ガンバの冒険
掲示板に話が出たので『ガンバの冒険』の話。
あ、資料とか無いんで結構いいかげんかも。

●『ガンバの冒険』

『あしたのジョー2』や『エースをねらえ2』(「2」ばっかだな)、最近では『ブラック・ジャック』でおなじみの出崎統監督による名作中の名作。
主人公「ガンバ」というネズミが「チュー太」という子ネズミに出会うことにより「ボーボ」「ヨイショ」ら7匹の仲間と共に「ノロイ」という巨大イタチ倒す冒険に出る。というのがあらすじ。

まず何が印象的だったかというと「ガンバ」達はネズミなわけ、
だから人間ってのは「ガンバ」達にとっては化け物でしかないわけよ。でもお話的には「ノロイ」を倒しに行く話なのだから人間達は単なる障害物でしかないわけね。で、どうしたかというと人間の顔を描かない。(のっぺらぼうではないよ)
影のタッチを粗く入れたり、手や足のアップを多用し(もちろんネズミ視点)人間の顔はフレームアウトさせる。
これがね、当時子供だったオレにはめちゃめちゃ怖かったのよ。
普通の人間達なのに怖い。これは衝撃だった。

本来『ガンバの冒険』はアドベンチャーロマンな話なので「ドキドキワクワク」するもんなんだけど、そんなわけで「何か怖い」印象がある。
そしてその「何か怖い」に輪をかけたのがエンディング。
『冒険者たちのバラード』は、はっきり言ってそりゃもう名曲中の名曲なんだけどあまりにも曲調が寂し過ぎて、さらにあの杉野節の効きまくった「止め絵」で展開される画面も相まって、なんていうか「夕暮れの切なさ」がオーバードライブ! 
太陽が沈んでからまだ空が真っ暗になりきらない時間を「逢魔が刻」というけどまさにそんな寂しさや怖さがあった。実際放映時間も夕方だったし。(もしかしたら再放送の記憶か?)一日の終わりのはかなさと重なるものがあって寂しさや切なさが怖さに拍車をかけていた気がする。

こんな風に書いてばかりいると
何か『ガンバの冒険』がホラー物のような感じがしてしまうが、
すまん、そんな事は無いのだ。

『ガンバの冒険』といえば「シッポを立てろ!」
この言葉に尽きる!
自分や仲間を奮い立たせるために使うこの言葉!
もう最高! 言葉の響きも心地良いし、絵面としてもわかりやすい。
シッポが「ビン!」と立った絵を見せられれば元気が出ないわけないでしょ。
そして、どんなにそのシーンに憧れたって出来ないのだよ、オレには。
人間だから。シッポないから。

キャラクターも良い!
原作では『ガンバと15匹の仲間たち』だったのを7匹に整理することで各キャラの役割分担を明確にしてあり、力自慢のリーダー「ヨイショ」、頭脳明晰の「ガクシャ」、ニヒルな風来坊の「イカサマ」、詩詠み人の「シジン」、食いしん坊の「ボーボ」、助けを求めに来た「チュー太」、など個性豊かなキャラが目白押し。
パッと見は「ジャイアン」みたいな「ヨイショ」だが、
決定的に違うのは仲間を信頼出来る度量の広さ。
「イカサマ」をみればサイコロが欲しくなったし……そう、
サイコロが武器になるなんて知らなかった! 
どんなに斜に構えていても最後は仲間のために命を賭ける事こそクール!
小さくて力の無い頭脳だけの「ガクシャ」は、偉そうにしててもシッポが丸くちょこんと付いているだけなので「シッポを立てる」事が出来ないのがコンプレックスなのだが、それでも懸命にシッポを立てようとするのだよ。
だって、ネズミだから!!
シッポこそネズミのプライド!

ほんと、今の子供達にこそ観てもらいたい!
そこには夢や冒険やロマンが溢れていて、
信頼と友情、何よりも絆の大切さが描かれているのだ!
もう『ガンバの冒険』さえみんなが観ればいじめも一気に解決だぜ!

観たことの無い奴は今からでも観ろ! 大人も子供も関係無くだ! DVD-BOXも出る(出た?)ハズだ! 観とかないと後悔するぜ!
そして観終わったあとはギュッと拳を握り締め、「心のシッポ」を立てるのだ!!

2001年9月22日