スーパーロボット大戦 I〜III
I・マジンガーVSゲッター II・ゲッターVSゲッター
III・マジンガーVSマジンガー
団 龍彦 著  石川賢&ダイナミックプロ画 講談社 発行
マガジン ノベルス スペシャル>
『スーパーロボット大戦』というタイトルで「バンプレストから出ているゲームの事を言ってんだろ」と思うかも知れないが、違うのだよ!
この小説は言わば『スーパー“ダイナミック”ロボット大戦』なのだ!

主人公は兜甲児。ストーリーはTVアニメ版『UFOロボグレンダイザー』の後の世界、平和にすごしている光子力研究所から始まる。
時の流れに影響をおよぼす「時粒子(クロノ・レプトン)」の実験中、事故に巻き込まれた甲児とさやか。気が付くとそこはロボットが人間を奴隷のように扱う異世界だった!
ジャングルが覆い茂る風景、人々の暮らしはヨーロッパの中世以前、そんな世界で我が物顔で跋扈する自らを「ドミネーター」と名乗る巨大ロボット達。
そのドミネーターに虐げられた人々のかすかな希望であるレジスタンス組織「ゼファ・ジタンヌ」。
ロボットであるドミネーターに対し剣や弓で戦うしかない彼等と出会い、帰る当てもない異郷の地でゼファ・ジタンヌと共に戦う事を決意した甲児とさやか。
そしてドミネーターの襲来の中、セファ・ジタンヌに古くから伝わる閉ざされた巨大な石の扉の向こうにあったモノとは!
「マ、マジンガーZ!?」
何故マジンガーがここにあるのか?
 はたして、甲児とさやかが飛ばされて来たこの世界は未来の地球の姿なのか?
グレートは? ゲッターは!? 光子力研究所のみんなはどうなってしまったのか!!!

それは読んでのお楽しみじゃあ!!

これ以上ストーリーは書きません。
何故って、この小説は凄い謎が次から次へと出てきて、さらには次から次へとイカス展開へと繋がっていくのだよ! そんな、楽しみを半減させるようなことはオレにはできましぇん!!

ただ、これだけは言おう。
『グレート』、出ます。『ゲッター』、出ます。
当然「剣鉄也」も「流竜馬」も「神隼人」も「車弁慶」も出ます。
あんな、兜甲児の状況でどうやったら彼らが出て来られるのか?
もう、考えただけでドキドキしませんか?

そして、始めに敢えて「TVアニメ版」とことわったのには訳がある。
この小説の登場人物の設定は「TVアニメ版」の『マジンガーZ』『グレート・マジンガー』『UFOロボグレンダイザー』『ゲッターロボ』『ゲッターロボG』に則しているのだ!
つまり、『東映まんがまつり』のアレなのだよ!
元祖・石川賢の漫画版のぶち切れた流竜馬もいいのだが、神谷明のあの声で叫ぶ優等生の流竜馬もまたいいのだ。
小説のセリフを読むたびに
「さやかさん、スクランダーは? スクランダーは無いのかい!?」と石丸博也の声が、
「甘いぞ! 電撃とはこうやるんだ! サンダーブレーク!」と野田圭一の声が頭を駆け巡る。
圧巻は「いや、こいつらならおれ一人で充分だろう。」とクールに分析する剣鉄也に
「フ……おいしいところは独り占めってわけですか。かなわないな、この人には」とうす笑いを浮かべる神隼人!!
うおー! このセリフ廻し、まさしくTV版神隼人!! キートン山田、ではなく山田俊司の声がゲッタービジョンの速度で走り去っていくぜ!

勘違いして欲しくないのが、『東映まんがまつり』のソレだからといって「子供ダマシ」なわけではないのだ!
著者の団龍彦はそりゃもうダイナミックプロの古株、永井豪と一緒に『マジンガーZ』を作ってきた人なのだ。特にTVシリーズ全般にタッチしてきた人。
だから本作は、よくある「他人がリスペクトして書いたトリビュートもの」では無く「本人が書いた続編」なのだよ! 実は!
TVアニメ版の直の続編! それがたった900円×3冊で読めるんだぜ!! 安い!

石川賢の描き下ろしイラストもいい! 何と言っても3巻の最後の後書きには「真ゲッター」ならぬ、『真鋼鉄ジーグ』のラフスケッチが!!
うおー! 読みてー、『真ジーグ』! お願いです石川先生、是非描いてください!

とにかく! マジンガー&ゲッターのダイナミックファンは絶対読むべし!
もし知らずにいたなら今すぐ買いに行け! まだ絶版にはなってないハズだ!
これを読まずにいたら、はっきり言って死んでからも後悔するぞ!

2001年10月1日