大町(鹿島川、籠川、乳川)5月15日
2月からの約束どおり大町の小林師匠よりテンカラ釣りのてほどきを受ける。最初に向かった川は鹿島川のネコハナ地元では有名なポイントで4年前の大水があるまでは、夏の夕まずめは必ずといっていいほど釣れた場所。堰堤は前のままだがその上が崩れてしまったためにそこから100メートル上流に大規模堰堤が出来ていた。川がショートカットされ、そのため水量が増え流れが急になってしまっていた。先行者がいたがちょうど釣り終わったところでじゃまをしないですんだようだ。
まずは練習ということで上流に向かって自由(我流)に毛針を打ってみせる。当然だがすぐだめがでる。竿を振り切っていない。もっと水面近くまで振りおろし叩くような感じで。テーパーに充分、水を含ませより重くして遠くに飛ばすように。何度もやってみるが上手くいかない。見るに見かねたのか遂に師匠の手がでる。
別に殴られたわけではなく、目の前で見本を見せてくれた。目からウロコでしたね。 つまり、毛針が遠くに飛ばないのはテーパーが乾いているためで常に水分を含ませていることポイントを見つけたら、たとえば今の時期だったら大石の後ろのたまりに同じ場所ではなく違う所に3回チョン、チョン、チョンと打ち内側の緩やかな流れに沿って毛針を流す。
魚が居ればどこからか見ているもので必ず顔を出し、毛針を追っ掛けてきてアワセがうまくいけば釣り上げられるというもの。このパターンさえマスターできればどの川でも勝負できるという。はずかしながら毛針を打つという言葉が理解できていなかったようだ。打つというのは魚に虫が居ますということをお知らせして誘うことで本当に一瞬の勝負。
フライのように精巧なイミテーションを作る必要はなくあくまでも虫らしくあればいいというもので、師匠の言によれば毛針の大きさは関係なくその川にあった色だけ。黒、白、薄い茶色、濃い茶色の4種類そろえれば大体間に合い、うまくマッチすればワンシーズンで3、400尾ぐらい釣り上げることは可能だという(毎朝か夕、川に通っての話)。私にとっては夢のような話だ。
続いて葛温泉登り口橋下の高瀬川へ。ここは毛針が絶対に木に絡まない本流と言えるような所。約2時間かけて500メートル位釣り上る。教えられたとおり大石周りのたまりを中心に毛針を打つ。魚の活性が弱く、二人とも釣果なし。ここは気温の上がる6月中旬頃から朝か夕まずめには魚がでるところで、川のまん中に出て左右を丹念に狙って行けば釣果が期待できるという。
続いてサークルKで弁当を買い、乳川(ちがわ)へ。ここはテンカラが出来ないわけではないが、木に引っかかった場合、木登りしてまでも回収しなければならない所。師匠はそれほど自分で巻いた毛針を大切にしている。
やっぱり、木登りしたくないので餌釣りに変更。川虫取りからはじめる。おもにヒラタ(ナデ虫)とザザ虫が取れる。ここでも1時間ほど粘ってみたが釣果なし。師匠は餌釣り用の仕掛けをわすれてきたということで仕掛けを貸しましょうと申し出たのにもかかわらず、いらないと固辞する。そして付きっきりでめんどうをみてくれる。有難いことだが手を出したい気持ちがこちらに伝わってくる。まもなく雨になりここで納竿。
その後、師匠と別れ村営温泉で汗を流す。ビールを飲んで2時間ほど昼寝。穂高の町に下り買い物。6時になるのを待ってかじかの里キャンプ場より穂高川へ。多少雨まじりながらも40分ほど毛針を打つ。でもやっぱりだめでした。