1998.11  於公演中の伊東市ハトヤホテルの舞台裏
引田天功 イリュージョニスト
『 わたし、人の深層心理を考えるのが好きなんです。
アガサ・クリスティーの「人は騙されることは好まな
いけれど、少しだまされるのなら心地よい」っていう
言葉を、いつも心にとめているんです。
この少しっていう部分と、トリックをどう結びつける
か・・・・これがわたしのマジックです。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1989.11  於東京都調布市の自宅
 水木しげる 漫画家
『 妖怪は範囲が広いんですよ。神秘的な力を持って
いる。
たたりもあるし、恐ろしい存在。ですけどもカッパと
か愛嬌のあるのもいるわけですよ。
妖怪としてはですよ、そういう存在を人間に知っても
らいたいんですよ。それを真面目に伝達する人に対し
て多少援助するっていうことはあるんじゃないですか。
向こうの援助の仕方ってのは幸運しかないですよね。
運命を左右することでしょうね。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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水木
1993.3  於世田谷区砧公園に作品を並べる
 舟越 桂 彫刻家 
『 1ヶ月以上かかって彫刻は育っていくわけですね、
仕事場で。僕がいいっていうところまでやっていくわけ
ですから。ある意味じゃ、協力し合ってたっていうこと
もあるんじゃないかな。
特に女性の彫刻の場合には、彫っていくうちにだんだん
擬似恋愛みたいになりますからね。
いとおしい顔だなと思えるようなところまで迫っていき
ますから。そのようにできたらやっぱり手放したくない
ですね。大金持ちだったら売らないですよ、僕 』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1990.5  於港区南青山のアトリエ
 岡本太郎 画家
『 「芸術は爆発」とは無条件に世界に向かってパー
ッと開いていくことですね。
とにかく自分自身を貫くんです。自分自身にも妥協し
ないし、他に向かっても妥協しない。
普通の絵かきさんは、人に好かれることを前提として
いるけども、そういうことを考えないでね、全く無条
件で爆発していく。なんだこれは、と問題をぶつけ
ていく。それが本当の芸術だと思いますね。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1990.4  於渋谷区代々木、文化服装学院のマネキン室
 井上道義 指揮者
『指揮者っていうのは自分のことを、時には棚にあげ
てもいろんなことをしなきゃいけない人ね。それだか
らこそ、なんとしても理想だけは高くないといけない。
アイデアだけは常にもってないといけない。
そういう点では、湧き出るエネルギーってのは絶対に
必要ですね。疲れてたら絶対ダメなんです。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1990.11  於港区、高輪プリンスホテル貴賓館
 井上陽水 シンガーソングライター
『 幸せだなと思ってることは時々あるんですよね。
でも僕は幸せだなと感じてるときにすぐね、いつ
終るのかなって感じちゃうんですよね。
ステージに上がるとき、すごく緊張してて、考える
ことは、なんでこんな仕事やっているんだろうとか、
イヤだなとかね。それから緊張してることを、どう
やったら周りの人に伝えないようにできるだろうと
かね。
それがかけがえのない時間でもあるんですけどね』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1993.9  於八ヶ岳高原音楽堂
 武満 徹 作曲家
『 自然の環境が僕の音楽には大変大事なんですね。
ある大きな宇宙的な法則と音楽のいろんな仕組みが非
常に近いもののように思いますね。
人間の中にある自然の感情が今、どんどん失われてる
と思うんですよ。音楽っていうのはそういう人間の内
面にある自然の感情を回復させるものがあると思うし
もちろん今、大きな政治権力の犠牲になっている人た
ちに対して、ある祈りの感情を表せるのも、僕は音楽
だと思いますね。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1990.6  於目黒区の自宅アトリエ
 泉谷しげる シンガーソングライター
『 やった方が面白いんじゃないかなと思うんだよね。
やり得というか、加害者でいたいということ。
被害者にまわらないということだな。
この時代に全うしたほうがよいんじゃないかなと思う
ね、これが自分の時代だと思ってね。
徹底的に犯罪的にやりたいですね。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1990.5  於世田谷区の自宅寝室
 木の実ナナ 女優
『 チャレンジしてない自分は考えられないんですね。
半歩でも一歩でも前進してないといやな性分、江戸っ子
ですから。少しでも前に、常に高いところが好きな
んですね。女優をやってよかったなと思う瞬間は、やっ
ぱりカーテンコールですね。
カーテンコールは役じゃなくて木の実ナナとして出ま
すから。
そのときの拍手、もう自分が天下を取ったというかね、
もう最高、全てが。すごい快感だし、やっぱり舞台です
ね、舞台、舞台ががやっぱり一番 』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1993.8  於世田谷区、無名塾
 仲代達矢 役者 
『 役者っていまが華ですからね。なまの舞台はその
一瞬が勝負ですから。もう通り過ぎたら幻ですからね。
だからいまの華をおっかけてるわけです。ただ残念な
ことに、肉体はどんどん年と共に衰えていきますから
ね、悲しいかな。
それだけに、いまの一本が大事ですね。今日も大事だ
し、いまの一瞬が大事だとすごく思うんですけどね。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1993.11  於鎌倉市、大船撮影所
 山田洋次 映画監督 
『 映画館で観客がいっぱい入って、みんなが大笑い
しているときね、苦労した甲斐があったなと思うな。
でも、10人笑っていると1人か2人泣いているってい
うこともあるような気がする。身につまされるというか
ほんとにそういうことあるんだよなあというとき、うれ
しくなって笑う人となぜか悲しくなる人もいるんですね。
映画館だから、大勢で見るからこそ、そんな興奮がある
んですよ、きっと。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1992.6  於神奈川県茅ヶ崎海岸
 笠 智衆 俳優 
『 僕のカットになると、ライトマンたちはお茶飲みに
行っちゃうんですよ。小津先生のOKがなかなか出ない
のを、みんな知っていますからね。
先生は僕のをじっと見ているだけです。「笠さん、いろ
いろやってくれるのもいいけどねえ、一番いいのをひと
つだけ見せてくれよ」なんて言われたことがありますね。
試写を見ると自分の欠点ばかりが目について、拳闘で
ポカポカ殴られてるような気になるんですよ。
60年俳優やっていて、自分が上手いと思ったことない
ですね。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1991.3  於新宿区、パナソニック・グローブ座ロビー
 蜷川幸雄 演出家
この世で誰も創ったことないものを創ってるような
気がするときあるよ。
世界中でこんな演劇観たことあるかなんていってる
もんね、俺。そういうとき、もうワクワクするね。
演劇の場合、ひとり客席の側にいるのが演出家なん
だよ。
俳優はみんな客席見て仕事してるでしょう。
だけど僕だけは客席にいるんだよ。だからいちばん
初めの観客なのね。
そのいちばん初めの観客がね、いつでもスリリング
でワクワクするような芝居を観たいんだよ。
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1993.1  於渋谷区の自宅
 市川 崑 映画監督
真実を真実のように見せるんじゃなくて、この中
の真実を解き明かしてくださいっていうような作り
方が、大変巧緻な映画だと思います。
あとでよく考えてみると、悲しみだとか喜びだとか、
人間っていうのはこんなものだっていう真実がボロボ
ロ浮かび上がってくる、そういうものを作りたいと思
って勉強してるわけですけどね。なかなか巧妙にウソ
はつけないですよ。』
(撮影後インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1993.11  於文京区本駒込、富士神社
 春風亭小朝 落語家 
『 落語家には太陽型と月型があって、僕は太陽型で
いきたい。
月型っていうのは、通の人だけが気がついてくれ
ればいいやってことですけど、太陽型はそう
じゃないんですよ。
気がつかない人も振り向かないわけにはいかない明
るさとか芸の艶とか色気とか、そういうものが必要な
わけですよ。
そのためには相当前向きの努力、研鑽、それから頭
脳が必要でしょうね。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1993.7  於江東区、フジテレビギャラリ-青海倉庫
 草間彌生 画家
自分でもおかしいと思うくらい、イメージがあとか
らあとから出てくるわけですよ、幻覚を交えて。
幻覚とか幻聴だとか今でもあるわけです。
あまりにもイメージがたくさん出てきて、それを鎮
静化するのに大変ですね。
今、歴史的な仕事をしていきたいです。後世、100
人観て、たったひとりの人がこれはすばらしいと言
ってくれるような作品を残していきたいですね。
そのほかは目じゃないです。
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1993.3  於諏訪市上川
 原田泰治 画家
 『 俺、無器用なやつだと思うな。調子よく生きれる画
 家じゃないと思う。
 自分に正直に生きてる画家だと思う好きだな俺が。
 俺が惚れてる。絵にも惚れてる。いい絵だなと思うも
 ん、自分で。
 ふっと会場に行って、久しぶりに恋人に会ったみたい
 に、会うたびに違うような感じ受けるもん、俺。
 人がどう評価しようといい。
 まず自分の絵に惚れられないようだったら、人の魂な
 んか動かせないんじゃないかな。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1992.9  於西麻布スタジオ
   山本耀司 ファッションデザイナー
どんなことを知ってようと、自分の着るものに対する
教養のない奴はダメだっていうことです。
果物みたいなものです。リンゴは皮むいて実だけ食べる
でしょう。
ところがファッションって皮です。その皮っていうの
は、果物の本質がそこに色となって皮となって現れて
る。   
日本では伝統的にうわべを装うって卑下しますけど
うわべこそ教養である。
うわべこそがすべてで、見りゃ判る人間の顔と一緒です
ね。   
どう見られたい、どう見せたい、その中で自分の着るも
のに教養を感じさせる人に会うと僕は感激する。
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1988.12  於横浜市の自宅スタジオ
 大野一雄 舞踏家
魂の触れ合いの中で感動して、生きててよかったって
感ずるような踊りでなければダメだと思うんですよね。
感動のない踊りっていうのは私には考えられない。
私にとって、魂と魂の触れ合いっていうのは絶対です
よ。
魂の踊りに関しては、みんな世界共通語のようなもの
で壁なんか全くないんですよ。
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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1993.4  於新宿区中落合、自宅近くの銭湯脱衣所
 赤塚不二夫 漫画家 
『 今、人間ってさ、先へ先へ行ってるじゃない。
ハイテクの時代っていわれてさ。
みんなワープロで打つとか、文字を書くこと忘れ
ちゃって、交通の便だってそうだしね。
のんびりやってきたことを全部捨てていくのが日本
人なんだよ。昔のよき時代ってあったじゃない。
今、僕がテーマに取り上げようと思ってるものは、
ずーっと昔に忘れてきた日本人の心、これをね、
やってみたい。』
(撮影後、インタビューした中から印象的な言葉を抜粋)
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