勾玉作成工程

1.石の切断
・作りたい石にマジック等により勾玉の形状を描きます。
・その後その線上をダイヤモンドカッターで切断します。
2.面取り
・切断後、ダイヤモンドカッター・ルーターに取り付けたダイヤモンド先端工具等により角の面取りを行い、勾玉特有の丸みを持たせます。
3.形作り
・概略面取りが終了したら、砥石等により勾玉の形状に整えます。
(最初は粒度150くらいの物で行うと良いと思います。)
4.穴あけ
・ルーターにダイヤモンド先端工具を付け、研磨剤を併用して穴を開けます。
(タッパに研磨剤と水を入れ、タッパ保護のゴム板を敷いて開けると良いでしょう)
5.機械磨き
・穴が開いたら、いよいよ磨き工程です。最初は機械に付けた回転砥石で磨くと良いでしょう。
 (粒度は150以上が良いと思います。)
・手磨きで同様な粒度のペーパーで磨いた後、今度は粒度の細かい回転砥石で磨きます。
 (研磨チョーク(写真の赤い色がそうです)を使うと、どこが磨き残されているかが良く判ります。)
 (磨き残しの無い様きちんと磨きましょう。ルーペーでの確認が重要です。)
6.手磨き
・勾玉で機械磨き出来ない、内側を手磨きします。ちょっと辛いですが頑張りましょう。
 (5.6工程を繰り返し次第に粒度を細かくして行きます。)
 (粒度は#150⇒#300⇒#500⇒#1000⇒#2000⇒#3000と言う具合に細かくします。)
 (耐水ペーパーを使用した方が良いと思います。#3000はホームセンターでは扱われていません。ない場合は#2000まででも良いでしょう。)
7.完成
・磨き残しがなくなれば完成です。綺麗なつやが出ているはずです。
8a.翡翠の穴あけ1
石に穴を開けたいと思っている人のために記載しました。
まずは開ける位置に印を付けます。
8b.翡翠への穴あけ2
裏側にも付けます。表と裏の両面から開けると良いです。その理由は片側からのみ開けると最後の貫通時に過大な衝撃が加わり、石が欠ける可能性が高いためです。翡翠の場合は欠けにくいですが両面からの穿孔を推奨します。
8c.翡翠への穴あけ3
球型ビットで開ける位置に窪みを付けます。
8d.翡翠への穴あけ4
水を付けて削って下さい。そうすることによりビットの消耗が緩和されます。軽油を使うと更に消耗が緩和され、スピードもアップしますが後の処理が大変ですので趣味として行う場合は推奨できません。水を付けて削ると写真のように白濁水が出ます。
8e.翡翠への穴あけ5
窪みが出来ました。新しいビットだとすぐに出来ます。
8f.翡翠への穴あけ6
まず、トレイなどを用意し穴あけ位置までの水を入れます。水円柱型や先の丸くなった円柱型ビットを使う場合、このように小さくゴマすりするようにします。これはビットの中心部分が点で接触しており削れないため、中心部分も削るために行うのです。
8g.翡翠への穴あけ7
写真のような円筒型ビットを使う場合、円筒が回転しているため削れない部分はありませんのでゴマすり運動はしなくても削れます。柔らかい石の場合は円筒の中に石の粉や欠片が溜まりますのでこまめに針等で掻きだす必要があります。
8h.翡翠への穴あけ8
今度はルーターを垂直にしているだけで開きます。ビット全般に穴あけスピードが落ち白濁水が黒っぽくなってきた場合はビットの寿命です。ルーペでダイヤが損耗していることを確認して取替えて下さい。
8i.翡翠への穴あけ9
円筒型で開けた場合の写真です。スピードは最高ですが、臍取りが大変です。
8j.翡翠への穴あけ10
臍は小さなドライバー等でこじって取ります。翡翠の場合はこじっても問題ないですが、メノウ等をこじると穴の周囲が欠ける場合がありますので外周に力を掛けないように、臍を中心方向に叩くようにして取り除いて下さい。
8k.翡翠への穴あけ11
臍をとり除いた画像です。この後また同じようにして穴を深くします。
8l.翡翠への穴あけ12
穴が貫通したら、錐型ビットや弾丸型ビットで穴を拡幅します。望みの大きさになったら最後に大きなビットで面取りします。面取りしないと穴の周りが鋭利になっており、紐が切れやすく手触りも良くないですのでするようにしましょう。
8m.翡翠への穴あけ13
穴の内面処理ですが、市販品としては3mm以下のものは少なく、粒度も荒いです。バーベキューの竹串(3mm)と研磨剤を水で溶いてこのように磨いて見たら良いでしょう。(カービング名人 赤人さん流)荒い物から順順に細かくして行きます。
la.玉作り工程1 (提供:ヒスイLoveさん)
せのうみ式(せのうみさんが行っている人力切断方法)ステンレス切断!!できました(時間はかなりかかりましたが)
lb.玉作り工程2 (提供:ヒスイLoveさん)
時間が掛かりますが糸鋸のように切断できます。石の無駄が少なくなります。
lc.玉作り工程3 (提供:ヒスイLoveさん)
舞錐による穴開です。銅管使用
ld.玉作り工程4 (提供:ヒスイLoveさん)
荒砥,中砥で模り、耐水ペーパーで番手を上げながら研磨し、仕上げは原石研磨ででたヒスイ粉末を水で練り研磨剤として 皮のうらがわで研磨、桐板研磨 最後に木綿研磨で仕上げました。ステンレス、ヒスイ粉末も初めて使ってみましたが画像のように仕上がりました。(桐板、木綿は研磨剤は使ってません)
le.玉作り工程5 (提供:ヒスイLoveさん)
大珠のヘソは 穿孔径3mmでは 銅管きりの目詰まりをおこし かきだしながら穿孔で穿孔後きりを壊して取り出しました、他は行方不明です。(大珠画像の脇に写ってますゴマ粒の三分の一ぐらいです)
ヒスイ粉末は他に水晶、石英も研磨(前出しの研磨機で)しましたので少し入ってると思います。勾玉のヘソは並べただけです。
s1.さすけさんの加工方法
*原石の切断
 以前はディスクグラインダー+ダイアモンドカッターを使用して いましたが、ロスが多く危険なので崖から飛び降りて (株)コマックス社製の宝石・ガラス工芸切断機を購入しました。せこく、と言うよりもダイアモンドブレードの値段から、ニューカット6(http://www.commax.co.jp/work2/houseki_top.html)を購入しました。これにより切断の工数が格段に軽減出来ました。

*外形形成(超粗)
 ディスクグラインダー+ダイアモンド超硬シャープナー、他。ダイアモンド超硬シャープナーはホームセンターで購入しました。
 両面使えて、980円は安い。でも人気が無いのか売れなくて、もう店頭には並んでいません。お取り寄せして貰っています。
 内側のくびれは、ハンディールーターとダイアモンドビットで削り出します。何回やっても難しいものです。穴開けも同様にハンディールーターとダイアモンドビットです。
 コマックスのボール盤はすごい回転数で小さく魅力的でしたが、「高い」。
 ダイアモンドビットにしては珍しく#400の物がありましたが、「高い」。消耗品と割り切り、安いものを探して使用しています。ジョイテックのビットは持ちが良く、切れます。ただ湿式なんです。準備と片付けが難点です。その点乾式は楽です。破片や残骸、石粉等目立たないので片付けなくて良いと思っているだけですが・・・。掃除機で吸いながら作業すると気休めにはなります。
s2.さすけさんの加工方法
*外形成形(粗)
 100均の両面砥石(全長200ミリ、#120−#300)を使用しています。以前はカーボンコランダム砥石を使用していましたが消耗が激しく、費用も掛かり過ぎていました。この砥石を見つけてからは随分気が楽になりました。(笑)使っているうちに溝が掘れて来るので、棄てずに取り置いておくとグッドサイズの砥石が沢山出来る事になります。背磨きには活躍します。
s3.さすけさんの加工方法
*外形成形(中粗)
 カーボンコランダムのグリーン砥石を使用しています。(#240、#400)オークションで偶に安く出品されている大判の砥石を購入し、カットして使用しています。このカットにも前述の切断機が大活躍します。細部研磨用に1ミリ厚の砥石を作る事も出来ます。
s4.さすけさんの加工方法
*外形研磨
 皆さんは耐水の紙やすりをお使いのようですが、私はタミヤのフィニッシングペーパーを使用しています。原石の質によっては耐水ペーパーの方が綺麗に磨けますが、作業スピードは断然こちらの方が速いと思います。乾式で粉を吸引すると言う難点はあります。翡翠の性質上、研磨には潤滑材として水は欠かせないのですが、風化が進んでいなければ結構磨けるものです。ただ、これも耐水ペーパーに比べるとお値段が高いのが難点です。消耗も激しいですし、迷う所です。
 400番、600番、800番、1200番、1500番、2000番までかけます。1500番からはスピードが要求されます。
 コマックスの社長に、艶はスピード、と教わり、フィニッシングペーパーを桐の丸棒に巻き付け、ひたすらスピード重視で磨きます。結構光ります。内側のくびれは、花見団子の串を棄てずに取って置き、それに巻き付けて磨くと良いです。丸い鉛筆も試しましたが、鉛筆の性質上木が柔らかくスピードを上げると、鉛筆の方が凹んでしまい、なんのこっちゃ、になってしまいます。
 肉眼で傷があらかた取れたと確認出来たら、仕上研磨です。
s5.さすけさんの加工方法
*外形研磨(仕上)
 (株)コマックス社製の振動式バレル研磨機、ウルトラバイブの小さい方(UV−10)を使用しています。(コマックスと私には利害関係はありません。念の為。(笑))
 研磨に時間が掛かるので、と思いある程度の粒度からバレル研磨で何とかならないのかと思い検討したのですが、翡翠の性質上、硬度にばらつきがあった場合片べりするのではないかと不安になり、仕上研磨にしか使用していません。しかし、これがまた難しく、同じ製品を使ってらっしゃる方は短時間で仕上られるのに、私は未だに要領を得ず、苦戦しています。(特に研磨時に加える水の量が難しい)多分、粗形成して順順に粒度を上げ研磨を繰り返せば結構綺麗に磨けるのかも知れませんが、趣味で月1〜2個作って研磨していたら研磨剤の交換やらなんやらで大変です。そんな訳で仕上研磨にしか使用していません。最終は6000番です。10000番とかそれ以上も有りますが、手作りですから
x1.工具について(1)
タイルカッターで使用するダイヤモンドカッターの刃についてです。はっきり言って石用は極めて高価です。自分は一枚350円程度の物を使用しています。コンクリートブロック等用ですがこれでも勾玉程度の物を作るのには十分です。どのくらい使えるかは個人の感覚によると思いますが、350円分は十分使えると思います。騒音ですが、近所にうるさい人がいると諦めなくてはなりませんね。その人がいないときを見計らってするしかないです。写真の右側3枚組もありますのでそちらの方が良いみたいですよ。
x2.工具について(2)
工作台:自分が使っている工作台です。ディスクグラインダーを工作台に挟み(万力として使える物でこのタイプは2,000円くらいで購入できる)ダイヤ砥石(1,000円程度、写真は波板切断用を利用しているので片面がだめになっても、もう一方の面が使用できる。相当使用可能)で勾玉形状になるよう粗整形している。コンセントが差し込んである下の物はスライダックで20年以上前に内部本体のみ購入外箱を自作した物で、電圧を低くして回転数を抑えています。これはあまり高速回転させるとダイヤが早く消耗すると思ったのと騒音への配慮が少しあります。近所の人は自分が何をしているか知っているのであまり文句は言いません。一度作った物ではないですが勾玉を近所の皆さんに配ってありますから。
x3.工具について(3)
カーボン砥石です。自分は勾玉のおなかのへっこみの粗仕上げに使っています。価格も手ごろと言う事もあり、やはり消耗は激しいです。
x4.穴あけ工具(1)
磁器・大理石用のドリル刃です。厚い物に穴を開けるのに有効です。あまり力を入れすぎると刃を痛めまた、石が割れる可能性があります。貫通間際は要注意ですよ。当然大きな穴を開ける場合は一番細い3mmで開けた後、徐々に大きくしていく必要があります。3mm用で価格は700円程度です。早く開けたい場合はボール盤を使用すると良いでしょう。ただし、先に記載したように刃の消耗は激しいです。
x5.穴あけ工具(2)
ダイヤモンドピットです。非常に安い品です。30本1,500円ですから。でも、力を入れすぎると直ぐに使えなくなります。円柱形の1.2mm程度の物で6mm厚の翡翠9個開けたらお釈迦になりました。円柱形で先端が丸くなっているものは円柱形の物の2倍以上使えます。(20個以上開けましたがまだ使えます)ただ、このセットで穴あけに仕えそうな物は限られ先端の細い物を使用したため、内部で折損して酷い目に有った事も度々ありますので要注意です。安物ですのでくれぐれも力を入れ過ぎないようにすることが慣用です。(コーティングそのものが剥がれます)
常連のヒスイloveさんから教えて頂いた事ですが、(プロの方のアドバイスだそうです)ダイヤモンド工具で切断や穿孔の場合 水の変わりに軽油を使用(此れは汚れてしまいます)すると切れ味いいです、試してみました。
水の場合は泡の立たない植物性洗剤を入れると切れ味が増します。
x6.研磨機の紹介
勾玉作成工程で使っている工具(研磨機)の紹介です。これは元々刃物の研磨機を石用に改造した物なのです。回転部分は元もとの砥石を外しフランジにマジックテープを貼りつけ砥石としてダイヤペーパー(ダイヤセラミカ)を使用した物です。砥石の粒度が#3000まであり綺麗に仕上がります。ただし、亀裂の多い石は隙間に砥石の削粉が入り込み汚くなりますので最後に粒度の細かい研磨剤で落とす必要があります。
x7.ダイヤ砥石
ディスクグラインダーで粗整形した後、研磨機で使用している砥石です。裏面にマジックテープをつけて使っています。早く整形でき、非常に重宝しています。


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