伊南川いなかわ編(塩ノ岐川しおのまたがわ 舟岐川ふなまたがわ)
 今回は水の状態が悪い都留市はパスして福島県の伊南川支流、塩ノ岐川へ
実はここ今年の1月16日に雪の渓流写真とスタッドレスタイヤはどのくらい役にたつのか知るために雪道走行体験にいったところ。当日は1週間降り続いた雪が漸くあがり、すでに積雪は2メートル近くに達していた。

 伊南村古町のガソリンスタンドで渓流の写真が撮れるか聞いてみると、「とんでもない、渓流なんて行ったら首の所まで埋まってしまうべ」と言われ、続いて「ところによっては3メートルぐらい雪がたまっているから村内にはいったら抜けらんなくなる。なるべく国道を走れ。」と親切に怒られる。実際は東京から片道300キロあるのだが現地に着くまでに5、6時間かかりずいぶん遠くに来てしまったと思わせる所だった。

 そんなわけで現地に6時から7時にに着きたいため、東京を午前1時30分に出発。滑り出しは順調だったがここでとんでもないドジをしてしまう。それは、いつもは中央高速を使うので間違えようがないがこの日は東北自動車道で那須塩原インターをめざしていた。しかし、なぜか関越自動車道に乗ってしまい、「何かへんだ」と思いながらも、関越練馬の手前で漸く気がつく。

 さっそく地図を調べ、前橋から国道50号を使って佐野インターに行こうとも思ったが、このまま川口JTCに戻り東北自動車道に乗り換える。おかげで大泉練馬間往復1600円、外環自動車道往復1000円、時間40から50分まるまる損をする。このまま気がつかないでもっと先まで行っていたらどうなっていたか。多分、家に戻って寝てしまったでしょうね。でもどうして間違ったのか、きっと何か思い込みがあったのでしょう。不思議です。でも時間に余裕があったので焦りはしなかったのが幸いでした。

 さて、なかなか現地に着きませんが、ここでまたドジをひとつ。めざしていたのが只見町の塩ノ岐川なのになぜか向かっていたのがもうひとつ行く予定だった檜枝岐村の舟岐川。やはり「何かへんだ」と思いながら地図を見ると館岩村から国道401号の伊南村、檜枝岐村の分岐点で右が只見町の目的地、左が檜枝岐村。そちらの方に向かっていたのです。どうも只見町と檜枝岐村をごっちゃにしていたらしい。分岐点から23キロ来てしまっているのでこのまま舟岐川に。

 ここは山岳渓流ですでに各々の入渓地点には車が止まっておりかなり人が入っている様子だった。水はとても澄んで冷たく水量も豊富で申し分のない川だった。しかし、木がえらいのでテンカラにはちょっと辛いと思われた。戻る途中、なぜか林道で体操中の地元の人に会い話をする。この人は私と同じ40代ぐらいで漁業組合員らしく、自分もテンカラをやっていると言っていた。

 テンカラの時期としては今ひとつで「草も木もいつもの年と変らないが梅雨らしくない天気なのでもう少し曇って湿気が多くなれば、虫も飛ぶようになってベストになる。」と言っていた。また、これだけ人が入っていると釣り人が川をいじめてしまうので朝はまず無理。夕方6時ぐらいから3、40分の夕まずめに狙えば必ずヒットすると教えてくれる。

 そして、自分だったらこの時間は相当なテクニックがいると思われるが「わざと人が入れない木のえらい支流でテンカラ釣りをし、伊南川の本流では中心まで人が入ることができないので長竿を使って餌釣りをする」と言っていた。また、去年8月の大雨の話になり、山梨では桂川本、支流ともかなり変ってしまったが、この伊南川では何の影響も無かったと言うことだった。

 そこで今から17年前、昭和57年の大雨の話になった。この時一晩で降った雨はすさまじいもので多くの支流が土砂で埋まってしまい、魚が当時の10分の1に減ってしまうと言う被害だった。そこでこのままでは渓流魚が絶滅してしまうと思い、みんなと協力して発眼卵と成魚を買い込み、少しづつ放流を行い今の状態に川を戻したとのことだった。みんな「釣れない」と不満を言っているがこんなこともしていたんだということを知ってその努力に感動した。貴重な話をありがとう。

 さて、まだまだ目的地には着きません。ここから只見町の目的地まで約50キロ。伊南村の古町で冬に行ったガソリンスタンドで給油し、塩ノ岐川へ。結局目的地に着いたのが8時30分。なんと7時間もかかってしまったのでした。とりあえず上流の間丸貝(ままるかい)まで車で上ってみたが、本流に流れ込むはちまん橋からちゃら瀬続きで釣りになりそうにない川だった。(去年9月の大雨の影響で埋まってしまった所が多い)

 でもせっかく来たのだから、やなぎはら橋近くの田中屋酒店で釣り券を購入し、はちまん橋下から釣り始めた。橋下には幅20メートルぐらい高さ70センチぐらいの小さな堰堤があり、本当に小さな落ち込みが数カ所あった。その中で一番魚が付いていそうな所に白黒まだらのドライを第一投。いきなりアタリある。落ち込みから流れ込んだ毛針を魚がくわえるところ(水面上で口と眼を開いている瞬間)が見える。「何、いきなり」と大声を出してしまう。当然合わせそこなう。ちょっと間をおいて第ニ投。また出てくれるがアワセがうまく行かない。とてもへたくそである自分にうんざるする。もうこれ以上打ってもだめなので時間を置くために他に打ってみる。アタリなく最後にもう一度さっきの所に打ってみるが底で魚体がキラリと光っただけで出て来てくれなかった。

 その後、およそ1.5キロ上流のあしざわ橋まで上ってみるがへちで2、3度魚が跳ねた以外はもう少し水量があればいい落ち込みや流れ込みがあったのにと思わせる川だった。舟岐川で会った人が言ったように夕まずめまで待って、もう一度トライしようと思ったが風が強くなってきたのと、疲れてしまったので温泉により仮眠し、今日はこれでお仕舞いにする。いろいろあったけど次回はテンカラで出そうな気がする。次回は長野県大町を予定している。小林師匠よりEメールのお誘いがあった。


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