1997.5.7  大勲位菊花大綬章を受賞 中曽根事務所執務室
「中曾根康弘の肖像」
中曽根派という派閥ができて、政治家としてもいろいろネットワークが
できたのも、やはりこの3つを守ってきたお陰ではないかと思うんですね。
もうひとこと言いたいのですが、最近、科学の進歩というものをずっと考え
てみて、「人生というものは無限への一過程である」と、英語で「イン・トラ
ンジット・トゥ・エタニティー」といっています。
宇宙の構造がビッグバンというでしょう。これは宇宙が無限大に今、膨脹
しているということなんだね。
それから人間のDNAというものを見ると、生物が生まれて、動物と植物に
分かれて、おサルさんから人間のほうへ転化してきた。そのDNAが祖先
から祖父、父母から私に伝わってきている。それが今度は倅から孫に、
また無限に伝わっていくわけです。
これも「イン・トランジット・トゥ・エタニティー」だと言うわけです、私の
生命というものが。これは仏教の思想そのものなのですね。
諸行無常とか、要するに無常観というようなもの。「今」と言う問題を仏教は
言っているわけです。
そういう意味において縁を大事にする。犬やおサルさんに生まれないで、
人間に生まれたこと。それは大宇宙の構造からきた一つの恩寵だろうと
思っているわけです。その恩寵の過程、「イン・トランジット」というものを
最大限に尊重して生き抜いていくという思想になっているわけだ。
だから「結縁、尊縁、隋縁」といった言葉が、最近の科学の発達と自分の
思索で、ますます強められてきている。外国でもそういう演説をしている。
そういうことです。一種の結論だね。
(次頁へつづく)