闘 牛

 国内に350カ所の闘牛場があり、年間15000回以上の闘牛が開催され、6000万人以上の観客を動員する。近年、動物愛護教会などからいろいろ言われているが、闘牛がスペインの文化の1つであることは間違いない。

 ひろちゃん&よしこ、是非とも闘牛が見たい! とインターネットで闘牛情報を調べ、日程と場所の関係で、マドリッド・ラス・ベンタス闘牛場に見に行くことになった。
 入場券は前日、当日に闘牛場の切符売り場で買うことができるけど、もちろん、人気の試合の時は、売り切れちゃうわけです。「せっかく楽しみにして行くのに、切符が手に入らなかったらイヤだ〜〜!」と、前もってツアーを予約しました。

 さ、いよいよ闘牛場。座席は石なので、入口で座布団を借りて(有料)座席へと。座席はソンブラ(日陰)。スペインの日差しは強いから、値段は高いけど、日陰席で見るのが我々には正解のよう。闘牛が始まるまで、ガイドさんが闘牛の見方についていろいろと説明してくれた。ツアーはこれがあるからいいよね。

 光(SOL)と影(SOMBRA)に分かれた砂場。昔はこの時間・5時は「死」を意味したらしい。

 トランペットの合図で楽隊の演奏が始まり、闘牛士たちが入場してくる。闘牛士達の"光の衣装"がきらびやか。
 闘牛(TORO)と数人の助手(SUBALTERNOS)が登場。助手が闘牛の特徴を引き出し、良い牛か駄目な牛かを判断する。もし、主催者や観客からのクレームで駄目な牛と判断された場合、その牛はすぐに退場し、殺されてしまう。砂場にたくさんの雌牛が放たれ、闘牛は雌牛につられて退場していく。
馬に乗った槍方(PICADOR)が登場して、闘牛の肩の筋肉を槍で突く。これは、牛を疲労させるのと、闘牛士が仕留めやすいように牛の頭を下げるために行う。

馬に突撃する闘牛がスゴイ迫力。だけど、槍を刺さるといっぱい血が流れて、痛々しい。
 助手3名が、飾りの着いた短い槍を2本ずつもって登場。槍を闘牛の背に刺して動きの鈍った牛を奮いたたせる。
いよいよ、闘牛士(TORERO)が赤いムレタをもって登場。観客と主催者に挨拶する。
突進してくる闘牛に対して、華麗なムレタ技を繰りかえす。闘牛が突進してきたときに、闘牛士の足が動くが動かないかが、重要。
ちょっ、ちょっとぉ〜! この闘牛士、闘牛とにらめっこしてるよ〜! すっ、すごい。
ムレタの演技が終わると、闘牛に美しい死を与える厳粛な時間「真実の瞬間」がやってくる。剣で45度の角度で大動脈・大静脈を狙う。
突っ込んでくる闘牛に見事剣を突き刺した闘牛士は両手を広げ、闘牛の目の前に立ちはだかる。闘牛はびくりともしない。

場内はシーーーーーーン。
次の瞬間、ドタッと闘牛が倒れた。

本当に、一差し。何が起こったのがわからないくらい、ショックだった。
実はこの1回目に登場した闘牛士は、鮮やかに成功した例。後から登場した闘牛士達は一差しで仕留めきれずに何度も刺し直し。美しくない"真実の瞬間"だった。
観客は起立し、拍手で闘牛をたたえ、見送る。演技が優れていた闘牛士は主催者から褒美(闘牛から切り取った耳やしっぽ)が与えられる。町中で「今日は、耳が与えられたよ!」と話題になるほど、そこまでの優れた演技に出会えるのは稀なことらしい。




 初めて牛が倒れるのを見たとき、ショックでショックで、涙がボロボロこぼれた。牛がかわいそうとか、そういう感情ではなくて、何とも言えないショックが胸にズドーンと残った。演技は3人の闘牛士が2回ずつ、のべ6回行われる。
 写真右は、闘牛終了後のマドリッド・ラス・ベンタス闘牛場


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