理想論
エディトリアル系グラフィックデザイナーとして働いていてというか、
昔からひとつの理想がある。
一冊丸々自分の手で本を作ってみたいという欲求だ。
もちろん、仕事で言えばアートディレクターってことになるんだが、そう言う意味ではなくてそりゃもう企画から編集、文章からデザインまで全部。
んなこと言ってんなら同人誌だ個人誌だとかを作れば? ってところなんだろうけど、とりわけ「こんな企画の本を作りたい」という具体的なものがあるわけではないので別にそういった物を作った事はない。

いやね、仕事しててやはり思い通り行かないことがあるわけだ。
あれ直せこれ直せとか。「直すのも仕事の内」って事もあるので度を越したものでなければまあ許容範囲なんだけど、そうではなくてこちらの仕事範中以外の所、
つまりそのページの内容だったり、文章だったり、イラストだったり、写真だったりするものが自分がイメージできるものより遥かに劣っているのにもかかわらず、そのせいで一度仕上げた仕事を直さなければならないということが、ままある。

そんなとき「あー! オレが全部やった方が絶対カッコ良くなんのにー!!」
とブチ切れるわけだ。

でも、今回初めてこのホームページ作ってわかりました。
いやー、本一冊作るのって大変だわ。
企画なんて考えたって出てこないし、文章だって書き出してみないと具体的な事はわからない。

オレの仕事はだいたい先割り(デザイナー側で文章の文字数を指示するやり方。文章原稿が先にあるのが後割り)なんだけど、だからといって50字くらいしか書くことがない記事に対して500字も文字スペース作るわけにはいかないじゃない。
だからよく「いったい何字書けるんですか?」と聞くのだが
「成り行きで。」とか「書いてみなければわからない。」とかとてもぬるい返事しか返ってこない事が多い。
そうするとオレの血管がプチプチと音を立てて切れるわけだ。
「てめぇらも編集のプロなんだろ! 文章量の把握ぐらいしとけよ!」
(口に出しては言わないけどね、仕事なくなっちゃうから)

いやぁ文章なんて書いてみないとほんとにわかんねーよ。
今書いてるこの文だってこんなに長くなるとは思ってなかったもん。
ライターの人はちゃんと指定字数に合わせて書いてくるんだぜ。
(そうでないときもあるけど)
みんな偉いよなー。ゲームなんて発売日がずるずるずれるけど雑誌でそんなことやったら、すぐ休刊だぜ。
決まりごと(〆切とかね)を守ることがどれだけ大変なことか。
破ることのいかに簡単で無責任なことか。
みんな自分の行動に責任を持ちましょう。安易に犯罪なんかに走らないように。

あれ? 何か論旨が変わっているような気が…

とにかく、
一人で全部やろうととしてもそれは理想論でしかなく現実はかくも厳しいと。
ただ逆に言えばその厳しさを超える努力を貫き通せば理想論も現実になる、と。

このホームページ作るのメチャクチャ努力してんだから。オレだって。
容量が重いと「見に行くきがしねぇ」って怒られるし。

2001年8月17日