平塚研究室の研究理念

 本研究室では,摩擦・摩耗・潤滑に関わる科学・技術であるトライボロジーについて研究をしています.研究の理念は以下の三つです.最も意識していることは「メタトライボロジー」です.

1)フルタイムトライボロジストになる

 摩擦はどこにでも存在していて,我々はそれを上手に利用しながら生活しています.しかしながら,普段は摩擦の存在に無頓着です.そのため,摩擦抵抗がいつもと違うと怪我をしたり,事故をおこします.スイッチを入れる動作一つをとっても,摩擦を意識すると指がスイッチと喧嘩しません.つまり,摩擦を意識することによって安全で快適な生活をおくることができます.これは普段の心構えが大切であることを意味し,摩擦を研究するからには,常に摩擦研究者(フルタイムトライボロジスト)でありたいと願います.
(詳細はトライボロジー学会誌 「トライボライフのススメ 」を参照してください(要ID・パスワード).)

2)私のための,あなたのための,みんなのためのトライボロジーを目指す

 一人称,二人称,三人称は人間の認識の基本です.それに対応した技術があり,トライボロジーがあります.それらは順に,プライベートトライボロジー,オープントライボロジー,パブリックトライボロジーと名づけられましょう.世の中の無数のトライボロジー現象はそれらを頂点とした三角形の三元状態図の中のどこかに当てはめられます.たとえばブレーキを踏んで自動車が止まる過程において,三つのトライボロジーのすべてが関係しています.自分が関与しているトライボロジーをそのように位置づけ,近くの似ているトライボロジーとの相違点を見出し,遠くのトライボロジーとの共通点を探しあて楽しみます.
(詳細はトライボロジー学会誌 「トライボロジー −技術としての将来展望− 」を参照してください(要ID・パスワード).)

3)存在論,認識論,価値論からトライボロジーを見定める

 摩擦や摩耗は太古からあります.しかし,それに各自が気づくかどうかは別です.さらに,摩擦や摩耗の大小に対する要求は時代と共に変遷してきました.このようにトライボロジーは普遍科学の装いを保ちながらも社会の要求によって様々な変容を遂げる技術です.それゆえ,今取り組んでいることが摩擦,摩耗,潤滑の,「存在」,「認識」,「価値」のどの側面を問題にしているかに答えることにより,無用な悩み・議論を避け,見通しのよい研究を目指します.
(詳細はトライボロジー学会誌 「シビア摩耗とマイルド摩耗―その存在・認識・価値―」を参照してください(要ID・パスワード).)