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乙姫静香

◇第二十二話◇



「The Arms Around Me」



 その日、俺は朝から変だった。
 受験勉強で寝不足だったってのもあるけど、それだけじゃないのはよく分かってた。
「子規・・・?」
 風に吹かれたままボーッとしていた俺に、父さんが声をかける。俺は振り返ると、微笑んで言った。
「うん、行こうか」





 父さんの運転する車に乗って、眺める景色。雲ひとつ無い、いい天気。広がる青空が徐々に赤く染まる。父さんと一緒にでかけるのも久しぶりだけど、それ以前に、こんな風に外に出ること自体が久しぶりだった。
 尚也と一緒に居ると、なんだかんだいって外に出ることが多いような気がする。別に二人してすごくアウトドアってわけでもないんだけど、尚也はよく色んなところに連れて行ってくれる。
 そんな尚也と会わなくなって、もう二週間。受験勉強の所為と言えばそれまでなんだけど、電話をするとつい長話をしてしまうので、それも控えていた。ま、尚也も忙しいみたいだから、丁度いいって思ってた。
「何が食べたい?」
 運転をしながら、父さんが聞いてくる。俺は父さんの横顔を見ながら、胸がチリっと焼けるのを感じていた。
「んも〜、聞かなくても決まってるくせに」
 ちょっとおどけて言ってみせる。父さんは、横顔でふっと笑うと、ウィンカーを倒しながら返した。
「ま、そうだな」





 いつものレストラン。いつもの窓際の席。父さんと俺は、親子水入らずで夕飯を食べていた。
 ご飯はいつも通り美味しくて、満足としかいいようがない。俺が子供の頃から良く来ている所為か、店の人も顔見知りだった。
 やっぱり父さん、ナイフ使うの上手いな。医者だからかなぁ・・・って、そんなの考えすぎ?
「ねぇ、父さん」
「ん?」
 思わず改まった俺に、父さんも視線をあげる。俺は、ナイフとフォークを持つ手を止めると、ひとつ息をついてから言った。
「あのさ・・・どうして、俺、一人っ子なのかな?」
「へ?」
 実は結構真面目な質問のつもりだったんだけど、父さんは文字通り目を丸くしている。や・・・やっぱり、あまりにも唐突だったかな?でも、随分と考えたんだけどな、聞いてみようかどうか・・・って。
「なんだ、藪から棒に。欲しかったのか?兄弟」
 いや、別に欲しかったとかそういうことじゃなくってさ。そりゃ居たら居たで「これが兄弟か〜」とか思うのかもしれないし、思わないのかもしれないし。わかんないけど・・・わかんないけどさ。
「そういうことじゃなくってさ・・・」
 それから先の言葉は、思うようにすぐには出てこなかった。やっぱり、今日じゃない方が良かったかな・・・?
でも、父さんは父さんで俺の沈黙に全てを察したようで、一度ナイフを置くと俺をじっと見て言った。
「ほぉ〜」
「な・・・なに?」
 やだなぁもう。全部見透かしてるってのはよく分かってるからさ、そういう風に見ないでよ。あ、ちょっと笑った。なんか、恥ずかしいぞ。
「子規は結構、母さんよりも繊細だな。なんだ?俺に似たのか?」
 ニヤニヤと俺を見る父さん。も〜〜、だからやめてってば〜。
「知らないよ、も〜」
 俺は恥ずかしさを紛らすために、視線をそらせて肉を頬張る。でもまぁ、笑って受け取ってもらえて良かったけど・・・。
「お前が生まれた時にな、思ったんだよ」
 それはきっと、俺が生まれた時のことを思い出している目。そこには、母さんが居て、生まれたばかりの俺が居て・・・。父さんは、俺が見ても恥ずかしくなるくらい優しい顔をして言った。
「なんて可愛いんだろう!・・・って」
 ぎゃ。そ・・・それは、言われている俺は、さらに恥ずかしいぞ、父さん。
「ちっちゃくって、でも目はクリクリっと大きくて、まるで女の子みたいでな。実際よく女の子ですか?って聞かれたしな・・・とにかく、そんな愛くるしい子が、俺の指をギュっと握るんだよ。こんなに可愛い子は世界中どこを探してもいないぞ!と、本気で思ったんだよなぁ・・・」
 ぎょ。ま・・・まさか父さんと話していて、こんなに恥ずかしい気持ちになるなんて思わなかったぞ。もっぱらそういうのは、尚也の担当(?)だと・・・。でも、本当にそこまで思ったの?だって、俺と父さん、血はつながってないのに・・・。
「おまけに小さい頃は利発で愛想もよくって、公園に行っても幼稚園に行っても可愛い可愛いと言われ続けてなぁ。まぁ、そんなことは言われなくても俺が一番よく分かってたんだけど。いや〜、本当に可愛かったんだよな・・・」
 ちょ・・・ちょっと、もうそこら辺でやめとこうよ。なんか、胃の底がむずがゆくなってきたし、微妙に、小さい頃「は」とか、可愛かっ「た」って言い方は気になるけど、高校卒業前の男が可愛いと言われて喜ぶってのも変な話だし。そこはそれ、ねぇ、父さん。
「ま、それで満足しちゃったんだから、いいじゃないか」
 ニコニコと言い切り、食事を再開する父さん。でも、きっと「本当の自分の子」を作ったら、将来俺が悲しむんじゃないかとか、考えたに違いない。そうでしょ?そのくらいのこと、すぐに気付くくらい、俺はちゃんと「父さんの子」なんだから・・・。
 それに、今の言葉に嘘がないほど、俺のこと可愛がってくれてたってこと、一番よく知ってるのも俺だから、俺は恥ずかしさ半分、感動半分で水を一口飲んだ。
 再びチリっと焼けた胸を、鎮めるように。





 食事の後、父さんは病院に戻った。たとえ父さんが家に居たとしても、俺は勉強してるから、あまり変わりはないんだけど、今日だけはちょっぴり寂しいなと思う。
 でも、外出中も、食事中も、心が呼んでる人は他にいた。街角でばったり出会うっていう、有り得ない偶然を何度も想像した。その気持ちは、夜が深まると共にどんどん強くなって、俺は気持ちを切り替えるために、何度も熱いお茶を入れに一階に降りたりして・・・。
 ピンポーン
 こんな夜に、誰が来るって言うんだろう?俺は不審に思いながら自分の部屋を出る。
「はーい」
 階段を下りながら返事をする。と、玄関の向こうから聞こえてきた声は、会えない間にこそ俺の気持ちをかき乱す困った相手だった。
「こんばんは」
 俺は一瞬、階段の途中で立ち止まり、自分の耳に届いた声を認識しなおす。マジ?マジで・・・?
次の瞬間、ダダダっと駆け下りる階段。飛びつくように玄関を開け、そこに立っているいつもの天然笑顔に、俺の目が見開かれた。
「・・・尚也」
「ごめんね、勉強中に。こいつの注射しに、夕方、先生の所に行ったら、伝言を頼まれたから・・・」
 下を見ると、そこには竹脇家の愛犬、梅松の姿。相変わらず大きな身体で、おとなしくお座りをしていた。
 おそらく梅松を連れてきたのは、尚也の「ここで帰るからね」のサイン。俺の邪魔にならないようにっていう心遣い。でも、俺はリードを持つ尚也の身体を無言で引っ張ると、梅松ごと玄関に入れて扉の鍵を閉めた。
「子規くん?」
 不思議そうに俺を見る尚也が次の言葉を紡ぐ前に、俺は尚也のシャツの袖を引っ張り、その胸に顔を埋める。俺の胸いっぱいに広がる尚也の香りを感じながら、俺は尚也の背中に腕を回した。
 きっと、伝言なんて口実。父さんが今日の俺を見て様子を見に来させたんだろう。
 だって、今日は・・・・・・母さんの命日だったから。
 母さんのお墓に行って、それからいつも三人で行ってたレストランに行った。いつもと変わらないのに、レストランは昔のままなのに、母さんだけがそこに居なかった。
「子規くん・・・」
 尚也は、父さんから聞いたのかな?今日のこと。俺の背中に回される腕はいつもと同じで、温かくて優しくて。俺は、えもいわれぬ安心感の中で、静かに目を閉じた。
 淋しくなったり、悲しくなったりすると、最近すぐに尚也のことを思い出す。でもね、不思議なことに嬉しいときや楽しいときにも、すぐに尚也のことを思い出すんだ。ここに尚也がいたら、きっともっといいのにな・・・って。
 俺は尚也の肩に頭を乗せ、首筋に鼻を摺り寄せる。尚也の肌の感触も、体温も、触れて感じるだけで信じられないくらいに安心する。さっきまでの言葉にならない不安やせつなさが、蒸発するみたいに消えていった。
 玄関の壁に背を預けた尚也は、俺のそんな気持ちに気付いているみたいに、俺の身体に回した腕に力を込める。俺は尚也によりかかり、ゆっくりと深呼吸をした。
 あ〜〜〜〜、落ち着く〜〜〜〜。
 あ、尚也の手が俺の頭撫でてる。やべぇ、離れたくなくなってきた。っつーか、俺いま、すっげ〜キス・・・したい・・・かも。なんだよ、さっきまでブルー入ってたのに、もう元気なのか?俺?
 おまけにそれって、間違った方向の元気・・・じゃないか?
 でも、尚也もちょっとそっちのモードに入ったのかな?俺が顔をあげて尚也を見ると、尚也も俺のことを見下ろしてて、あ・・・顔が近づいて・・・・。
「・・・げっ」
 急に、背中の尚也の手がぎゅうううっと俺の身体を締め付ける。
「ちょ・・・何・・・?」
 俺は、あまりにも激しい尚也の抱擁に、眉を寄せて尚也を見上げる。が、尚也の視線は俺を通り越して後ろに注がれていた。
「ごめん、子規くん・・・。うちの梅松が・・・・」
 その言葉に、尚也に胸を預けたまま背後を振り返る。と、そこには、立ち上がって俺の背中に両手を乗せた梅松が、ウキウキと顔を寄せていた。
 竹脇梅松、50キロ!
「う・・・どうりで・・・」
 重いはず。
「こら、梅松。お座り」
 尚也に声をかけられて、まずは嬉しそうに尻尾を振る梅松。でも座ろうとはせずに、なおも俺の背後に立ち続けていた。
「こ〜らっ!梅!」
 ちょっと声のきつくなった尚也に、とりあえずは両手を下ろして、ゆっくりとお座りの体勢に戻る梅松。
「ごめんね、大丈夫だった?」
 俺の背中をパタパタと払って、尚也が苦笑い。俺は、なんだか無性に可笑しくなって、尚也の肩に額を乗せて笑い出した。
「あははは。いいなぁ、梅松。可愛いぞ」
 梅松も、居場所がなくってちょっぴり淋しかったのかな?あー、やっぱり家族だもんな〜。
「でも、飼い主の幸せを邪魔するような犬に育てた覚えはないんだけどな」
「え?」
 思わずあげる顔。すると、そこには尚也の顔が近づいていた。そして、閉じる・・・瞼。
 柔らかく、触れてくる口唇。軽くついばむように触れると、それは角度を変えてもう一度触れ、そして、そっと離れた。
「ね、幸せの感触」
 睫の触れる距離でそう言って、尚也はそのまま俺の頬にも軽く口づける。俺はその頬を尚也の頬にこすりつけ、短く返した。
「・・・ん」
 いつも通りの尚也の恥ずかしいセリフにも、今日ならちょっとは素直に答えられそうな。それだけ、俺も気付いてしまったから。自分が本当に居たい場所が、どこかってことに。
 父さんと一緒に居ながらも、どこか物足りなさを感じてた。それは、父さんが俺だけでいいよって言ってくれたように、俺も、その人だけでいいって人を見つけてしまったから。家族を超える存在を見つけたから。
 この、腕の中に。
「でも、こんなに熱烈に歓迎されるとは、思ってもみなかったなぁ・・・」
「えっ・・・いや、だって・・・」
「こんなことなら、梅松は置いてきた方がよかった・・・?」
 何を言いたいのか、尚也が普段うちでは絶対に見せない表情に変わる。
 ぎゃっ!だ・・・だめ!そりゃ、父さんは今晩帰ってこないだろうけど、だからって、だからって・・・それはダメだってば!うちの中では、ダメ〜〜〜!
 俺は思っていることをダイレクトに表情に出したのか、尚也はこらえ切れない笑いを口端にもらしている。
「嘘。俺もレポートあるから、帰らないとね」
 ほっ。でも、それはそれでちょっぴり淋しくもあるけど・・・。おい、どっちなんだ、俺!
 自分でも分からなくなって、とりあえずは尚也の胸にもう一度顔を埋める。そして、ぎゅっと尚也の身体を抱きしめると、俺はぽそっと呟いた。
「今日・・・母さんの命日だったんだ・・・」
「ん・・・」
 それはきっと知っている。前に、言ったことがあったし。
「お墓参りしてきた。父さんとご飯食べて」
「・・うん・・・・」
 俺の腰を抱いたまま、静かに肯く尚也。片手がそっと動いて、俺の背中を優しくなでた。
「そうしたら、なんか変な気分になって・・・」
 本当は、無性に尚也に会いたくなったってことなんだけど、そこを正直に言うと、また何を言われるか分からないから、まぁこんな感じで。
「え?子規くん、お墓に欲情したの?それともご飯?それは、どこ?今度行こう!」
 だ〜か〜ら〜。そんなわけないだろっつーの!俺は口唇を尖らせて尚也を見つめ返す。尚也は尚也で、そんな俺を嬉しそうに見返していた。
「も〜、いいけどさー。で、父さんの伝言って?」
「うん。『お前の小さいときも可愛かったが、俺の小さいときも天使のように可愛いと言われたもんなんだぞ』・・・だって」
 ・・・・・・・・・は?
 そ・・・そんなことのためだけに、尚也を?っつーか、張り合ってどうするのさ、父さん。それ以前に、あの話はそこまで全力のものだったのか??
「安心して。俺は子規くんの方が可愛いと思うから」
 ぎゃ!そりゃあんた、俺の父さんのこと尚也が「可愛い」って思ってたら、ちょっと怖いじゃん!いや、だからといって、俺のことを可愛いと思わなくちゃいけないって必然性はないんだけどさ。いやいや、そういうことじゃなく・・・。
「安心って・・・」
 俺は半分呆れて呟く。もう、真剣に話すこともバカバカしいほど、笑っちゃうような状況。でも、次の瞬間、尚也がそのままのノリで言った。
「子規くんは、先生に似てるよ。本当に、親子だなって思うほど」
「・・・・・・」
 思わず、自分の目が素に戻ったって分かる。こういう時の鋭さは、やっぱり尚也だなと思った。
「先生自慢の一人息子だよ」
 うん。そうだよね。きっと父さんもそう思ってるよね。だって、父さんだって俺の自慢の父さんだもん。
 ぱふっ・・・と俺は尚也の胸に身体を預ける。目を閉じると、尚也の心臓の音が、頭の中いっぱいに響き渡った。
「ね、尚也・・・」
「なに?」
 チラリと視線を下に送り、おとなしく静かに伏せをしている梅松を確認。そして俺は、清水の舞台から飛び降りるような決心で言った。
「もっかい、キス・・・したいな」
「キスだけで、いいの?」
 うわっ。んなバカな。
「・・・・バカ」
「じゃあ、訂正。一回だけで、いいの?」
 う。それは微妙。でも、とりあえず俺は肯くと、何も言わずに尚也を見た。
 尚也の顔が傾いて、目が薄く閉じられる。軽く鼻が触れて、尚也が甘えるみたいに鼻で俺の頬をなぞる。俺が顔を傾けると、今度は前よりも深く口唇が重なった。
 歯列を割って入り込んでくる熱い舌に、自分の舌を絡ませる。背筋をゾクっと震わせる感触に、目をきつく閉じて身を委ねた。尚也の手が俺の後頭部に回されて、より強く求め合う口唇。薄目を開けると、尚也の瞼もわずかに上がって俺を見た。
 うわ、なんか・・・妙に、気持ち・・・いい。
「・・・っ・・・・ふ・・・」
 口唇が離れて、尚也の肩に乗せる顎。浮いたような感覚のまま、睡魔にも近い甘い熱に包まれて、俺は安堵の息をついた。
 うわ・・・なんなんだろ、これ。これが、幸せの感触?
 心が満たされて、潤っていくような感覚。
「う〜ん、困った・・・」
「え?」
 頭上から漏れてくる尚也の声に、俺はゆっくりと顔をあげる。尚也は天井を見上げたままポソっと続けた。
「このまま子規くんのこと、連れて行きたくなっちゃうね」
 ・・・うん。本当は、俺もこのまま尚也の部屋まで行きたいって思う。けどな、やっぱり父さんに学費払ってもらってる以上は、ちゃんと勉強したいってのもホントで・・・。
「春には、どこかに出かけられるように、頑張るね・・・」
 そう、一発で終わらせれば、春にはまた、一緒に居てもいいようになる筈。そのためにも、いまは我慢しなくっちゃ。
 俺は静かに尚也から身体を離すと、下にいる梅松の頭を撫でる。梅松は嬉しそうに俺を見上げて、前足で俺の膝を撫でた。
「どこか、行きたいところでもあるの?」
 尚也も梅松のリードを持ち直して、俺の髪を撫でる。なんか、俺も梅松も一緒?
「う〜ん、そうだなぁ。どこか温かいところに行きたいな」
「温かいところ?ふぅ〜ん、いいね。天国みたいなリゾートとか?」
 なにを考えてだか、尚也がちょっと下心がありそうな顔をする。
「どこかに行かなくっても、俺の部屋で天国に行くって手もあるけど・・・」
「ぎゃ!」
 バシッ!と、思わず尚也の額に手刀をかます。尚也は笑顔で、座っている梅松を立たせた。
「じゃあ、勉強がんばってね。無理して体調壊さないように」
「ん」
 短い時間なのに、会えただけでこんなに嬉しい。改めて、俺って尚也のこと好きなんだなぁ・・・なんて、実感してみたり。
 これが父さんの言ってた「満足」ってやつなのかな?他になにもいらないって思えるほどのものってことなのかな?
 俺にはまだわからないけど、でもきっとそんなような気がする。
「尚也」
 俺は玄関を出て行こうとする尚也を呼びとめ、もう一度だけぎゅっと抱きしめる。
 尚也も抱き返してくれながら、小さい声で言った。
「子規くん、大好き」
 うん。すっごくよく分かる。父さんの言葉が嘘でないことが分かるくらい確信を持って、尚也の言葉も本当だって分かるよ。だって、俺もおんなじ気持ちでそう思うんだもん。
 ま、それは尚也には言えないけどね。恥ずかしいから・・・。
 小さく手を振って帰っていく尚也の後ろ姿を見つめながら、俺は自然と笑顔になっている。尚也が家の車に乗って消えると、俺は玄関の鍵を閉めて大きく伸びをした。
「おっしゃー!勉強するぞ〜〜〜〜!」
 ダダダッと駆け上がる階段。
 入試はもう目前。



 今度は、尚也と一緒に母さんの墓参りに行こうと思った。


−終−





以前に尚也視点で書いた「視線の温度」の逆で、
今度は子規視点のお話です。
実は「この世に、それは〜」の後の話なので、
なんともはや(^^;)すんません。
そっちが完結した後にもう一度読んでいただけると
感じがまた違うかもしれません(笑)いやはや。


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