行時は1ユーロが140円もしたので、日本円に換算すると2200円くらいになってしまいますが、現地の感覚でいくとだいたい1500円くらいの値段です。東京の飲食店が出す、平均的昼定食とほぼ同じかちょっと高いかな、という値段だと思われます。「吉野家の牛丼よりは立派だけど、金額的には別に贅沢というほどの食事でもない」といったレベルです。

【プラ・ド・ジュール(Plat du Jour)を狙え!】

 日本語に直訳すると、「本日のお皿」つまり本日のおすすめ料理という決まり文句です。だいたい、店の入り口にこれを書いた黒板が出てるので、それを一生懸命判読し、だいたい何を頼むか決めてから店内に入ります。

 ちなみに、我々は食べ物の単語だけは200語以上必死に暗記しており、これがまた非常に役に立ちました。普通の辞書に食べ物単語はあまり載ってません。また、店先や店内でおたおたひくのはあまりスマートとは言えません。

 左は実際に行った定食屋のメニューですが、この程度なら辞書無しでまず大丈夫な程度にはがんばりましたヨ!
 このメニューは字もていねいだし、筆記体ではないので字が読みやすく、また定食屋の定番メニューばかりで、珍しい素材や変わった調理法の料理がないため、単語自体が難しくありません。これは23ユーロの定食のメニューで、飲み物は別です。上の塊がアントレで、中央がメイン、一番下がデザートです。ひと皿だけで頼んだ場合の値段が、右横に黄色い文字で書かれている値段です。そうそう、menu(フランス語でムニュ)は、日本で言う“料理名が書かれた紙”のことではなく、“定食”の意味です。“料理名が書かれた紙”のことは、フランス語ではcarte(カルト)です。
 ちなみにこの上に、13ユーロの定食のメニューが書かれており、我々が食べたのはそっちです。昼食に23ユーロもかけられないよー!!!