10月3日(土)


"いつもの"朝の風景

 中央駅まで歩いて15分。これは経験的に正確にわかっている。手ぶらで普通に歩いて15分なのだ。6月にフランスへ出かけたときは、空港バスの発車時刻15分前に家を出て、あわてて走った。荷物はリュック1つっきり。まだ、よかった。7月にガーミッシュへ行ったときは、同じく15分前の出発だったが、7泊分の荷物を詰め込んだメチャ重い旅行カバンをかついで走った。死ぬ思いをした。そして今回、荷物は1泊分で、そんなに大げさじゃない。ただ、家を出たのが、発車8分前! この時ばかりは、超楽観主義者の僕も乗りそびれを覚悟した。走るのが大好きな僕一人なら、まだなんとかなる。ただ、走るの絶対拒否のよしこが一緒なのだ。無茶だった。無謀だった。でも、僕と共に、彼女は走った。無言で走った。ひたすら走った。必死に励ましながら伴走する僕の横で、顔を歪めて走る妻。休日の朝8時だというのに何故このような苦痛に満ちたシチュエーション・・・ しかして発車2分前、ひろちゃん&よしこは、なんとか無事に駅のホームにたどり着くのであった。所要時間6分。おそらく今後、この記録は破られまい。っちゅうか、破りたくないっちゅうに。あんなきつい思いは二度とゴメンです。奥さん、今度から、ちゃんと早く出ようや。あ、俺が遅れたんだっけ・・・・


快適ICE

 今回はガーミッシュに行ったときと同じく、ドイツ新幹線ICEに乗った。切符を買った後に新聞で知ったのだが、実は、9月の上旬まで、旧東ドイツ地域には従来型の線路しか敷設されていなかったため、250km/hで突っ走ることの出来るICEもスピードを落として走行するしかなかった。それが、今年9月の冬ダイヤ突入に合わせて、ついに東地域では初となる高速新線が開通したばっかりだったのだ。それまでは、ご近所の鉄道通・吉野博士によると、ハノーファー−ベルリン間は約3時間かかっていたという。それが今回、時刻表通りピッタシの1時間47分でベルリンにたどり着けた。ICEの客車内は実に快適そのもの。そのせいか、駅までの全力疾走がヒビいてエネルギー・ゼロ状態になっていたよしこは、ベルリンに着くまで再びおやすみタイムに突入し、スヤスヤと体力回復につとめていた。


ベルリンに到着

 ベルリンには主要な駅が3つあり、その中で最も大きいのが、このZoologischer Garten(ツォーロギッシャーガーテン)、略してツォー駅。旧西ドイツ方面からの玄関口となっている。ベルリンは東と西に分断されていたので、街の中心地も2カ所、東部と西部に存在するが、ここは、その西側の中心部。このツォー駅が今回の観光の基点となった。ここで、いつもの如く無愛想なインフォマツィオ〜ンの係員から、なんとか観光案内所の場所を聞き出し、バス・市内電車・地下鉄が72時間乗り放題になるチケット「ウェルカムカード(DM29)」を買った。博物館の幾つかも、これで割引になる。ちなみに、ガイドブックに載っていた24時間のカードは、すでに廃止されたとのこと。駅から外に出てみると、ハノーファーより断然寒かった。雨の中に、いつしか雪が混じりだして・・・ ほんの10分程度だったけど、僕たちにとっては今年の初雪だった。


昼食はイタリアン

 ツォー駅から西へ歩くこと10分、予約していたホテルに一旦チェックインして、ランチに出かけた。入った店はRistorante Roccoco(ロッココ)。スパゲティがバリうま。店の雰囲気も店員さんの性格もアットホームでスゴク気に入ったが、驚いたことが一つ。勘定はいつものようにテーブルで払うのだが、ボーイはレシートだけ持ってきて、いつまでも金を取りに来ない。さすがに席を立てば取りに来るだろうと思っていたが、「チャオ〜!」なんてカンジで、ついに笑顔で店を送り出されてしまった。おいおい、俺達がちゃんと払ってるか心配じゃないのか? これじゃ簡単に無銭飲食出来ちゃうよ。もっとも、そんな危険な客じゃないってことは、プロだからすぐに見抜いてるんだろうけどね。


市内観光に出発

 腹もたまって、いよいよ、第1日目の観光に出発。今日の行き先は、ベルリンの壁美術館とブランデンブルグ門。ツォー駅発の129番バス(右の写真)に乗って、壁美術館へと向かった。まずは"壁"とご対面といきたい。(ちなみに左の写真は、ホテルから駅まで来るのに利用したエクスプレスバスのX34。)ベルリン市内を走るバスは、そのほとんどが2階建て。ひろちゃん&よしこは、初めてのダブルデッカーに大興奮。129番バスは、あまりメジャーな路線じゃないので、中はガラガラ。いの一番に階段を駆け登り、最前列へ。見晴らし最高の状態でベルリン市内を見下ろしながら、東地域へと向かった。


ベルリンの壁美術館

 ベルリンの壁美術館(Haus am Checkpoint Charlie)は、普通の雑居ビルのような建物に入居していて、入り口も狭く、第一印象は「あれ? ここか?」だった。ただ、写真(左)のようにドアの横に"壁の残骸"が保存してあったので、一応ソレとわかった。入り口でウェルカムカードを見せると入場料が25%割引になって、二人でDM12。館内には、壁の存在に苦しんでいた人々の様々な資料が、英語・ドイツ語・フランス語で説明されていた。地下トンネルを掘って亡命を試みている写真などを見ると、如何に当時の東西分裂状態が異常なものだったかを感じさせられた。車のトランクに隠れて国境突破を謀るなんてのは聞いていたが、テレビやオルガンの中にまで入り込んでいたとは・・・・ この美術館には、壁全体がそのままの場所にそのままの形で保管してあると思っていたのに、結局、入り口と出口に展示されているだけだった。しかし、壁崩壊から既に9年。やっぱり"生の壁"は残ってないんだろうなぁ・・・・ しかたない。「これでヨシとするか」の僕であった。


ポツダマープラッツ

 一応壁にタッチ出来た僕の次の目的地は、ブランデンブルク門。バスで壁美術館に来る途中に、たくさんの人で賑わっているのが気になったポツダマープラッツ(Potzdamerplatz)を経由して行くことにした。地下鉄の駅から地上に出てみると、人、人、人・・・・ ものすごい人の波でごった返していた(左の写真)。しかも周囲は大工事中。教授にも聞いていたが、ベルリンは今、どこもかしこも大規模な工事中なのだ。本格的に首都として機能するためには、まだまだいろんな物を作り直す必要があるとのこと。あと、旧東ドイツにあふれている失業者に対する雇用対策も兼ねているらしい。そしてSONY CENTER(中央の写真)。ドイツでも名を馳せている日本のソニーが、将来ベルリンの若者文化の中心になるであろうこのポツダマープラッツに、超近代的ビルを建てている真っ最中だった。
 さて、ブランデンブルク門へはどっちへ行けばいいんだろう? とりあえず、人の波に乗っていくと、なんだかすごく大きなビルの群が(右の写真)。この巨大ビル群は、実はこのつい数日前にオープンしたばかりで、オープニングイベントが大々的に行われていたのだった。有名なミュージシャンのショーもあっていたようで、観衆がさかんに騒いでいた。この街が首都としてふさわしい都市に急速に生まれ変わろうとしているのが、ビンビン伝わってくるシーンだった。


そして、いよいよブランデンブルク門

 ジャジャ〜ン! そしてついに、やってきました、ブランデンブルク門(Brandenburger Tor)! こ、これか! 左の写真で左から2つめの通路に、実は僕が立っている。ちゃんと柱にもペタペタ触れてきた。6月に触ったパリの凱旋門とはまた違った迫力がある。僕が立っているこの場所を、9年前、人々はどんな気持ちで通っていったんだろう・・・ この日は統一記念日なのでイベントが催されていたため、完全に歩行者天国と化していたが、普段は市内バスがこの下を通っている。一般車両はダメ。イベントとしては、ブラスバンドの行進の後、ロックバンドのステージやビール&ヴルストの出店で賑わっていた。右の写真は、Deutsche Post(ドイツ郵便)主催のロックステージ。おじさん達が、頑張っちゃっていた。


きらびやかな首都の一面

 壁にも門にも触ることができ、満足ホクホクでホテルにご帰還。しっかしこの日は寒かった。なんたって初雪まで見せられたんだから。でも、どんなに寒くても、せっかくはるばるやって来たんだから、ベルリン料理を食べよう! とうことで、またもや外へ。町の中心部へ歩いていくと、暗い中に一際目立つきらびやかな建物が・・・・ ここはTheater des Westens(西地区シアター)。今夜は、テレビ界のスター&大物が一堂ここに会し、日本で言うところの番組大賞をやっていたのだ。どうりで、昼間、ここの入り口に一般人が集まってキャーキャー言ってたのも納得。ライトアップされたビルの外観もさることながら、「ああ、ここは首都なんだなぁ」と実感した一瞬だった。東京あたりで芸能人をチラチラ見かけるっていうのとオンナジだ。


夕食はベルリンの名物料理

 今夜のメインディッシュは、ベルリン名物というアイスバイン(Eisbein)。いわゆる豚の足。どんなのが出てくるかと思いきや、ほんとに写真のようなでっかい肉のかたまりが出てきた。腹が減っていたので、よしこも別にニュルンベルクヴルストを頼んでいたのだが、アイスバインの一皿で二人分は余裕でOKだった。味の方は、ドイツ特有の塩味ピリリというカンジ。ドイツではヴルストもハムも、とても塩味がきいていて、醤油が欲しい!なんてことには全然ならない。そして当然、ビールとも良く合う。


1日目終了

 さあ、1日目でなんとか2つの目的は達成したが、あまりの寒さに、僕だけちょっと体調を崩し気味。でも予報によると、2日目は気温も若干上がるということだし、いろんな有名スポットをゆっくりまわってみるか!

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