≪インタビュー≫  聞き手・蛭田有一
政治家になる前に田中角栄事務所で働いたそうですが、田中氏はどんな人物でしたか。
あの人は人間じゃないですよ。魔神だね、魔神。あの人に匹敵するような
存在感のある人を、私は一人も見たことがないですね。
とにかくいるだけで凄い存在感でしたね。前に立っただけで足が震える。
私はその後、渡辺美智雄先生や竹下登先生、いろんな方に御指導いた
だいたが、角さんみたいに人間とは思えない人はいませんでしたね。
当時、角栄氏から直接、政治について学んだことは。
いやそれはない。末端事務員でしたからね。私がいよいよ選挙に出るた
め地元に帰るときに挨拶に行ったら、「お前なんか単なる27歳の政治好
きのあんちゃんにしか過ぎん。お前より立派なやつは一杯いる。にも拘ら
ずお前が選挙に出られるのは、お父さんの名前のお陰で1億8千万円安
く上がるからだ。それだけのことだ。
そう言われて悔しかったら今すぐ鳥取へ帰って、一日に戸別訪問4百回、
街頭演説3万回やれと。そうすれば選挙区が見えてくる。そういうことが
できて初めて一人前だ」と。
こういうことを二代目みんなに言っていたらしいです。
私はそうだなと思って言われた通りにやりましたけど、最初の選挙は、
56.534票だったですよ。歩いた家は5万4千軒でした。歩いた家の数
しか票は出ないとも言っていましたね。』
実際にそうだったわけですね。
実際にそうだった。選挙のノウハウというのは小手先のものじゃなくて、
そういうものなんですね。
どんなに立派な演説をしても、そんなもん票にならんと。実際に会って、
手を握って、手をついて頼んで初めて一票だということを、それは徹底し
ていましたね。
今も石破さんはそういうやり方が一番いいと。
そう思います。若い人たちにもそう言っています。立派なことを言う前に
歩け、歩いた家の数しか票は出ないと。
高く評価している政治家はいますか。
私は亡くなった方や自分が接したことのない人の評価はしないことにして
います.
直接いろんなことを教わったのは田中角栄先生であり、渡辺美智雄先
生であり、竹下登先生ですが、やはり竹下登という人の気遣いは文句な
しに素晴らしいと思いましたね。
竹下先生の怒鳴ったのを見たことがない。でも底知れぬ怖さっていうの
はいつも感じていましたね。
我々が陳情団を角栄さんの目白亭に連れて行くじゃないですか。
そうするともう朝7時からずっと、門前市をなして、大体短くて30分、
長ければ2時間待ってはじめて会える。
だけども竹下さんの場合は、必ず時間通りに会える。それはもう秘書が
全部時間調整をやっているんですね。待たせちゃいかんと。
その時はもう総理をお辞めになっていたけども、竹下派のオーナーとして
海部内閣や宮沢内閣、政権奪還を果たした村山社会党首班内閣なんぞ
というのを作ったりと、竹下さんが絶対の力を持っていた頃ですよ。
ですけども必ず時間通りに会える。それで5分と言われても必ず10分会
ってくれる。それも秘書が時間調整しているんですね。
こんなに長く会ってくれえ、帰るときに「引き止めて済まなかった」と。
竹下さんと写真でも撮っていくかと必ず言う。そりゃぁ行った人は5分と言
われていたのに10分も会えて最後は引き止めて済まなかったと言われ
て大感激しますよ。これは凄いと思いましたね。
それを石破さんも実行しているんですか。
なるべくするようにしていますけど。竹下さんがお亡くなりになって7回
忌に、島根に竹下記念館が完成して、私たちゆかりの者が行きました。
パーティが小学校の講堂で開かれたんですが真夏の最中で、冷房して
いても暑かった。
テーブルの上を見るとウーロン茶とか置いてあるわけですよ。
やっぱり竹下さんがいないとこういうもんだと、冷たいビールは出てこない
んだと。竹下さんだったらここで冷たいビールを出すよなとか誰だかブツ
ブツ言ってんの。
それでは乾杯に移りますという言葉とともにテーブルの下からクールボッ
クスが出てきて、キンキンに冷えたビールが配られたんです。
やっぱり竹下さんが亡くなっても、その教えは生きているんだなと思った
んですけどね。
消費税なんてみんなが嫌がるものを自分の内閣と引き換えに成立させた
っていうのは凄いなって思います。
小泉さん、福田さん、麻生さんと3人の総理に仕えて、やっぱり総理にな
る人っていうのは、それぞれ偉いなとしみじみ感じましたね。
福田さんも話していて楽しかったですよね。麻生さんもそう、一国の総理
になる人はみんな凄いねって思います。
石破家は四代つづくクリスチャンですね。
母方ですがね。
信仰は政治家・石破 茂にどんな影響を与えていますか。
それはすごくあると思いますよ。
例えば自民党の政策の中で、クリスチャンとして矛盾を感じたことはありますか。
政策的にはそうはありません。
それじゃクリスチャンのくせして何故靖国に参拝した、もちろん閣僚になっ
てからは行きませんが、一体あれはなんだとかね。山本七平流に言えば
日本教キリスト派みたいなものかも知れませんね。
ギリギリつめれば矛盾するところも一杯出てくるだろうと思います。ただ
お天道様は見てござると言うけれども、例えば人をどんなにごまかしても、
神様だけは絶対にごまかすことはできないわけですよね。
自分がやっていることがどんなに拍手喝采されても、すべて見透かして
おられる絶対の神なるものにそれがどう見えるのか、ということをいつも
自問自答しています。
我々は一日何回か祈りますが、その時に神様の御用のためにどうぞお
用い下さいと、あなたの目からご覧になって誤っていることはどうぞ正し
ないんですよね。
自分がやっていることは多分間違いは沢山あるだろうといつも思っている、
そういうことなんだろうと思います。
常に初心を維持するには必要なことだと。
そうだと思いますね。それでも自信過剰とか思い上がりみたいなことは一
杯あるでしょうけどね。うん、あると思いますよ。
私は四代目ということもあるし、ものごころつく前からキリスト教的環境の
中で育ったので、そういう神聖なるものが世の中にないと思っている人の
気持ちがよく分からない。
そういう恐ろしい考えができることが信じられない。仏様でもいいんです。
八百万の神でもなんでもいいんだけれども、人間を超えた絶対のものが
あるということを信じない人が多いですよね。
逆に私から言わせると、そういう気持ちがよく分からないところはあります。
石場さんが掲げる自民党改革の中で、政治を官僚から取り戻すと言って
いますが、そのためにどうすべきと思いますか
官僚をどんなに怒鳴っても変わりません。政治家が変わらなければ官僚
は変わらないのです。
だから霞が関改革は官僚組織をいじることではなくて、政治家が変わるこ
とだと思います。
官僚の武器は法律ですから、こっちがその法律を何も知らなきゃ向こうが
強いに決まっているし、官僚組織を使えるはずがない。
無知でも官僚組織を使おうと思えば、おだてて遣うか、脅して遣うか或い
は、昔であれば政治家が大臣になると、課長以上にお仕立券つきのワイ
シャツを配ったりしたわけです。
だから私は政治家が明確な国家ビジョンを持っていて、それを実現する
ための法律や予算についての知識があることが大事だと思っています。
そうすれば官僚も変わるけれど、単に俺は大臣だ、偉いんだみたいなこと
を言っていると、それは面従腹背になるに決まっている。
主党が官僚主導政治を打破するには政権交代しかないと言っていますが。
なにも政権交代しなくてもできますよ、そんなことは。
今まで変えられなかったのにこれから出来るわけがないと民主党は主張していますが。
ウン、それは官僚組織との間に妙な貸し借りがあればそうなっちゃうでしょうね。
つまり癒着ということ。
癒着っていうかな、先生これやってください、その代わり先生の地元でこ
んな事業に予算付けますから、業界にも口きいてパーテー券買わせます
からとか、そういう関係があればそうなっちゃいますけど、今の自民党には
そういうことに全く関係ない代議士も一杯いるわけですね。
今まで、お金のある人がトップになることもありましたが、例えば小泉さん
や福田さんはそんなにお金持ちでもないですよ。
麻生さんはお金持ちであるけれども、官僚組織を使ってお金を作ったわけ
じゃないですよね。
もう官僚組織に依存して票も金もという自民党ではないと思っている。
だから国民に政権交代しなくても、官僚主導政治じゃない政治が作れる
ということを見せなきゃいけない。
国民は自民党はひどいと思っているけど、民主党に対する不安もすごい
んじゃないか。
だから自民党政権でも官僚主導は変えられるということさえ見せられれば、
自民党政権でつづいた方がいいと思っている人もいらっしゃると思います。
官僚政治を断固変えるという自民党の強い姿勢が伝わってきませんが。
うーん、どうでしょうか。自民、民主お互いにダメ比べみたいなところが
あるんですけど、じゃあ小沢さんの蓄財は一体何だ。その人が実際に取り
仕切る民主党は一体なんだとかね。どっちおどっちなんですよ。
ただ農林水産省とか、明日添えさんの厚生労働省は明らかに変わってき
たと思いますね。
官僚組織を変えるには先ず大臣がビジョンを持ち、法律、予算の知識を持
つこと。
もうひとつは大臣の言っていることが正しいという世論になることですね。
だけど常に舛添氏にしても私にしても、一定の国民の支持を頂いていれば
官僚と自民党の族議員が結託して改革を潰そうとしても、いや、大臣の言
っいる方が正しいと、世論がついてくればそれでいいわけです。
どんな組織でも真っ当な人は2割ぐらいなもんですよ。どうしようもないの
が2割。残りの6割はどっちでもない人達だと思いますけどね。
近年、中国が尖閣諸島は自国領との主張を鮮明にしています。もし大量の
漁船で上陸された場合の有効な対策はできていますか。
先ず尖閣を奪ることの中国のメリットって一体なんだろうということです。
先ず武力で侵攻したら国連で袋叩きにあって中国は生きていけないんじゃ
ないでしょうか。
常任理事国であるだけになお更、国際社会の批難を浴びる。
中国の経済はアメリカや日本がなければ成り立たないんですよ。かつて
南シナ海に出たり、ベトナムと戦争していた頃の中国は国際的にも孤立し
た国家でしたよね。しかし今はアメリカや日本がなければ成り立たない中国
なんです。
中国がそういうことをするメリットがあるとは思えないけれども、ではなん
であんなに武力を増強しているのかという議論になるんですね。
そうすると中国が何のためにどのような戦闘機を何機持つかなんのため
にどのような潜水艦を何隻持つのか、なんのために航空母艦を建造して、
それをどう使おうとしているのかというのは常にシュミレーションしなけれ
ばいかんと思いますね。
中国は日本と違って14の国と国境を接していますので、日本の正面とだけ
やっていると、それらの国境ががら空きになったところに、ロシアだ、やれ
ミャンマーだと、中国にとっておっかない国が一杯ある。
わけですよ。だから中国が日本に武力行使に出る可能性は非常に薄いと
私は思っているんです。ただ中国が何をどのように持とうとしているのか、
それをどのように運用するのかということは常に考えておかなければいけ
ないということです。
仮にそういうことが起きたとして、今の自衛隊、日米同盟がどういうシナリ
オで、それに反撃するかということについて、常に納得できる答えを出して
おかなければいけないのだと思っています。
尖閣の領有問題にはアメリカは関与しないみたいな話がアメリカから伝わ
っていますが。
昔、モンデール大使がそんなことを言いましたけれどね。中身は申し上げ
られないけれど、その尖閣に入ってくるとしたらどういう場合か、どのよう
に入ってくるか、その時に自衛隊はどのように対応し日米同盟はどのように
機能するかというシュミレーション、それは当然行うべきものです。
どのようにシュミレーションしているんですか。
いや、中身は言えないけど。そりゃあ私のときは何度もやりました。
アメリカも参加してですか
いや、自衛隊の中で何度もやった。こんなことになるわけないだろうとか,
もう一回やり直しとかですね。
我々が持っている装備品はオモチャではないので、これをどのように使うか
ということは、使う側である政治家が知らなければどうにもならない。
日本が持っている中で足りないものは何か。たとえば核はない。航空母艦
もない。長距離爆撃機も弾道ミサイルもない。
そうすると、そういうものがどれくらいの時間でアメリカからやって来る
か、日米が共に戦った場合に、どれくらいこっちの飛行機が落ち、どれくら
い向こうの飛行機が落ちるかみたいなことは全部精密にシュミレーションし
てみないと安心はならん。
今の防衛力は日本の安全にとってどの程度のものですか。
アメリカとセットであれば十二分にあります。
そのセットのアメリカが衰退しています。いつまでも日米同盟を頼りにでき
ないのでは。
中国はなんせ13億だか14億だか本当の人口は誰にもわかんない国です
ね。私は中国の指導者といつも話すんですけども、本当にお宅も大変だねと。
どんな指導者ですか。
温家宝総理とか、国防大臣とか外務大臣とか或いは共産党の幹部ですよ。
だって日本の10倍の人口があって、民族は50からあって、14の国境を
接している。
マルクス・レーニン主義をみんなが信じていたときは、共産党だと言ったら
みんなハハーッみたいなことだったのが、今はマルクス・レーニン主義を
信じている人はほとんどいない。
その中で貧富の差がものすごいわけですね。
あの国を統治するのはきっと日本の10倍難しいと思います。
私は共産主義一党独裁は大嫌いだけど、あの国で民主主義を導入したら、
多分ひと月持たないですよ。
あの国はとにかく国民を養わなければいかん。養わないと共産党を倒せみ
たいな話になるわけで、そうならないように国民を食べさせるために農業を
どうやっていくんだと。
中国は水が足りない、土は悪い、どんどん砂漠化は進む。
だから日本は水や土、森林整備などで助力してやんないとあの国はもた
ないわけですね。
中国にとって日本を敵に回したらろくなことはないということを、どれだけ
思わせるか。そして合衆国は日本がアメリカ国債を買わないと言ったら倒
れるわけです。日本と中国が買っているわけです。
アメリカ国際なんぞというものをですね。アメリカは日本がなくてやってい
けますか。中国も日本がなくてやっていけますか、ということを常に発信し
ていかねばならないし、それだけではカルタゴみたいな国になっちゃうん
で、常に日米同盟なるものの力が中国の力に対して上ということをキープ
しておくというウオッチングはしておかねばならないと思います。
現実にそういうことを政府はちゃんとやっていますか。
と思いますけどね。
思いますですか。
 
いやだから総理とか外務大臣、或いは官房長官、防衛大臣、その辺りです
ね、特に。経済という分野、武力という分野の両方を知っていないと総理は
務まらんですわ。
経済的にアメリカも中国も日本がなければやれないはずだと。それはそう
なんだけど、経済合理性の通りにいかないから戦争が起こるんですよ。
だから経済の面で常にアメリカや中国に対して目配りをしておくこと、しか
し経済の理屈通りにいかなくなって、軍事が出なきゃいけないときに、それ
でも軍事的にそういうことを起こさないようなバランスを取っておく。
万が一になったときには負けないためのあらゆることを考えておかないとい
かんです。
日本の中には声高に中国脅威論を述べ立てる人がいるんだけど、それを
聞くと中国だって面白くないわけですよ。
脅威だ脅威だといくら言っても何の足しにもならないんで、ワーワー言う前
にお互いの軍事力をよく分析し、日本に足らざるものはアメリカがきちんと
使ってくれるか、使ってくれるかわからないものは、日本が独自に持つべき
ではないかと。
こないだの北朝鮮のミサイル騒動のときも、早期警戒情報はアメリカの衛
星からしか入ってこなかったわけでしょう。
私は防衛庁長官をやっていた頃から、そういう早期警戒衛星を、つまりミサ
イル発射をキャッチできる衛星を日本は持つべきだと言ってきたのはそうい
うことであって、すべてアメリカ頼みで大丈夫かということです。
日本として最低必要なものは持つべきという視点は必要なことでしょうね。
次の選挙で与野党が逆転し、それが引き金となって政界再編が起きるとい
う人がいますが。
与野党逆転なんか起こらないと思います。起こさないし。
ただ現状では与野党逆転の可能性が大という人が多いですがね。
一昨年の参議院選挙で、どうしてあんなに負けたのかという反省さえきちん
とすれば、与野党逆転なんか起きません。
自民党は反省しているんですね。
私は安倍内閣が倒れ、福田内閣になったときからずっとそういっています
が、負けた理由は三つあって、小泉改革の負の部分が弱いところに出ちゃ
った。地方や農林水産業、年金生活者、高齢者というとこに出ちゃった。
底にちゃんと手当てができましたかということなんですね。
安倍さんは何を間違ったか、小泉内閣の負の遺産に手当てをしなければ
いけないのに、ますます突っ走ったので、ふざけんなということになったわ
けですね。
福田さんがそれを直そうとしたんだけど消えた年金だとか、長寿医療制度
は姥捨て山だとか、そんな話で福田さんはやり切れなかったわけですね。
麻生政権の下で、そういう医療や年金、林業などに手当てをしなくてはなら
ない。
今、ミサイルは飛ぶ、新型インフルエンザは起こる、経済危機になるで、
やっぱり与党でなきゃと、政権交代なんてやってる余裕はない、怪しげなも
のに任せられないという感じがジワジワと広がってきていると思います。
私の担当でいえば農業、漁業、林業に対してきめ細かい手当てをやってい
るんですね。
ですから政権交代は起こらないと思いますし、起こしちゃならない、。
万が一、民主党がやたらと多数とれば政界再編は起こりません。しかし、
社民、共産の力を借りないとできないときは、部分的な政界再編は起こる
かもしれません。
自民党が仮に下野することがあったら、野党の間は本当に自民党を改革
する絶好のチャンスだと思っているんですね。
野党でいる間にちゃんと勉強して、細川政権を倒したときみたいに、社会党
と組むなどという策を使うんじゃなくて、やっぱり自民党変わったねと、今
度は自民党に任せようねと言われるように自民党を改革するいい機会だと
思ってやっていくべきじゃないでしょうか。
政界再編を起こして、とにかく与党になって暖かい飯が食いたいというよう
なことをやってはいかんと思いますすけどね。
2008年の自民党総裁選に立候補した動機は
私は全然総裁選挙なんかに出る気はなくてですね、福田さんが辞めて次
は麻生さんだねと。
私は麻生さんが政調会長で、私は成長副会著として、一緒にテロ特措法
なんて作りましたし、麻生さんとは親しいほうですよ。だから今度は麻生さ
んでいこうと思っていたわけですね。
ただちょっと待てと、与謝野さんも石原さんも小池さんも東京の代議士だよ
ねと、麻生さんも選挙区は福岡だけども小学校から学習院だよねと。
なんで参議院選挙に負けたか、それは地方を軽視したから負けたんだろう
なと、やっぱり地方の代表みたいな人間が出て地方をどうするんだというこ
とを訴えることがこの総裁選挙の大きな意義ではないかと。
石破さんはいつも小沢さんの安全保障論はデタラメだと言っているじゃない
か、安全保障策を総裁選挙で議論しないのはおかしいじゃないかと。
地方のこと、農林水産業のこと、そして安全保障のことが総裁選挙のテー
マになることに大きな意味があるんだとという人たちが来て、お前出ろと。
いやだよと、俺なんか20人の推薦人が集まる分けないよと言っていたら
20人揃っちゃったので、しょうがないというのが本当のとこですよ。
国会議員であることも、大臣であることも、はたまた内閣総理大臣であるこ
とも、それは手段であって目的ではないのですよ。
何かやりたいことがあって国会議員になる。それを実現するための手段と
して大臣になる。
内閣総理大臣にならなければ自分のやりたいことが実現しないと思った
ら総理大臣になるということだと思います。
今後、総裁選挙があったら自ら立候補を考えますか。
他の人がやってくれるのならそれが一番いいです。つまり私のやりたいこ
とを、他の人が掲げてやっててくれるんであれば、私は農林水産であろうが
安全保障だろうが、ブレーンになって働くほうがよっぽど性に合っています。
誰もいなかったら自ら出ると。
しょうがないでしょう。ただ自分からやりたいやりたいというものではなく
て、誰かもっと自分よりも優れた人が、私のやりたいことをやる、それの
お手伝いをするというのが一番いいが、誰もいなきゃしょうがなかろうと。
今、自民党の中にはいなそうですか。
それは分かりません、まだ。少なくても私は麻生内閣の閣僚として、麻生
太郎という人に、例えば農地改革というものをやるためにお仕えしているの
であるし、福田内閣のときは防衛省改革というものをやりたくてお仕えして
おった。
私はまだ52歳ですから、場合によってはあと何度か閣僚をやることがある
かもしれない。その時に改革が出来ていればそれでいいんです。
今後、政治家としてどんな国づくりを目指したいですか。
人のために、世界のために何が出来るかということをみんなが考える、そう
いう国にしたいと思うんですね。どの国も自分のことしか考えていないのは
一緒。国際社会なんてそんなもんですよ。
どの国も自分の国益しか考えていない。そうなんだけど、日本の場合は
世界のために何が出来るかということを身をもって示す国でありたいね。
世の中の人々が自分だけの楽しみではなくて、その地域のために何かでき
ることはないかと思うようなね。
だから私は農林水産省に着任以来、親切で正直で丁寧な農林水産省を作
ろうよと言っているんですね。逆に言えば、今まで農林水産省はそれほど
親切でもなかったし、正直でもなかったし、丁寧でもなかったんだろうと。
一人ひとりが自分の幸せとか楽しみを少しだけ削って、本当に人のために、
他の国のために、世界のために何かできることはないかとみんなが思える
ような国を作りたいですね。
ありがとうございました。
はい、ありがとうございました