仮面ライダー響鬼

新番組『仮面ライダー響鬼(ひびき)』。

3話まで観た感想から言うと良いです。
ただ一口に良いと言い切るにはココに行きつくまでかなり紆余曲折ありました。
ってーのは自分の中での話ね。

自分の好みの話を言えば、「特撮ヒーロー物は子供向けな作りであるべき」っていう大前提があるんですよ。
ココで言う子供とは小学校低学年以下を指します。
やっぱ子供には「変身ベルト」とか付けて遊び回って欲しいじゃないですか。
自分が小さい頃そうであったように。
ただ、そんなコト言いながら観てるオレは当然すっかり大人なので、あまりにも「子供騙し」な作りをされてしまえば「観る価値はない」と判断してしまうワケで、「子供向けなのにこんなすげーコトやってるよ。」ってのがベストなワケです。
そーゆー意味で最近の戦隊モノは、お子様と一緒になって観るお母様方の目を意識しているせいもあるのか、メチャクチャ出来が良いです。
で、その戦隊モノとの棲み別けを狙ってか、平成になってからの『仮面ライダー』って、比較的対象年齢が高い作り(中学生までくらいかな〜?)になってるんですよ。

戦隊モノはストーリーフォーマット(『水戸黄門』で言えば45分経たないと印籠を出さない。とか。)の縛りが厳しい分(ロボットは出さなきゃならない、5人で合体技出さなきゃならない、変身シーンは入れなきゃならない、とヤルコト目白押しですから。ストーリーなんて入れてる余裕が無いんですよ(笑)。)
短い尺の中にこれでもか!とストーリーを詰め込んでるため、多少の破綻には目をつぶってまで進むストーリーのテンポの良さ(早さ)って言ったら異常なくらいです。
ていうか登場人物みんな早口(笑)。

話がちょっとズレますが、オレ、あまり普通のドラマって観ないんですよ。
何だか話がなかなか進まなかったりてテンポがヌルくて。
昔は『太陽にほえろ』とか色々観てたんですケドね〜
んで、最近ハタと気付きました。
オレ、子供の頃ヒーロー物とかばっか観過ぎてるから、そーゆーメチャメチャ早いテンポで進むドラマじゃないと観れなくなってます!(笑)
なんつーの、時速100km/hで進むコトが普通になってしまうと50km/hでの走行が、もう渋滞の中にいるのと同じようなイライラ感を感じてしまうのと同じようなモン、とでも言うんでしょうか?
普通のドラマ観てると、なかなか進まない話にイライラして来ちゃうんですよ。
それを「テンポが悪い」と思っちゃうんですね。
(言い切ってしまうのもどーかと思いますが(笑)。)
そこで、平成シリーズの『仮面ライダー』ですが、対象年齢が上がってるせいもあって、特撮ヒーロー物というより、どっちかと言うと普通のドラマ風の論法を用いてストーリーが進んで行くため、オレにとっては平成以降の『仮面ライダー』はどの作品もテンポが悪く感じてしょーがないんですよ。
さらにはそうは言っても子供向けの特撮作品だからこそ出来る、インディーズっぽい実験映像や演出等、作り手の「作る遊び」まで入って来た日にはそのテンポの悪さに拍車がかかるワケで、「いいから話を進めろ!」と思って観てるオレにはマイナス要因でしかないんですね。
(だから実験映像がダメ! って言ってるワケではないですよ、念のタメ。あくまで「なかなか進まないストーリーがイヤ」って話なダケです。)

といったコトを前提にしての観点から見た『響鬼』ですが(相変わらず前振りが長いコト長いコト)、第1話を観た時、冒頭からミュージカル風ドラマなシーンから始まるんですよ。
いきなり目が点になりました。
さらには雰囲気シーン連発でお話も何だか良く解らないまま進みそうな気配ぷんぷん。
どーなのよ?コレ。
だた、屋久島ロケにおけるの自然の描き方ダケは無条件にイイ!と思えたりしたのでこの時点での感想は保留にするコトに。
今度の『響鬼』は仮面ライダーの正体が「鬼」らしい。という設定にも、永井豪の『手天童子』で鬼にかぶれたオレ的にはかなり興味をそそられる部分があったりしたので。

そうそう、平成の『仮面ライダー』になって以降、「こんなの『仮面ライダー』じゃない!」と言い続けて来ましたが、今度の『響鬼』、デザインからして目が「昆虫の複眼」ですらありません。
『クウガ』も『アギト』も『555』も『剣』も、一番『仮面ライダー』度が低かったあの『龍騎』ですら複眼だったのに。
もう、何処が『仮面ライダー』?
いいかげん、『仮面ライダー』って言うのヤメれば?
……とは言えこのご時世、『仮面ライダー』の冠使うコトで企画が通ったり、お金が集まったりで、作りたいモノが作れる。というコトならば作り手としてはソレを利用するのもアリか。とも思えるのでココはひとつ、オレが大人になって(笑)『響鬼』を『仮面ライダー』として見るコトをヤメました。
そしたらです。
この『響鬼』、なんと、実は作品的にとても『仮面ライダー』ぽいコトに気付いてしまったのです!

2005年2月18日

そしたらです。
この『響鬼』、なんと、実は作品的にとても『仮面ライダー』ぽいコトに気付きました。

……と、特撮モノのアイキャッチ挟んだBパートの出だしっぽく書き始めてみましたが(笑)、そうなんですよ!
実は『響鬼』ってとっても『仮面ライダー』ぽかったのです。
それは特撮ドラマ版ではなく、なんと石森章太郎原作マンガ版の『仮面ライダー』の方だったのだ!
(ホントは「石ノ森」ですがあえて「石森」と表記させていただきます)

石森章太郎というマンガ家は本当の意味で天才で、特撮ヒーロー物の原作者としてしか知らない人や後期の作品しか目にしてない人には多分わからないかも知れないですが、実はとても前衛的な作家さんなんですよ。
コレを理解してもらうのに一番てっとりばやいのは『ファンタジーワールドジュン』というマンガを読んでもらうコトなんですが。
(ちなみに『ふぁんたじい・わらうどバン』じゃないので念のタメ。……って、コッチは永井豪だっつーの。相変わらず注釈入れてよけい解り辛くさせてます(笑)。)
何が天才かっつーと、その前衛さと大衆に向けての一般性を自分の中に同居させるコトが出来たっつートコなワケなんですが、そのマンガ版『仮面ライダー』も当然実験手法使いまくりなワケなんですね。

そーゆー「作品で色々実験する。」というスピリットがとても『仮面ライダー』ぽい、ていうか石森マインド溢れてます。

上の文で実験手法をほめている割りには、実はそういう手法をドラマに組み込むのに否定的だったりするんですが、それは『アギト』とかであった、実験映像的に普通の食卓シーンを魚眼レンズで撮ってみたりとかって、なんか全編を通してみるとソコだけ浮いてるって感じがして、はっきり言ってストーリーを追う分にはジャマなダケ!
と思えてしまうからなんですが、『響鬼』は逆に全編を通してそーいった雰囲気でまとめているので、作品自体が「凝った映像作りで展開して行く作品」という筋が通っているため許せます。
さらには何だかよくわからないまま進んで行くのにも関わらず、ちゃんとドラマの中、甘味処の姉妹(なのかな?)とヒビキ(響鬼の変身前)のやりとりの中で自然と「ああ、この人達は怪人退治を生活の中でしてるんだ。」と思わせてくれる描き方をされているのでそれも好感。
ストーリーの進み方の押さえるトコを押さえてくれてるのでワケわかんねーコト(突然ミュージカルになっちゃうコトとか(笑))やってくれてても話に付いていけるしね。

もう一つ原作『仮面ライダー』ぽいトコは、響鬼が「大自然の使者」っぽいトコ。
確か原作マンガの仮面ライダーの口上にそんなフレーズがあったと思うんだが(手元に無いタメ未確認。違ってたらゴメンなさい。)、コレ、最高にイイです。
なんつーかコレこそ原点回帰。
(「大自然の使者」のフレーズが勘違いだったとしても、「風」「バッタ」をキーワードに持つ『ライダー』なのでソコんトコは間違い無いワケだし。)
特に「大自然に対しての畏敬」が感じられる作られ方が良い。
屋久島ロケが終了し、東京に舞台を移した第3話からはそこら辺どーなるんだろう? とちょっと不安に思ってたが、奥多摩を舞台にするコトで難なくクリアしてるし。
やっぱ、自然には畏敬の念を持たなきゃダメですよ。
このニュアンスを保持したままでの都会を舞台にしたエピソードとかを期待してしまいます。

とまぁ、作品手法的にはそれほど好みではないながらも、ほめられたり興味を持てる部分が多々ある『響鬼』です。
なので、ココに来てようやく「良い」と言い切るコトが出来ました。
結構好きかも。

2005年2月18日

以下だらだら感想。

やっぱ一番イイのはココんトコの美形新人俳優の起用連発でみせつけられてた「序盤の不慣れなつたない演技」が無いトコですね(笑)。
ソレに関しては安心して観れますよ。子役は別だケド。
あとは、計らずしも『新ゲッター』で不満を感じてた「鬼っぽさ」をなんと『響鬼』で消化してくれそうなコト。
いやスタッフも当然違うし、製作も違うわ片やアニメで片や特撮だわ、原作者だって違うんですが、単純にオレのタイミング的に鬼ネタが続いてるのでってコトなダケなんですが。
でもこの2作品、「鬼」の立ち位置がなんか似てるような気がするんですよね〜。
『新ゲッター』で中途半端だった和風な音響の作り込みとか、絶対『響鬼』の方がイイし、「鬼」に対しての雰囲気の出し方もやっぱ『響鬼』の方がイイ。
そういう点は凄く期待してます。

ただ唯一の不満点は、響鬼変身後、特にタイコ叩いて敵を封印する時の掛け声の声質が高くて軽過ぎ。
少なくても和太鼓をバチで叩く様のように、その時の声ダケは重厚にして欲しいです。
声にエフェクトかけてもイイですから〜。何とかひとつ。

あー、そうそう、この文書くにあたりちょっと検索かけてみたんですが(テレビで観る以外情報まったく入れて無いモンで)、どうやらヒビキの居場所となる甘味処の名前が「タチバナ」だったり、響鬼が所属する対化け物組織の名称が猛士(読み不明。“たけし”かなぁ〜?)だったりするのね。
見え見え過ぎて、ちょっと恥ずかしいです(笑)。

2005年2月18日