台北(後半)


 台湾3日目。午前中、忠烈祠(ヂョンリエツー)という神社に連れていって貰った。ここは、1969年建造で、国民革命や対日抗戦、中共との戦いで命を落とした軍人や志士の英霊が祀られている。赤や黄色の色使いが美しい。1時間ごとに行われる衛兵交代式も一見の価値あり。
 身長180cmはゆうにある真っ黒に日焼けした精悍な若者達が、軍隊らしい一糸乱れぬ動きで交代の儀式を行う。兵役のある台湾。林さんも若い頃は戦車乗りだった経験がある。つくづく日本は平和だ。


 左の写真は、孔子を祀る孔子廟(コンズーミャオ)。学問の神様がいる神社であり、福岡で言うところの太宰府天満宮にあたる。もちろんこの僕も御利益に預かるべく、両手を合わせた。
 右の2つは、三国志の英雄・関羽を奉っている行天宮(ホンティエンゴン)。関羽もまた、学問と武術の両方に優れた人物であった。ドイツ生活時代にパソコンゲーム「三國志VII」に明け暮れた我々としては、どうしても足を運ばねばなるまい。


 黄色が映える国父記念館。"建国の父"と呼ばれる孫文の生誕100年を記念して1972年に建造された。この辺りの道路がまた広い上に緑の木々で美しく彩られ、国父記念館から総統府まで続くこの道は、林さん曰く、台北市内で運転していて最も気持ちの良い道路らしい。確かに。


 ところで、台湾の人々の間で、自分の写真集を作るのが流行っているのをご存じだろうか? 噂には聞いていたが、いやはやこれが実にスゴイのだ。右の写真は、道路の中央分離帯にある木々の中で結婚記念の撮影をしている若い二人。結婚記念や成人式の時だけでなく、何かのことあるごとに豪華に着飾って、芸能人顔負けのポートレイトを作る風習がある。もはや文化と言って良いだろう。
 たとえば張さん。普段は右の写真のような普通の可愛らしい女性だが、数ヶ月前に撮ったポートレイトの中では、こうだ。衣装やメイクは写真屋さんが全部用意してくれる。どうだろう? あなたもこんな自分を一度演出してみたくはないか? よしこは、次に台湾を訪れたら間違いなく撮ると決心したようだ。


 さて昼食。台北市内で最も高いビルである新光摩天楼展望台内にあるファストフードコーナーにて、一般台北市民にポピュラーな食事というものを林さんに教えて貰った。「台湾風春巻き」や「ビーフン」、「チャーハン」など。安くて美味しい庶民の味だ。


 林さんは昼食後、いったん職場に戻られたので、我々二人で台北駅(左上)周辺を探検。地元の若者達やおじさんおばさん、それに観光客が入り乱れて、すごい賑わいようだ。街中でよく見かけるのがコンビニ&ファーストフードの店。台湾はコンビニ天国で、とにかく大流行している。ちゃんと漢字表記されているのが面白い。水や簡単な食料などはコンビニで日本と同じような感覚で買えるので、とても日本国外とは思えない、文字通りコンビニエントさだ。
 帰りはバスでホテルまで。このバスがまたクセ者で、バス停に立っていてもボヤーッとしていると運転手さんは停まってくれないし、バス停に一般車が駐車しているのなんて当たり前なので、車と車の間から身を乗り出して「俺は乗るんだ」とアピールしなければならないことも、まれではない。


 左の写真は、今回林さんが予約してくれたホテル。林さんの職場である師範大学のゲストハウスだから、格安なのだ。広いソファ付きのツインルームが5500円程度。ケーブルTVだってバッチリ入っている。台湾では日本のドラマやバラエティ番組、女子プロレスなどが流行しており、このホテルでも見ることが出来た。
 最後の晩餐は、ホテル地下のレストランにて。最後の最後まで食べ放題。それに加えて飲み放題。僕は平気だったが、よしこはかなりこたえていたようだった。
   レストランを出ると、ぬお!? アルコール摂取量測定器! これで基準値を超えていなければ、みな車で帰るというわけだ。


 台湾最終日。空港に向かう途中で、林さんの研究室へ案内して貰った。林さんは師範大学(台湾大学に続く台湾第2の大学)の助手をされているが、アメリカ形式で、助手でも自分の研究室を持つボスなのだ。6人の大学院生と数人の学部生をかかえてテーマを考えたり大変だろうが、羨ましくもある。将来、共同研究するかも知れませんね、林さん!
 そして台北空港。林さんには、旅の最初から最後まで本当にお世話になった。そして、フライト1時間前というギリギリの時間まで将棋。今回の台湾遠征は、僕の14勝7敗という結果で接待して貰った形になった。

 さよなら林さん。ありがとうございました。また会う日まで、お元気で!



△▲▽▼◇◆□■ 台湾の旅・総括 ■□◆◇▼▽▲△

 日本にとってはお隣さんである台湾。その首都である台北は、驚くほど反日感情のない、平和で旅のしやすい都市であった。これからもっともっと台湾は日本人の旅先として人気の出る国となるような気がする。沖縄のすぐ先なのに、全くチャイニーズな文化。実に興味深い。本場の中華料理も味覚を楽しませてくれる。次に行くのは、林さんの結婚式の時だろうか? ともかく林さんがいる限り、また台湾に行く機会はあるだろう。次は台湾の田舎も回ってみるとするか。


台北(前半)
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