柳生十兵衛死す 第弐巻
原作:山田風太郎 作画:石川賢
本当は石川賢作品紹介になるんで「ゲッターサイト」にまとめたいとこなのだが、
なにぶんまだコーナーが出来上がってないのでこっちに書くことにした。

いやぁ、やっぱスゲーよ石川賢!
『ゲッターロボ』の作者だし、ダイナミックプロだし、で
ロボットSF物系の作家だと思われがちだけど、やっぱこの人は「忍者モノ」が描きたいんだなぁとつくづく思わせる。
ダイナミックなアクション、超ド迫力の構図、荒唐無稽な演出、
どれをとっても天下一品!
石川氏の作品はいつも新作が発表される度に「この人の作家暦はこの作品を描くためにあったんじゃなかろうか」と思わせるが、『柳生〜』もまたそう。

敢えて言おう、「石川賢の作品にハズレ無し!」

残虐非道な限りを尽くした敵忍軍の残党に
「わしらはケガしとる」「もう刃向かわぬ」と哀願されても
「きさまらウジ虫は一匹たりとも許せん!」と言い放つ。
そのときに蹂躙された憤怒の農民達が手に手に農具をとり敵残党ににじり寄る。
オレのつたない筆舌には尽くしがたい空気がそこにはあるのだよ!
破天荒なキャラで描かれることの多い柳生十兵衛だがここまで壮絶に描かれたことがはたしてあっただろうか。

そしてこの巻から登場した月の輪の宮。
おいおい、まがりなりにも元帝で姫だぜ。いいのかよこんな十兵衛の上を行くおきゃんなキャラクターにして。とても石川賢らしくて最高! このキャラ原作小説でもこんななのかな? 知らないけど。
汚猥衆は絶対石川氏オリジナルだと思うが。

とにかく! こんなオレの文章読んでるヒマがあったら今すぐ本屋に買いに行け!
絶対に損はさせん! 読まなきゃ話が始まらないんだ。まだ弐巻。手頃だぞ。
別に集英社の営業してるわけじゃないんだが。

2001年8月23日