「私の好きな言葉」
静岡県社会人体育文化協会・機関紙 「TOMO」  2010.10 
「なせば成る なさねば成らぬ何事も 成らぬは人の成さぬなりけり」
これは米沢藩九代目藩主・上杉鷹山が十代目に詠み与えた、誰もが知る有名な言葉です。
私がこの言葉に出会ったのは、中学校の卒業式に校長先生が私たち卒業生にはなむけの
言葉として贈ってくださいました。卒業式という緊張した雰囲気もあってか、このリズミカルな
語感を伴った言葉は、私の心に強く印象づけられました。
時は過ぎ、1964年、東京オリンピックで日本女子バレーボールは金メダルを獲得、
日本中が熱狂しましたが、その大松博文監督の著書「なせばなる」がベストセラーになりま
した。
この時私は23歳でしたが、鷹山の言葉がより明確な意味をもって再び私の心を捉えまし
た。以来、「なせば成る」は、私の写真家人生に大きな影響を与え続けました。
これまで写真家活動として様々なテーマを企画し、実行してきましたが、決断に迷った
ときや、実行に躊躇したとき、常にこの言葉を口にし、自分を奮い立たせました。どれだけ
私に勇気を与え、背中を押してくれたことか。
この言葉なくして今の自分はない、とさえ思います。鷹山の苦難の人生の中から生まれ
たこの言葉の力に、改めて感銘を受けるとともに偉大な先人たちに、ただ感謝するばかり
です。