ハンブルク  〜 Hamburg 〜


 1年で最も寒い2月のとある土曜日の朝、ハノーファーからIR(InterRegio:地域急行)に乗って再びハンブルクの地に舞い戻ってきた御老巧とお供の若夫婦。この大都会が彼等に今回見せた姿とは・・・・


 ハンブルク駅から外に出てまず思ったこと。
「やっぱ寒い!」
 町中にある電光温度計を見ると摂氏1度。内陸のハノーファーよりも3〜4度は低い気温だ。その代わりに空は青々と澄み渡っている。放射冷却ってやつだな。でも寒いことにかわりはない。こんなとき、大事な用件はサッサと済ませておくに限る。大事な用件・・・・って、何だったっけ? あ、そうそう。新しく出来てるはずのパスポートを取りに行くんだった・・・(冷汗) というわけで我々3人はまず市庁舎にやって来た。見よ、この青空! 1月に来たときはどんより曇り空がバックだったというのに、この違いと来たら! 立派な市庁舎の迫力がさらに倍増。もうこれを見ただけで気分がウキウキしてきた3人。


 上の写真にある市庁舎の向かい側というメチャヨーロッパ的なムードに満ちたロケーションにありながら、ビルの入り口に堂々と"日本国総領事館"と気合いの入った漢字の表札。かっちょいい。ここで無事にネオ・パスポートを受け取ることが出来た。今回はちゃんと10年有効のものに。ただ、表紙カバーが黒から赤になってちょっとガッカリ。
 ところで、領事館には日本人向けの雑誌なんかも置いてあったりして、
「うおっ! 最近出たばっかのジャンプやっ!」
などと一瞬心がときめいたが、他の2人の手前、そんなうろたえた姿を見せるわけにもいかず、
「へえ〜、ドイツでもこんな漫画雑誌の需要があるのだね。」
などと虚偽の発言をちらつかせつつ、後ろ髪を引かれる思いで再び市内観光へ。
 右の写真は、まだ雪の残る運河の岸辺にて氷上歩行を試みるという危険行動に出る河野博士。このときまだ、河野博士はおニュー(死語)のパスポートを手に入れてナチュラルハイ状態。宗倉助教授からは「国外追放や!」という大阪人特有のイントネーションをおりまぜたヤジが。


 そうこうする間に早くもランチタイム。我々は先月に板さんと交わした再会の約束を果たすべく、例の回転寿司レストラン「スシ・サークル」へ。でもあの難波の板前さんは不在。全然違うさらに年輩の方が握っていた。ちとガックリ。ともかくお目当てのいなり寿司(笑)をたらふく口に放り込む3人。しかし、いなり寿司なんていう皿は、そうそう回ってくるもんじゃない。普通の客はちゃんとシャリの上に生魚が乗っているのを好んで食べるものだし。3人でいなりばっかりバクバク食ってたら、すぐにベルトコンベアーの上からいなりは消滅。いくら待っても再び姿を現す気配はない。そこで宗倉助教授、板場のおねえちゃんにイキのいいセリフを飛ばす。
「おねえさん、いなり、もっともらえる?」
"変わった日本人だ。" おねえちゃんの目は明らかにそう語っていた。


 寿司をたらふく食って三度街中へ出た我々は、街の中心へ向かうべく、巨大人造湖"アルスター湖"方面へと歩き出した。昼間になって少しはあったかくなるかと思ったが、まだまだ気温は低い。もっとも見事な晴れ模様なので体感温度は結構高かったが。でも、写真の光景を見て驚いた。だって、あの大きなアルスターの水面が凍ってんだもん。間違いなく気温は低いようだ。


 ハンブルク駅。メチャかっこいい。ひょっとすると、この大都会のくせにどこか古い味を出しているハンブルクの雰囲気は、この駅に象徴されているのかも知れない。我々が今回キープしたホテルはこの向こう側で、駅出入り口から歩いて1分。ビックリするくらい駅に近いわりに1ダブルルームで100マルク(7千円)とお得。しかも室内がキレイ。超お勧めホテルだった。ただ名前が"Eden"なんていうラブホテルみたいだったのが玉にキズ(関係ないか)。
 なお、道中で日本食料品店を発見。小さな店構えだったが、それでもハノーファーのに比べると品数が格段に豊富。期せずして食料品を買いだめすることに。両手にビニール袋をぶらさげながらホテルへチェックイン。


ホテルに荷物を置いた後、駅に戻って列車に乗り、一路リューベックへ。


 再びハンブルクへと舞い戻ってきた我々は、地下鉄に乗ってミュージカルシアターへ。


  

 リューベックから帰ってきて、いよいよ本日のメインイベント、ミュージカル「CATS」。ミュージカルシアターはレーパーバーンの奥の方にある。で、初めてのミュージカル鑑賞。その印象は?
「はっきり言って、一生の思い出!!」

ライブCD(ドイツ語バージョン)も買ったけど、間違いなく永久保存版。今後の人生に影響が出そうなほどの感動をくれた"猫"達に乾杯。ちなみによしこは上演中号泣につぐ号泣、宗倉助教授は感動の海を息継ぎ無しクロールで全速前進状態だった。両者に挟まれて、あたくしも思わず涙が出そうに・・・・ やむことを知らない感動の嵐に、この後の中華料理屋での晩飯もあまり喉に通らない一行であった。
 ちなみに今でも3人顔を合わすと「ああ、キャッツはよかった・・・・(ため息)」となる。このミュージカルがロングランとなっている理由がよ〜くわかった。

 こうしてハンブルクでの初めての夜は更けていった。ホテルに帰り着くとすでに日付は変わっていた。感動の渦の中、それぞれの思いを胸に眠りにつく我々3人であった。


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