『ミカドロイド』
原口智生 監督/1991年作品
え〜、『ミカドロイド』ようやく観ました。
買ったのいつだよ?(ほぼ1年前)

本編の感想は、「まあ普通。」
思ってたほど悪過ぎ! ってワケでも無く、かと言って絶賛するほどのモノでもないです。
シナリオ的なスケール感の無さは予算や諸々のコトを考えると(日本の「特撮」映画……ビデオ映画だけど……だとか)致し方ないところだが、そういう括りの中にあっては全体的に結構がんばっている方だと思う。
元々『ミカドゾンビ』というホラー企画だったというコトもあり、舞台を地下駐車場から始まる「地下」という箱庭に設定したコトで、そのスケール感の無さがいい具合に閉じ込められてる、というかあまり感じさせない作りになっているのでむしろそっちを褒めるべきか。
低予算なくせに色々がんばってます。
演出面では笑っちゃうようなあざとい部分もあったり(冒頭の止めカット……ていうかスチールだなありゃ……の連続のクドさとか、振り子の止まった柱時計のカット挿入とか)ちょっと間抜けな部分もあったり(地下豪を出口探してさまよっているのに突風に遮られて進む方向を変えるとか。風が吹く方に進むのが筋だろ、確率から言って。)とかしますが、一番納得のいかなかったのが逃げ回ってる女のセリフ。
第二次大戦の旧日本軍の人造人間で歳を取らないなんて話、簡単に信じるなよ。
「それで、何であたしたちがこんな目に〜」のセリフは、
「あなた、頭がおかしいんじゃないの?」の方が正解でしょ。
その方が、すぐ次のシーンの人造人間瞬時に白骨化で、その事実を否応無く見せつけられる。に繋がりやすいと思うんだケドな。
ただ、最後の最後の(逃げ回ってた2人のアップから街並み引いてく)シーンはちょっと良かったです。
タバコがイイね〜。

さて、林海象や手塚真、破李拳竜などそーそーたるメンバー(笑)が出演してた本編ですが(オレはドコに出てた解りませんでしたが。DVD版は副音声で全編解説してるようなので気が向いたらまた観るか。)実はそれよりとっても良かったのが映像特典。
はっきり言ってメイキングとか本編ぐらいの時間やって欲しかったです。
原口監督と樋口特技監督の対談における、
「今だとCGで簡単にやっちゃうようなことも、全て実際に作っているわけだから或る意味凄く贅沢だよね。当時はそれが当たり前だったんだけど。」の言葉が印象的。
そして何より通称イラコバさんのミカドロイド設定イラストがイイ!
これ凄いです。
オレ、イラコバさんの名前すら知らなかったんですが、その筋では有名な方らしいです。
もうお亡くなりになってるそうでとても残念。

そんな感じでぼちぼちまとめ。
樋口真嗣氏が特技監督として始めて名前が出た作品でもあり、『ミカドロイド』がなかったらあの平成『ガメラ』三部作も無かったのではないかと言っても過言ではないこの作品。(ホントかよ? いやほら同じ東宝だし(笑)。)
そしたら当然平成『ガメラ』に影響受けまくりの今日の特撮作品群も無かったワケで『仮面ライダー555』なんかを楽しみに観てるあなたなんかにはオススメかもよ?
……ホントかな〜?
特撮史みたいなモノを追っかけてる人なら観といてもいいかも。
それにしても日本の特撮って、「特撮作品」と「映画」に何でこんなに開きがあるんでしょう?
「特撮」も、もっとちゃんとした「映画」をしてくれればいいのに。
そーゆー作品あるんですかね〜?
とか偉そうなコト言ってますが、映画自体ほとんど観ないんですケドね。オレ。

2003年12月12日