崖の上のポニョとワルキューレ

 公開:2014年8月28日〜 更新:2014年8月28日

 祝祭劇場の庭にて  2014 August © Yu K.

私はジブリのファンではありませんが、「崖の上のポニョ」を見た時、「ワルキューレ」のパロディが沢山あって、
その意味で面白かったです。ネットでは、そのパロディの記載が見当たらなく、知人から解説を頼まれたので、その時のメモです。
一度しか見ていないので、その時に気づいたものだけです(2013年9月記)。

 ポニョ=ブリュンヒルデ

   ブリュンヒルデは、ヴォータンが知の女神:エルダとの間にできた子供達9人:ワルキューレの長女。最初、妹達が沢山出てくるが、これは姉妹がたくさんいた事のパロディ。ここの冒頭の音楽は、ドビュッシー「海(+ラヴェル/ダフニスとクロエ)」がモチーフ。ちなみに久石氏の音楽には、モチーフ/パロディ(音楽の場合は、引用の意)が時々みられる。

 魔法が使えるところも同じ。父:フジモトの言う事に反抗するが、ブリュンヒルデは父の命に背き、炎に囲まれた崖に眠る事になる。タイトル「崖の上」はそこもパロディ?

 ポニョは一旦父:フジモトに連れ戻されるが、姉妹が助けて逃げる場面は、「ワルキューレ」第3幕冒頭の、ワルキューレ達がブリュンヒルデをかくまう場面のパロディ。その後、ポニョが波に乗って走る場面と音楽は、ワルキューレの騎行」のパロディ。お魚から人間になったポニョは、ワルキューレ第3幕でヴォータンから神性を解かれたブリュンヒルデがモチーフ。

 ろうそくを大きくできなくてボートの上で寝てしまうポニョは、神性を解かれて魔法が使えなくなり眠るブリュンヒルデがモチーフ。
 

 宗介

  ブリュンヒルデを助けた宗介はジークフリート。ただし、共通点はあまり無い。ガラス瓶を割って助けるところは、第2夜「ジークフリート」で、ブリュンヒルデの甲冑を外して目覚めさせるところのパロディ。最後の場面で、フジモトが「宗介しか世界を救えない」、と言うが、これは、ヴォータンとジークフリートとの関係のパロディ。
 

 フジモト=ヴォータン

  いつも乾燥を防ぐために水をまいているが、これは槍にルーネ文字で書かれている「契約」に縛られているヴォータンの姿のパロディ。フジモトの姿はヴォータン的であるが、片目ではない。「生命の水」を使って「海の時代」の再来を試みているが、これは、神々の終焉とそれを救うための英雄(ジークフリート)の創生のパロディ。「指環」では、ヴォータンは強大な権力を持ち、やりたい放題だが、フジモトは、どこか間抜けな所があって、ヴォータンより親しみを感じさせるキャラクター設定になっている。声優に所ジョージが起用されていて、セリフ棒読みで極めて下手なのだが、それでわざと弱さを演出している? ちなみに、ヴォータンの正妻はフリッカで、やりたい放題のヴォータンをやり込める程“強い”のだが、ここでは、そのパロディは登場しない。
 

 リサ

  宗介の母となればジークリンデに相当するが、リサの強さは、大変な中、ジークフリートを産み落とした強さがモチーフと言えなくも無い。ちなみに、ジークリンデの夫:ジークムントはジークリンデの双子の兄であるが、流石にこのパロディは無く、また、リサに前夫がいれば、フンディングのパロディとなるが、これも無い。
 

 グランマンマーレ

  海の中から出てくるグランマンマーレは、地から出てくる知の女神:エルダ(ワルキューレの母)のパロディ。流石のヴォータンもエルダの言う事には耳を傾け、言う事を聞くが、この関係も同じ。フジモトとの会話の世の終わりは、「指環」の神々の終焉のパロディ。

 

 その他

 嵐の場面は、ワルキューレ、第1幕冒頭の嵐がモチーフ?
 軽快に走る軽自動車車は、ブリュンヒルデの愛馬:グラーネがモチーフ?
 元気になる老人達は、映画「コクーン」がモチーフ?

以上、ざっと思いつくまま書きましたが、何らかの参考になれば幸いです。 

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