「強烈な 個性 に光」
 蛭田有一写真展 「人間燦々」 開催  1995.8.17
毎日新聞社主催
 人物写真に定評のある写真家・蛭田有一の最も新しく代表的なポートレート・シリ
ーズを集めた『人間燦々』展が、18日から東京・池袋メトロポリタンプラザ8階、
メットホールで開催される。
6年がかりで制作された同シリーズに登場するのは、映画、音楽、美術、芸能など日
本文化の各界で活躍する103人。
画面に切り取られた人生の一瞬々々から、各人のたぐいまれな個性や、重ねた年輪が
鮮やかに浮かび上がってくる。
蛭田のシリーズにかけた思いをつづる言葉とともに、展示作品の一部を紹介
≪103人の多彩な人生が凝縮されています≫
撮影のため全国を訪ね、多くのエキサイティングな、そして心温まる出会いを重ねて
きまし
ファインダーを通して見つめた一瞬一瞬は、今なお鮮烈に脳裏に蘇ります。
1994年9月、丸6年を経過して目標の103人を撮り終えました。撮影のほか各
自にインタビューも試みま
人生観や価値観を中心に尋ね、その中から最も印象的な部分を抜粋し103人から
の「メッセージ」としました。
写真と言葉を組み合わせることによって、よりメッセージ性を高め、人物像を立体的
に表現しようと考えたからです。
撮影条件もさまざまで、撮影交渉を始めてから撮るまでに数年を要したり、許された
撮影時間がわずか数分ということもありました。しかしどんな条件下であれ、103人
と同じ時空を共有できたことは、私に都営最高の喜びでした。
6年間にわたる日本人への旅を通して、私はそれぞれが自分らしくありのままの姿で
生きることの素晴らしさを知り、またその独自性あふれる姿に、人間本来の輝きを感じ
ずにはいられませんでした。
『人間燦々』には103通りの多彩な人生が凝縮されています。
自由、勇気、ひたむき、そしてやさしさに満ちた103人からの心に響くメッセージ
を少しでも感じ取って頂ければ幸いです。
紙面の記事のみ掲載