≪インタビュー≫  聞き手・蛭田有一
人間として好きなタイプは。
あんまり好き嫌いはないんです。
僕はいろんな人がいていいという考えなんです。多様な生き方があっていい
というのが前提なので、人についてあんまりいいとか悪いとか言うつもりは
ないんですね。ただ一生懸命生きている人は好きです。
一番大切に思っているものは何ですか。
個人的には家族ですね。政治家としては、やっぱり国民の生活ですね。
真面目人間という岡田さんに対する評価をどう思いますか。
世の中でそう言っていただくのはありがたいですけど、政治家に対して真面
目だというのは、いい評価の場合とそうでない場合がありますよね。
真面目と言われるのはそんなにうれしくないと。
いえ、そんなことはないですけど時と場合によりますね。
戦後の政治家で特に尊敬できる人はいますか。
政治家の場合は特に直接接した人でないとわかりません。本などに出てい
ても自分の目で確認できませんのでね。
伊藤正義さんとか後藤田正晴さんという政治家は、政治改革で、僕の自民
党時代の短い期間にご一緒しましたが、優れた政治家だと思います。
内外を問わず強く影響を受けた政治家はいますか。
ノーコメントですね。それは共感を覚えない人を答えることになってしまい
ますからね。(笑)
過去に党の代表を経験して何か学んだことは。
組織というのは、組織がまとまらないとトップは力を発揮できないというこ
とです。
組織をまとめるのもトップの仕事と思いますが。
もちろんそうですけど、だけどその組織を構成する一人ひとりの国会議員が
自覚を持たないといけないと思いますね。
僕が代表をやめたときに申し上げたのは、誰が代表であっも選んだ以上、
その代表を支えきる、そういう組織であってほしいと。
そうでないと代表がいくら力があっても、力量を発揮できないです。足元が
ぐらぐらしているわけですから。
そういう意味ではつらい経験をされたと。
つらいというか、まだ未熟だったですよね、当時の民主党は。
だいぶ良くなってきたと思いますが、常にそのことは若い人に言っています。
その若い人たちは成長していますか。
ええ、一人ひとりは非常に優秀だし、楽しみな政治家は多いです。
現に成長しているしね。
しかし中には自己評価が高すぎて、全体のためにしっかり役割を果たすと
いう視点では、首をかしげる人もいるということですね。
みんながまとまらないと政権は取れないです。
岡田さんは国民の立場に立った政治をやりたいと言われていますが、どう
いう国民をイメージしていますか。
一人ひとり一生懸命生きている人たちですね。
国民にも裕福な人、生活に困窮した人、その中間といろいろいますが。
上はほっといてもいいわけですから。やっぱり一生懸命やっているにも拘ら
ず、生活に困るというような社会であってはならないです。
政治家としてのこだわりはありますか。
正直でありたいと思いますね。
政治の世界は正直だけでは通用しないイメージがありますが。
時に痛い目にあって学習したりしますけどね、言い方とかそういうことで
は。だけど基本的には正直でありたいと思っています。ウソを言う政治家
には絶対なりたくないですよね。
政治家としての自己実現のためにも是非首相になりたいと思いますか。
それは私が決める話ではないだろうと思いますね。
チャンスがあればやってみたいと思いますけど、そのために政治家をやっ
ているとは思っていないです。
基本的に僕がやりたいことは、政権交代をきちんとできる体制を作るという
ことです。二大政党が競うような政治ですね。
そのためにも民主党がまず政権を取る。自民党は野党になって、改革を進
めてもらって、自民党もいい党になって政権を取る。
また民主党も政権を取り返すというこのワンサイクルを10年くらいやれば
政権交代が定着したと言えると思うんですね。そういうことを是非実現した
いと思います。
自民党と民主党の決定的な違いは。
自民党は既得権を守るために存在している政党です。
既得権者というか、守るべきものがある人たちのための政党で、民主党は
そうじゃなくて、既得権にとらわれず、ある意味で既得権を壊す、それが民
主党の役割ですから。そこが最大の違いです。
だから自民党が改革するというのは論理矛盾です。
小泉さんは自民党をぶち壊すと表現したんですけど、それは本来ありえな
いことですから。
現に小泉さんが5年間やって自民党は何も壊れていないし、経世会は壊れ
たかもしれないけど、それに代わって森派が強くなったわけだし。
本当の改革は民主党でしかできないと思います。
今後二大政党に収れんしていく場合、どんな思想、価値観でわかれるのが
望ましいですか。
それは保守と革新でしょうね。
安倍さんの最大の矛盾は、保守でありながら改革を言ったことですよ。
小泉さんも改革を言ったけど、本当の改革は当然できなかった。
やっぱり自民党は保守党であり、民主党は改革政党だということです。
ある民主党の政治家が政権を取った後、権力に心を奪われ自民党の二の
舞になることを心配していましたが。
うん、そういうことになればまた政権が代わるということです。
今、民主党議員は改革政党として一枚岩ですか。それともいい加減な人も
いるんですか。
まあ、いろんな考えはあると思いますが、それはリーダーの考えでしっかり
まとめていき、選挙があればマニフェストをきちんと考えてやるわけですか
ら、そう心配はしていません。
二大政党に関する素朴な質問ですけど、日本人が真っ二つに分かれるほ
どの価値観の違いって本当にあるんでしょうか。
それはアメリカだって一緒ですよね。イデオロギーの対立の時代じゃない
ですから。
相対的な違いで対立するわけです。現状をそのまま維持し、古いものを大
事にするという考え方と、改革とか進歩という考え方があって、そのような
方向性が違えば十分じゃないですか。
ゴミの不法投棄など様々な分野で日本人のモラルの低下が社会問題にな
っています。この状況は政治家も無関心ではいられないと思いますが。
ただそれが政治の話かどうかですよ。その上で言えば、ものごとを見るとき
にそういう見方もありますけども、ゴミの分別収集などはほとんどの人は
きちっとやる。こんな国は珍しいと思いますよ。
子供の環境意識も高いし、一方でそういうモラルの崩壊ああるけども、そう
いう面だけじゃないと僕は思いますけどね。
そう目くじら立てるほどではないと。
そうですね。まあ政治が号令をかけてやるような話ではないと僕は思います
けど。何でもかんでも国の政治がやる話じゃないんでね。それは地域の中
でやったり、社会運動でやったりしてね。
政治がやるのは基本的に法律を作って規制していくという話ですから、あん
まり政治の守備範囲を無限定に考えない方がいいと思います。
政治家として最大の目標は。
政権交代のある政治を作ること。もう一つは日本が衰退しないこと。
つまり国民が平和で豊かに生きられることですね。
ありがとうございました。