2009.06.1/2009.06.12

2009年 都市対抗野球神奈川予選

第一代表決定戦 第二試合(再試合)

 

 

日産自動車 ― 三菱重工横浜

 

 

日産野球部休部の年である2009年の都市対抗神奈川予選、当時「球史に残る」「魂がぶつかり合った名勝負」と言われた2日間 計26イニングにおよぶ壮絶な闘いがありました。その2日目、第二試合の記録です。

 

 

前日の5時間におよんだ決勝戦は、終始お互いが譲ることなく、延長1600で時刻が23時を超えた為、引き分け再試合に。両チームは第一代表の座と都市対抗出場権をかけ、再び相まみることとなりました。

 

(選手敬称略。データは日産野球部のスコアブックに基づきます。)

写真提供:石川さん

 

 

第二試合 2009612日(金) 横浜スタジアム

試合時間 1758 〜 2126 3時間28

 

 

 

前日の第一試合に登板した両チームの投手陣の状況は以下の通り。

(第一試合に登板した両チームのエース格、それぞれ2名づつは、先発はもちろん敗者復活戦に回った場合も考えると継投での登板は難しいと思われた。)

日産自動車:石田(9 2/3回、128球) 秋葉(6 1/3回、 104球)

三菱重工横浜:門西(8回、122球) 亀川(8回、137球)

※守備/打者 先発メンバーは日産、三菱重工横浜ともにほぼ前日のラインアップ通り。

 

 

 

1回表 日産自動車の攻撃

 

 

 

1番 吉浦(左) 投手:瀧

三飛 1アウト走者なし

2番 四之宮(遊) 投手:瀧

三邪飛 2アウト走者無し

3番 熊代(二) 投手:瀧

右邪飛 3アウトチェンジ

三菱重工の先発は瀧(優)。

日産の初回は三者凡退。

 凡退に終わる四之宮

日産0−0三菱重工

 

 

1回裏 三菱重工横浜の攻撃

 

 

 

1番 坂上(二) 投手:林

遊二 0アウト2

2番 今野(三) 応手:林

一飛 1アウト2

3番 佐々木(遊) 投手:林

三振(空振り) 2アウト2

4番 田城(一) 投手:林

右飛 3アウトチェンジ

日産先発は林。

 日産先発、林

三菱重工は先頭打者の坂上が内野安打ながら二塁を陥れて、いきなり先制のチャンス。が、後続が倒れて無得点。

日産0−0三菱重工

 

 

2回表 日産自動車の攻撃

 

 

 

4番 小山(一) 投手:瀧

四球 0アウト1

5番 沢田(右) 投手:瀧

二ギ 1アウト2

6番 青柳(D) 投手:瀧

四球 1アウト12

7番 船引(三) 投手:瀧

二安 1アウト満塁

8番 須田(捕) 投手:瀧

一ゴ 三塁走者本塁封殺

 2アウト満塁

9番 松井(中) 投手:瀧

中安 2者生還 +2

日産2−0三菱重工

1塁ランナー挟殺

3アウトチェンジ

日産は二つの四球と内野安打で1死満塁と先制機。須田の一塁ゴロで三塁走者小山は本塁封殺。

 小山 本塁封殺

2死となり“今日も本塁は遠いのか“と思われたが、昨日5打数4安打で絶好調の松井がセンター前タイムリーで2点を先制。第一試合から数えて17イニングの間保たれてきた均衡がようやく破れることに(やっと世界の恋人が!)。

 日産先制

但し、一塁走者、須田が得点の間に二三塁間で挟殺となり、それ以上の得点にはつながらず。

日産2−0三菱重工

 

 

2回裏 三菱重工横浜の攻撃

 

 

 

5番 瀧諒(D) 投手:林

右安 0アウト1

6番 後藤(右) 投手:林

一安 0アウト12

7番 高安(捕) 投手:林

投ギ 1アウト23

8番 本間 投手:林

中ギ +1 2アウト2

9番 保谷(左)

三振(空振り) 3アウトチェンジ

日産2−1三菱重工

三菱重工がすかさず反撃。無死から瀧と後藤の連続安打。高安が送って123塁とし、本間の犠牲フライで1点を返す。

 

日産21三菱重工

 

 

3回表 日産自動車の攻撃

 

 

 

1番 吉浦(左) 投手:瀧

二直 1アウト走者無し

2番 四之宮(遊) 投手:瀧

二ゴ 2アウト走者無し

3番 熊代(二) 投手:瀧

中直 3アウトチェンジ

日産は上位打線からの好打順も三者凡退。

 

日産21三菱重工

 

 

3回裏 三菱重工横浜の攻撃

 

 

 

1番 坂上(二) 投手:林

遊飛 1アウト走者無し

2番 今野(三) 投手:林

三振(空振り) 2アウト走者なし

3番 佐々木(遊) 投手:林

一邪飛 3アウトチェンジ

三菱重工、三者凡退。

 

日産21三菱重工

 

 

4回表 日産自動車の攻撃

 

 

 

4番 小山(一) 投手:瀧

二ゴ 1アウト走者無し

5番 沢田(右) 投手:瀧

中安 1アウト1

6番 青柳(D) 投手:瀧

中直 ダブルプレー

3アウトチェンジ

日産は1死から沢田が出塁するも、続く青柳はセンターライナー。飛び出していた沢田、三菱重工センター本間の一塁への好送球でダブルプレー、チェンジ。

 

日産21三菱重工

 

 

4回裏 三菱重工横浜の攻撃

 

 

 

4番 田城(一) 投手:林

遊ゴ 1アウト走者無し

5番 瀧(D) 投手:林

二ゴ 2アウト走者無し

6番 後藤(右) 投手:林

左飛 3アウトチェンジ

三菱重工は三者凡退。

 

日産21三菱重工

 

 

5回表 日産自動車の攻撃

 

 

 

7番 船引(三) 投手:瀧

三振(空振り) 1アウト走者無し

8番 須田(捕) 投手:瀧

三振 2アウト走者無し

9番 松井(中) 投手:瀧

三直 3アウトチェンジ

日産は三者凡退。日産1点リードも膠着気味で試合は続く。

 

日産21三菱重工

 

 

5回裏 三菱重工横浜の攻撃

 

 

 

7番 高安(捕) 投手:林

中飛 1アウト走者無し

8番 本間(中) 投手:林

左安 1アウト1

9番 保谷(左) 投手:林

中飛 2アウト1

1番 坂上(二) 投手:林

 ランナー盗塁 2アウト2塁 

四球 2アウト12

2番 今野(三) 投手:林

右直 3アウトチェンジ

三菱重工は安打と四球で2死ながら得点圏にランナーを進める。

 本間盗塁

しかし後続は凡退で無得点。

 

日産21三菱重工

 

 

6回表 日産自動車の攻撃

 

 

 

1番 吉浦(左) 投手:瀧

三振(空振り) 1アウト走者無し

2番 四之宮(遊) 投手:瀧

三ゴ 2アウト走者無し

3番 熊代(二) 投手:瀧

一邪飛 3アウトチェンジ

日産は三者凡退。

 粘投を続ける瀧

日産21三菱重工

 

 

6回裏 三菱重工横浜の攻撃

 

 

 

3番 佐々木(遊) 投手:林

四球 0アウト1

4番 田城(一) 老醜:林

右安 0アウト12

5番 瀧(D) 投手:林

四球 0アウト満塁

【日産投手交代】

林 → 太田

6番 後藤(左) 投手:太田

三振(空振り) 1アウト満塁

7番 高安(捕) 投手:太田

三振(空振り) 2アウト満塁

8番 本間(中) 投手:太田

死球 +1 2アウト満塁

9番 保谷(左) 投手:太田

二ゴ 3アウトチェンジ

日産2−2三菱重工

打順3番からの三菱重工は四球、安打、四球で無死満塁と大きなチャンスを迎える。日産は先発林から太田へ継投。6番後藤、7番高安を連続三振。気迫を前面に出した好投を見せる。

 交代した太田

が、8番本間にデッドボールを与え、押し出し同点となる。続く保谷は打ち取られたが、序盤から日産がリードしてきた試合は再びタイスコアで試合は後半戦に。

 

日産22三菱重工

 

 

7回表 日産自動車の攻撃

 

 

 

4番 小山(一) 投手:瀧

三振 1アウト走者無し

5番 沢田(右) 投手:瀧

二失 1アウト1

6番 青柳(D) 

→ 南(代打) 投手:瀧

死球 1アウト12

7番 船引(三) 投手:瀧

左飛 2アウト12

8番 須田(捕) 投手:瀧

遊ゴ 3アウトチェンジ

再びリードしたい日産は敵失と死球で112塁と得点機を作るが、後続が倒れて無得点。

 

日産22三菱重工

 

 

7回裏 三菱重工横浜の攻撃

 

 

 

【日産投手交代】

 太田 → 石田

【日産選手交代】

 船引(三)→ 伊藤(三)

1番 坂上(二) 投手:石田

 三振(空振り) 1アウト走者無し

2番 今野(三) 投手:石田

 中安 1アウト1

3番 佐々木(遊) 投手:石田

 一ゴ 走者併殺 2アウト1

4番 田城(一) 投手:石田

 左飛 3アウトチェンジ

日産は太田に代えて、3連投、前日128球の石田を投入。

 連投の石田

三菱重工は無得点。

 

日産22三菱重工

 

 

8回表 日産自動車の攻撃

 

 

 

9番 松井(中) 投手:瀧

右二 0アウト2

1番 吉浦(左) 投手:瀧

遊ゴ 1アウト3塁

2番 四之宮(遊) 投手:瀧

右安 +1 1アウト1

3番 熊代(二) 投手:瀧

ランナー盗塁成功 1アウト2

四球 1アウト12

【三菱重工横浜投手交代】

瀧 → 高田

4番 小山(一) 投手:高田

四球 1アウト満塁

5番 沢田(右) 投手:高田

一ゴ ダブルプレー 3アウトチェンジ

日産3−2三菱重工

日産は好調の先頭打者9番松井が二塁打。1番吉浦が送って、2番四之宮のタイムリーで得点追加、再リード。

 四之宮タイムリー

続く3番熊代も四球を選ぶ。ここで三菱重工は高田に継投するが4番小山に四球を与え、1死満塁とチャンスが拡がる。この場面が試合的には大きな山場であったが続く5番沢田は一ゴロ、ホームゲッツーに打ち取られて追加点は入らず。

日産が1点リードで8回裏の三菱重工の攻撃へ。

 

日産32三菱重工

 

 

8回裏 三菱重工横浜の攻撃

 

 

 

【日産選手交代】

 沢田(右) → 村上(右)

5番 瀧(D) 投手:石田

右二 0アウト2

6番 後藤(右) 投手:石田

三ギ 1アウト3

7番 高安(捕) 投手:石田

投ギ +1 2アウト走者なし

8番 本間(中) 投手:石田

三振(空振り) 3アウトチェンジ

日産3−3三菱重工

三菱重工の先頭打者5番瀧は右二塁打。6番後藤の犠打が決まって1死三塁と同点のチャンス。7番高安はカウント0-12球目にスクイズを敢行するもファール。2ストライクに追い込まれてからは高安はヒッティングに切り替えてファールを重ねた後、再びスクイズを敢行。

 スクイズ成功

これが決まって同点。再びタイスコアで9回の攻防へ。

日産33三菱重工

 

 

9回表 日産の攻撃

 

 

 

【三菱重工横浜投手交代】

高田 → 斉藤

6番 南(D) 投手:斉藤

死球 0アウト1

7番 伊藤(三) 投手:斉藤

捕ギ 1アウト2

8番 須田(捕) 投手:斉藤

三ゴ 2アウト2

9番 松井(中) 投手:斉藤

四球 2アウト12

1番 吉浦(左) 投手:斉藤

三振(空振り) 3アウトチェンジ

三菱重工は投手交代、高田から斉藤へ。

日産は先頭の南がデッドボールで出塁。伊藤が送って12塁の得点機を作るが得点には結びつかずチェンジ。

 

日産33三菱重工

 

 

9回裏 三菱重工横浜の攻撃

 

 

 

【日産投手交代】

石田 → 秋葉

9番 保谷(左) 投手:秋葉

三ゴ 1アウト走者無し

1番 坂上(二) 投手:秋葉

二ゴ 2アウト走者無し

2番 今野(三) 投手:秋葉

二ゴ 3アウトチェンジ

日産は石田から秋葉に投手交代、こちらも3連投、前日104球。

 石田から秋葉

三菱重工は三者凡退。

第一試合に続いて再び延長戦に突入。

日産33三菱重工

 

 

10回表 日産自動車の攻撃

 

 

 

2番 四之宮(遊) 投手:斉藤

二飛 1アウト走者無し

3番 熊代(二) 投手:斉藤

三振 2アウト走者無し

4番 小山(一) 投手:斉藤

四球 2アウト1

5番 沢田(右) → 村上(代打)

二ゴ 3アウトチェンジ

日産は四球で小山が出塁した以外は凡退で得点できず。

 

日産33三菱重工

 

 

10回裏 三菱重工横浜の攻撃

 

 

 

【日産選手交代】

 熊代(二) → 北山(二)

3番 佐々木(遊) 投手:秋葉

遊ゴ 1アウト走者無し

4番 田城(一) 投手:秋葉

遊ゴ 2アウト走者無し

5番 瀧(D) 投手:秋葉

死球 2アウト1

6番 後藤(右) 投手:秋葉

四球 2アウト12

7番 高安(捕) 投手:秋葉

三失 +1

 

日産3−4x三菱重工

三菱重工はクリーンアップからの好打順も3番・4番が連続で遊ゴロ。2死走者無し。

 

ここから試合は急展開を見せる。制球に定評のある秋葉が乱れ、連続で四死球、2アウト1・2塁となる。

続く7番高安が放った三塁正面への当たりは人工芝とアンツーカーの境界でその弾みを変え、「名手」伊藤のグラブをかすめて3塁奥のファールグランドへ。。。日産の吉浦(左)、四之宮(遊)、伊藤(三)が転々とするボールを必死で追う。その手前を2塁走者の瀧が三塁を蹴って本塁へ激走する。頭から滑り込んでサヨナラ。

2日間を通じ、日産唯一の失策による一瞬の結末。

3塁側の大歓声、沈黙の1塁側。2日間、8時間半に渡り、繰り広げられてきた死闘は、あまりにも急な展開で、あまりにも予想外な形で終わりを告げることとなった。

日産34X三菱重工

 

 

 

勝った三菱重工に負けず劣らず、敗れた日産の選手達にも観客席から惜しみない拍手が送られた。

その後、静かにベンチから球場通路をバスに向かう選手達の中に「絶対下向くんじゃねーぞ!」と一人声をあげるベテラン青柳がいた。それは後輩達だけでなく自分自身にも呼びかけているようであった。

日産はこの後、敗者復活戦に回り、東芝に9回逆転劇で勝ち上がってきたENEOSに大敗。周囲からは「第一代表戦で負ったダメージはやはり大きい」と言われながら、まだまだあきらめることをしない日産は土俵際の第三代表決定戦に再び先発した石田の完投により東芝を下し、神奈川最後の枠を得て都市対抗本戦へ駒を進める。。。

「都市対抗優勝による奇跡」へ可能性をつないだ日産野球部。そこでまた、記憶に刻まれるドラマを繰り広げることになっていく。

 

 

 

<試合データ(第二試合)>

バッテリー

 日産:林、太田、石田、秋葉 – 須田

 三菱:瀧(優)、高田、斉藤 – 高安

勝利投手

斉藤(三菱)

安打数

日産:5 三菱:7

余四死球

日産:6 三菱:8

盗塁

日産:1 三菱:1

三振

日産:6 三菱:7

併殺

日産:0 三菱:2 (4/8)

失策

日産:1 三菱:1

残塁

日産:8 三菱:10