≪インタビュー≫  聞き手・蛭田有一
 
政治とはどういうものですか。
政治は挑戦だと思います。戦いを挑む。政治は挑戦なり。

日本の政治家に足りないところは。
世界的発言、それから学問との結合、それがかけている。

その学問とは。

万学ですよ。政治学も、生理学も、国際地理学など総ての学問、
その上に立った発言
というものが非常に不足している。

若い政治家に強く言っておきたいことは。
それは学問に立脚した政治ですね。政治を政界の取引みたいな
ものだと誤解してはいかん。やはり学問に立脚した経世的な初心
を持たなければ
いけない。

今、日本の政界で世界に通用する政治家はいますか。
残念ながら見当たらないね。要するに世界的、経世的発言力を持った人間がいないということだね。今のところは見えない。

鳩山由紀夫氏を首相としてどう評価しますか。
政権を取るまでは誰でもやれるけども、取った後、どういう成
果を生
むかはまだ未定だ。評価するのはまだ早い。

小沢一郎氏はどうですか。
雄心勃々たるものはあるが、それを隠してやっているところはやっぱり東北人だね。岩手県の産だね。しかし国の困難なときに役立つ政治家だろうね。

困難に直面している今の日本にとっては、小沢さんの出番であると。
まだそれほど困難とは言えない

就任早々、世界中を飛び回っている岡田新外相をどう評価しますか。
パフォーマンスはよいけれども、本当の骨髄に芯があるかと、日本的政治家としての芯が通っているかはまだ分からない。

国民の圧倒的な支持を得て誕生した民主党政権をどう評価しますか。
自民党に対する批判政治として歩み始めているけれども、どの程度の実力があるかは、まだ未定だ。批判が口だけで終わる可能性もある。

一つの政権を評価するのにどの程度の期間が必要ですか。
少なくとも1年から1年半は要るね。

公明党はどんな政党と認識していますか。
自民党と協力して、要するに政権党になって国家の政治というものを勉強したと思う。だが独自性が少し薄まった感がある。それはやむを得ないだろうと思う。しかしどう回復するかだ。

独自性を出そうと、自民党と少し距離を置くようになると自民党は困りますね。
だけど国のためにはいいことだ。

もし次の参議院選挙で民主党が過半数を獲得したら、小沢さんはどう出ると予測しますか。
やっぱり国を背負う責任を感じて積極的になるだろうが、しかし非常に慎重にやるだろう。

小沢さんは日本の政治の仕組みを根本的に変えようと考えているのでは。
それだけの力はまだ持っていない。要するに話し合いで前進していくと思う。

仕掛け人として、その話し合いの中心はやはり小沢さんですか。
その中心になるかどうかはまだ分からない。

日本が二大政党制に移行するとしたら、その対立軸は。
欧米の二大政党は、政策的差異で政策的軌道は二つに決まっている。しかし日本の場合は人間的な政策力のにおいが強すぎる。だから二大政党制というところまで安定したとは言えない。
日本はまだ初歩の段階でね。二大政党がこれで安定して進むかどうかはまだ分からない。

中曽根さんは二大政党制がいいですか。
いいと思います。

今、自民党の若手政治家の中で将来保守のリーダーになりそうな人物はいますか。
まだ分からない。要するに挑戦すると、その気力を示している政治家が少ない。冒険を伴うけど、そういう政治家がまだ少ない。
要するに現状打破の勇気のある政治家が少なくなっている。

挑戦する勇気ある政治家を育てるということが大事と。
でしょうね。それと世界やアジアの将来に対する先見性を持った政治家を養うことが大事と思っている。

国際的には日本はアメリカに従属した国と見られているんでしょうか。
西欧から見るとそう言われるでしょう。

そういうイメージを払拭するためにどんな独自外交をすればいいと思いますか。
欧米でも、アメリカとの関係というのはみんな持っていて、日米関係とは程度の差なんです。ただ安全保障とかアジア政策とかそういう問題について、日本の固有の見解をもう少し強くする必要がある。

固有の見解とは。
日本の伝統、アジアの一国としての存在、そういうものから出てくる政策や戦略ですね。

アジアとの関係に力を入れようとしている民主党に何かアドバイスはありますか。
アジアの有力国のトップと日本のトップとの間に信頼感と友情が生まれるような、トップ同士結合力というのが非常に大事ですが、それが欠けている。国と国との関係では、トップ同士の信頼感、友情というのが大きな影響を持つ。

よく言われたロン、ヤス関係ですね。
そうです。

3年前、全斗煥元韓国大統領一家を軽井沢の別荘や日の出山荘に招待し、中曽根一家と共に数日間の旅行を楽しまれましたね。私も同行しましたが、元大統領が自国で困難な境遇にあっても、友情を大切にする中曽根さんの姿勢に感銘しました。
今日本に、中曽根さんのような個人外交に力を入れている政治家はいるでしょうか。

最近いないね。自分の家や別荘に外国のトップクラスの政治家を招待したという例を最近見ないね。外国ではよくあることです。

岡田外相もその辺のノウハウを中曽根さんから学んだらいいですね。
そうかね。(笑)

日本はアメリカや中国との関係に比べて対欧州外交の優先度が低いのでは。
アメリカや中国との関係から見れば少し距離がある。

アメリカや中国との関係を上手くやる上で、ヨーロッパと良好な関係を作ってそれを戦略的に活用できないかと素人的に思いますが。
ヨーロッパの存在それ自体がアメリカや中国に対してそれだけの独自性を持っているか、それは検討課題です。日本と大同小異のもんだと思われる。

やはり日本はアメリカと中国が大きなテーマであると。
そうですね。

20年後の中国をどう想像しますか。
おそらくアメリカやEUと肩を並べる大国になっているだろうと思うね。

今後、日本はどんな日中関係を創っていくべきですか。
やっぱり隣邦というのは非常に大事なんで、だから欧米が中国に対するのと一歩違った隣邦としての関係を結んでいく。それを両国の政治家同士で検討して創造していくことですね。やっぱりドイツ、フランスというのはそういう関係であったね。

隣邦としての関係とは具体的に言うと。
双方に進歩のために影響力を持ち合い、世界に対しても覇権を求めない。そういう謙譲な態度が必要だと思うね。

それは中国の覇権的傾向を念頭に置いて言われているんですか。
ええ、そうそう。

大国になった中国が覇権意識を露わにすると心配ですね。
まだその辺は分からないから注意していく必要はある。

日本が巨大になった中国と従属関係になってしまわないかと。
いや、聖徳太子みたいに日本人はなっていくだろうと思う。聖徳太子は隣の唐という大国に対して独自力を示しましたね。独自的存在を。

尊厳を持った国になると。
 

そうです。

共産党が運営する中国経済が今、世界不況にあえぐ先進資本主義経済の牽引役になっているのは皮肉ですね。
中国が世界経済を牽引している段階にはまだない。あと10年か20年かかるでしょう。

10年か20年でそういう役割をになうと。
それは中国の内政がどう安定しているかと、それから科学技術が日本や欧米に比べて見劣りがしない国になり得るかと、そこが大事な点ですね。

不安定な部分ありますか。
中国は東北とか西北、あるいは南部、そういう地域的な個性が非常に強い。また歴史的、伝統的なものを持っている。発展すればするだけまとめていくのに苦労するでしょう。沿海地方と大陸内部の関係も問題になるでしょう。

今後、日本の発展のために注意すべきことは。
アメリカとの関係は非常に注意していくだろうが、アジア特に近隣諸国、韓国や中国、アセアンとの関係を良好に維持していくことは、日本の発展のキーポイントになりますね。その点に欠落が出てこないように注意を要する。

もう一度人生をやり直せるとしたら何をやりたいですか。
まあ学者か政治家かどっちかだね。(笑)

やっぱり政治家はいいですか。
魅力はあるね。

当然、総理大臣としてですね。
でしょう。世界的な影響力を持った政治家にならなきゃダメですよ。要するにその発言が世界を動かし行くような政治家にならないと。

世界を動かす政治家とはどんなイメージですか。
G7サミットにおいて私の発言はサミットを動かしていた。それは世界を動かしていたことになる。

再びそういう立場になりたいと。
ええ、そうです。

学者とはどういう学問ですか。
やっぱり自然科学を基礎にした政治学ですね。

今後の日本の政治に何を期待しますか。
我々人生の第四楽章においてね、現役の政治家が日本を発展させていくようにと、非常に念願していますね。世界的スケールを持った政治家がまだ見えない。

ありがとうございました。
失礼しました。