雑学

01.比重の測定
石の比重はどうやって測定するのだろう?自分で測定できないだろうか?って思ったことはないですか?そこで簡単に測定する方法をお教え致します。小さい物は天秤で同じ様に測定できると思いますが誤差が大きくなりますので注意して下さい。
これから説明する方法はアルキメデスの原理によるものです。水に物を入れればその体積分だけ水嵩が増えます。その水の分だけ重さが軽くなる訳ですね。

それでは、まず、石の質量です。秤で測定します。参考にこの石は114gです。(写真1)

次に石を水に入れて重さを計るための準備として、薄い網と吊り下げて重さを計れるよう秤に細工しましょう。写真2では割り箸をガムテープで固定し、それに吊り下げる方法を取っています。ここで大切な事は網は小さい物を用いる事です。大きな物では網の比重と石の合成比重を計っていることになるため誤差が大きくなります。石が角張っていれば写真5のように細い糸を利用すればより正確に測定できます。

次はいよいよ石を水に入れての質量測定です。(写真3)

水に入れる前にデジタル計量器の指示値を0にします。そうすると軽くなった分がマイナス表示されます。写真4は水に入れた時の指示値です。つまり35cm3あった事になります。

最後に比重ですが比重の単位は[g/cm3]ですから114÷35=3.25
となるわけです。
石が何かを見極めるのに約に立つと思いますよ。

因みにこの方法は『静水法』と言い比重測定に広く使われています。
http://www.giajpn.gr.jp/~v-campus/gia_japan_011.htm
なお、この他に上記HPにもある『比重液』(重液)を使う方法があります。
 「宝石比重液」と言う物もあるそうです。どんな原液を使っているか?どこで販売されているかは不明ですがかなり毒性の強いものです。
 よく使われるものとして比重2.88の「プロモホルムの原液」、比重3.32の「沃化メチレンの原液」があるそうです。
 比重3.0くらいは非常に重要な意味があるそうで無色鉱物と有色鉱物は大体このへんで分けられのようです。通常毒性の低い臭化アセチレン、比重2.95を使うようです。比重の精密調整にはケトン溶剤を使うらしいです。翡翠を見るには「沃化メチレンの原液」が一番適しているようで、測定鉱物の沈み方でもわかるようですよ。
http://www2.hamajima.co.jp/~tenjin/labo/tbe.htm
02.天然記念物
 日本で国の天然記念物として指定されているのは、青海町の橋立と隣の糸魚川市小滝の2箇所のみでいずれもエリア指定です。
 つまり、河床にヒスイ輝石の原石が露頭している珍しいところを一定のエリアで国が天然記念物として指定し、後世に残そうとしているわけです。
 青海町橋立地域の川原には、現在も約20個ほどのヒスイ原石が点在しています。
 1番大きいものは、推定400トンといわれ、象徴となっています。
 2番目に大きかったのが、親不知ピアパーク内の「ヒスイふるさと館」に展示されていて、天然記念物の追加指定を受けています。(写真一番下102トン)それは何度か盗掘にあい、ついに文化庁の許可を得て(異例の決断だそうです)運び出したものです。
 山にあったときは指定区域内をエリアとして天然記念物に指定していたわけですが、エリアから持ち出したら、どう取り扱ったらよいか国の文化財調査審議会も苦慮したそうですが結果として、天然記念物の追加指定となりました。
 盗掘についてですが、盗掘専門家が母岩の良い部分を選んで何百キロオーダーで持っていくらしいです。あの堅い物をどのような方法で盗むのでしょうかね。
03.銀線で金具作り
 月読さんの作品です。
 翡翠の質が良かったので、最初は丸カンを付けようとしたんですが、穴が小さすぎてダメだったんです〜!この方法ならバチカンの大きさは自由自在!模様もお好み次第!簡単です。銀線も安い!
04.翡翠原石購入時のアドバイス1
原石は重量感や見た目は翡翠でした。しかし、表面全体に雲母が多く見られました。淡黄褐色の金雲母も含まれていました。拡大図は原石左上の白い部分です。これは専門家の方に依頼して調べてもらったところクロム含有エッケルマン閃石でした。(写真の矢印間18mm)全体の比重を測定したところ2.85と低く、緑の綺麗な部分があっても翡翠濃度の低い、多々の鉱物の混じった翡翠岩と言わざるを得ない物でしょう。ただ、鉱物マニアには非常に面白い石には違いありません。
05.翡翠原石購入時のアドバイス2
これも見た目緑の綺麗な翡翠です。ただし、拡大図濃緑色部分の硬度は柔らかく釘で傷つきました。これは専門家に調査をお願いしたところクロム含有エッケルマン閃石でした。緑の部分(円内)は傷つかず、クロム含有ひすい輝石とのお墨付きを頂きました。全体の比重を測定したところ3.04と翡翠輝石やオンファス輝石の濃度が翡翠と言える限界濃度でした。
06.翡翠原石購入時のアドバイス3
これも見た目は完璧な翡翠です。比重も3.35と非常に高く高純度と思われました。また、鮮やかな緑色をしていることからコスモクロアである可能性が高いと思っていました。コスモクロア100%の比重は3.6以上あると思われます。ところが、黒い部分の硬度が異常に柔らかく爪で傷つく程度でした。緑色の部分は硬いのですが、このことを考えると翡翠ではない可能性が高い原石です。やはり翡翠輝石が確実に確認される物を選ぶのが利巧ですね。専門家に依頼し調査してもらいました。クロム含有ひすい輝石との結果がでました。ただ、黒い部分は確認がとれていません。
07.採取での注意事項
この勾玉、実はキツネ石かと思って拾ってきた物でした。
明らかに自分の前に見つけた人が割った物で割り口が石英のような感じでした。
それで自分もゲットした翡翠として写真を撮らずにいたのです。加工していて削った面に明らかな翡翠輝石が見られました。
海岸では判断せず、怪しい物は持ち帰って新たな目で判断した方が良いでしょう。
08.着色翡翠と天然翡翠
安価な彫刻された老坑翡翠を購入した。作者に申し訳ないが勾玉にするためにである。
で、当然着色だと判っての実験である。(実験の前の削りだしで変な匂いがしたので確信した)
上の画像は左が天然翡翠、右が着色翡翠である。
それをガスコンロで燃焼させた。嫌なにおいが台所に充満した。ほへ〜!
下の写真は燃焼後。着色翡翠は真っ黒焦げであるのに対し天然翡翠は黒っぽくなっただけ。
09.翡翠含有鉱物a
以前、オークションで落札したものと、同じ石で出来たものの分析結果です。
10.翡翠含有鉱物a
@左下勾玉の尻尾部分の緑色は翡翠、A右下勾玉の白色も翡翠、B左下勾玉の黒い部分は多分エッケルマン閃石。凸凹が多く柔らかく加工に苦労したことが伺える。
11.翡翠含有鉱物b
鮮緑色:クロム含有翡翠輝石、緑色:コスモクロア輝石、白色:曹長石(バナルシ石を伴う)、暗緑色:多分エッケルマン閃石
12.翡翠含有鉱物c
緑色:クロム含有翡翠輝石、黒色:クロム含有エッケルマン閃石、一般的に翡翠の条痕は白ですが、この石はクロムが含まれているため条痕は緑です。
13.翡翠含有鉱物d
緑色:クロム含有オンファス輝石又はコスモクロア輝石、暗緑色:クロム含有エッケルマン閃石、一般的に翡翠の条痕は白ですが、この石はクロムが含まれているため条痕は緑です。
14.糸魚川の鉱物a
翡翠海岸で拾った石です。
15.曹長石
走査型電子顕微鏡にエネルギー分散型X線スペクトロメーターをつけた機械で分析しました。このような機械を「X線マイクロアナライザー(EPMA)」とか、「分析セム」と言います。←SEMとは、走査型電子顕微鏡 Scanning Electron Microscopeの略です。
 
   原理は高圧の電気(15KV)をタングステンでできたフィラメントに流し、そこで発生する
  電子を電磁気で制御して分析したいサンプルにぶつけます。
   すると、サンプルから電子やX線が発生してきます。X線の波長は元素に含まれる「特性
  X線」なので、どのようは波長のX線が発生しているかを調べると、サンプルに含まれる元素
  の種類を知ることができます。また、X線の強さはサンプルに含まれている元素の量に関係
  しているので、X線の強さを調べることによって、含有量を調べることができます。
 
   X線マイクロアナナイザーは、小さな部分(10ミクロン=1/100mm)程度の化学組成
  を数分で調べることができるので、岩石学や鉱物学分野だけでなく、セメントや材料関係、
  環境調査、犯罪捜査など広く使われています。
   きちんとした分析(定量分析)には、表面を鏡面研磨した後、炭素蒸着(ごく薄い炭素の
  膜を貼る)したものを用いますが、今回はそのままの状態で分析しています。
   このような方法ですと、きちっとした定量分析はできませんが、どのような元素がおおよそ、
  どのような割合で含まれているかは判断できますし、定性分析ができます。その定性分析
  の結果から、鉱物の種類を判定します。
 
   X線マイクロアナライザーにも欠点があります。軽い元素(水素、ヘリウム、リチウム、ベリリ
  ウム、ホウ素、炭素、酸素など)は検出できません。したがって、方解石を分析すると、方解
  石は、炭酸カルシュームですから、炭素と酸素の抜けたカルシュームのみの検出結果になり
  ます。
   また表面のみの分析しか出来ません。
   同じ組成で、結晶構造が異なる鉱物(これを同質異像といいます)の区別は出来ません。
  これを区分するにはX線粉末解析装置を使います。
 
   複数の鉱物が微細に混合しているようなサンプルを分析すると、それぞれに含まれている
  元素が同時に出現するので、鉱物の同定が出来ないことや同定を誤る可能性あがありま
  す。
   このようなことを避けるためには、サンプルを鏡面研磨+炭素蒸着するか偏光顕微鏡で薄
  片を観察してチェックすることが必要です。
16.クロム含有エッケルマン閃石
走査型電子顕微鏡にエネルギー分散型X線スペクトロメーターをつけた機械で分析しました。このような機械を「X線マイクロアナライザー(EPMA)」とか、「分析セム」と言います。←SEMとは、走査型電子顕微鏡 Scanning Electron Microscopeの略です。
17.クロム含有翡翠輝石
走査型電子顕微鏡にエネルギー分散型X線スペクトロメーターをつけた機械で分析しました。このような機械を「X線マイクロアナライザー(EPMA)」とか、「分析セム」と言います。←SEMとは、走査型電子顕微鏡 Scanning Electron Microscopeの略です。
18.勾玉の寸法について
一般的に勾玉の寸法は長さ、幅、厚みで記載されています。因みにジョイテックさんの勾玉を参照してみて下さい。そこで長さは写真で言うと勾玉の身長に当り、黄色の上下の平行線間の寸法となり黄色の矢印の長さになります。幅は同じ様にピンクの矢印の長さです。厚みは言うまでもないでしよう。
19.ミャンマー翡翠はいつ中国へ?
ミャンマーではパガン朝時代、中国の元朝が朝貢を要求してきた。これを拒否したため、1284年に元朝の侵攻により北部地域を制圧され、1287年に臣下の礼をとる。

ミャンマーの翡翠がいつ頃中国に伝わったかはこの時の可能性が大きい。
当時ビルマでは銀などの地下資源が豊富で裕福だったようです。1495年にはモゴクのルビーが採掘されているという記録があるそうですから宝石も有力な財源だったみたいですね。

このようにして中国の人たちに受け入られて来た訳ですが、硬玉が中国で正式に「玉」の仲間入りしたのは乾隆帝(在位1735〜1795)の時代、アメリカが独立宣言した頃なんですね。びっくりですよね。それからは人気急上昇で西太后により爆発的なブームとなったんですよね。(情報提供:スリーストーンさん)
20.磨き石の洗浄
 一番上の写真は洗浄前です。亀裂や傷が多い石を磨くと如何しても磨き屑が亀裂や傷の中に入り込みこのような汚い状態になります。
 自分は以前から何か良い方法がないかと思って、色々と試して見ました。細かい研磨剤で磨いても、めがねや貴金属等の洗浄に使う超音波洗浄器に研磨剤を入れたり、洗剤を入れたりしても取り除く事ができませんでした。
 一度は諦めかけたのですがジェット式超音波洗浄器をネットで発見したのです。これは衣服のシミ・壁の汚れ等を取ったりするのに良いと言う物でした。
 めがね等の洗浄用の物より大分高かったのですが勝負する事にしました。
 使用方法は汚れた石を中性洗剤に一時間程浸けた後、洗剤の中で超音波洗浄器の先端を汚れに当てて振動とジェットで吹き飛ばすのです。すると二枚目の写真の様に綺麗になります。
 三枚目は自分が購入した超音波洗浄器です。重宝しています。
21.オークションでのご注意!
翡翠と記載されていながら実はアベンチュリンだったり、クリソプレースだったり別の石だったりする事が非常に多いです。画像は見た目翡翠ですが実は比重が非常に軽く翡翠ではありませんでした。ホント、オークションでは翡翠ではないと思って入札すべきですね。
22.ネット購入での注意!
 とあるミャンマー直輸入天然翡翠専門店から購入した商品での大失敗です。
 それは自分が何年か前から利用させて頂いている、親切で良い物を販売されているお店での新たな企画『掘出し物市』で起こってしまいました。
 良い物が手に入る・店長さんや店員さんが・新たな企画をすると良いと思われる物は直ぐに売り切れてしまう。と言うのがこのお店の最近の状況でした。
 それで、まだこの企画に関してのお店のメルマガが入っていなかったためか、自分が覗いた段階では売れていない商品が沢山残っていました。そのトップに堂々と写真の原石が載っているのです。要するに看板商品だったのです。それがまだ売れていなかったのです。当然価格もそれ相応の値でした。今までの例からして悪い物のはずが無い。と言う先入観が働き、これで勾玉を作れば綺麗な物ができるだろうと思い、衝動的に購入してしまったのです。
 商品の説明はただ、『翡翠 お楽しみ原石 そのままが一番美しい』のみ。皆さんなら買わないでしょうね。自分も他のお店なら絶対に買いませんでした。このお店だからこそ買ったのです。
 しかし、現物が届いて光を当てて見ると翠の部分はほんの僅か。『唖然としました』
 なんでこんな商品がこんなに高いのか?って。そして、後先を考えず夜中だと言うのに居ても立っても居られず砥石(手摺)で皮を少し削って見たのです。ここでも衝動的行動を取ったのが最悪の結果となりました。『しまった!これで返品できない!。ガッビ〜ン!』。
 翌日気を取り直して翠の多い窓の周りをカットすることにしました。カットも高価な物だから慎重に使用と思ってマジックでカット位置を確認しながらしたのに斜めになってしまい、ここでも少し損をしてしまいました。
 それはさせおき、カットした面も綺麗な濃い翠ではなく、まばらな感じで自分は何と言う物を買ってしまったのだろう。と後悔しきり。
 説明のとおり、原石のままが一番だったのです。削ったため価値が1/20くらいになってしまいました。窓付き怖い!の高い授業料でした。

 まず、自分の思っている物と違った場合は、慮せず返品する。
 窓付き原石は博打の感があるため、勝負しても文句を言わないと言う気持ちでしか購入しない。
 ネット購入は実物を見ることや触ることが出来本当に難しいものと言う事を肝に命じる。
 幾ら信用のおけるお店でも、特にこの手の物は慎重にならなくてはいけないことを痛感させられました。 
 お店には、このような原石の販売に関しては、十分な説明書きを書く
 購入手続き後の発送案内で再度、購入商品に関してお客に説明し購入意思を確かめる
 等ネット販売に関して、客にやさしい方法を検討することを要望させて頂きました。


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