せつなさで殺して・4

                               乙姫静香




 隔てるもの。
 遮るもの。
 逆らうもの。
 思い通りにならないもの。

 本音と書いて、マゴコロと読む。
 マコトの、ココロ。





 コンコンコン
 静かな中に響くノックの音。パックマンの中で眠っていたタカシは、ゆっくりとその瞼を上げた。
 コンコンコン
 再びノックの音。車の中にはタカシ一人。しかし、外にはGボーイズの仲間がいるはずである。にもかかわらず、こんなに外が静かだなんて、変だなとタカシは首を傾げた。
「だぁれぇ〜?」
 目をこすりながら、丸まっていた身体を伸ばす。車のカーテンを開けると、そこにはマコトが立っていた。
「あれ?マコちゃんなにしてんの?」
 タカシがロックを外し、マコトがドアを開ける。真上から降りそそぐ日差しの強さに、タカシが目を細めた。
「うす。いや、ヒロキのこと、礼言おうと思って・・・って、なんか車ん中超暑くねぇ?なにこれ?サウナじゃん」
 隣りに乗り込みドアを閉めた瞬間、マコトの眉が寄せられる。タカシがにへらっと笑うと、マコトがキャップを脱いでぱたぱたと仰ぎ出した。
「だってサウナ屋の息子だも〜ん」
「そういう問題じゃねぇだろ。大体なんで、こんな一番日のあたるトコロのど真ん中に車停めてんだよ。他の奴等みーんなあっちの日陰で寝てんじゃん」
 あ、だから傍に誰もいなかったのか・・・とタカシは思った。大体、こんな季節にタンクトップ一枚でいるなんてタカシくらいだ。タカシにとっての適温が、他の人間の暑いにあたるのも納得である。
「停めた時は日向じゃなかったってだけじゃん?」
「ふ〜ん。・・・で、今日はジェシーは?」
 タカシの台詞に納得したのかしないのか、パックマンの中をくるりと見回し、マコトが言う。・・・と、タカシも同じようにくるりと車の中を見回し、返した。
「ジェシちゃんは・・・・・・どうしたんだろ。いなかった?」
「そんなの俺が知るかよ。お前の彼女だろ」
「そだね」
 マコトをじっと見つめ、タカシが微笑む。マコトはそんな風にじっと見つめられるのが気まずいのか、視線を合わせたり外したりしていた。
「どったの?」
「いや・・・その・・・・」
 しどろもどろに返すマコト。タカシはそんなマコトの内心をほぼ読み取ってはいたが、面白いので気付かない振りをした。
「なんかまた相談でもあるの?」
「ま・・あ、相談っつっちゃー相談なんだけどよ」
 ぱたぱたとうちわ代りにしていたキャップの動きが悪くなる。
「ふぅ〜ん。Gボーイズに入らないくせして、苦しくなったら相談には来るんだ」
 伸びた自分の前髪を引っ張りつつ、タカシが呟く。ぱたり・・・とキャップの動きが止まった。
 痛いところを突かれてはいるものの、そういう事とはちょっと違うとマコトは反論したくなった。
 だが、事実だけを見ていると、そうタカシが取ることもあながち間違いではない。たとえ、マコトがタカシにそうは取ってもらいたくないと思ってはいても・・・。それだけに、マコトは眉を寄せて口をつぐんだ。
「黙るのはズルイんじゃねぇか?」
 マコトの心を見透かした上でのタカシのマジな台詞。マコトの方に向かってタカシは膝を抱えて座る。マコトはそんなタカシを横目で見ながら口を開いた。
「や・・・ズリぃよな。確かに・・・」
 視線をさまよわせながら、マコトは真剣な顔で何度も小刻みに肯く。タカシは大きな目でそんなマコトを見ながら、ちょっと薬が強すぎたかなと心の中で舌を出した。
「で、なんなのよ、本当のトコロ」
「え?」
 少し声のトーンが甘くなり、マコトがタカシを見る。タカシは抱えた膝に顎を乗せると、読めない微笑で返した。
「今日の相談。・・・・あるんっしょ?」
「あ・・・あぁ」
 歯切れの悪いマコトの返事。どうせこの間のアレだろうに・・・とタカシは思った。
「実は・・・・この間の百万の話なんだけど・・・・」
 ほ〜ら来た、とタカシは胸の中で小躍り。マコトの分かりやすさに、思わず顔の筋肉まで緩んだ。
「ふ〜ん。こっちは言われた通りにGボーイズ動かしてヒロキくん探したもんね。それが、何か?」
 今日はどこまでいじめようかな・・と思う。この間京一と寝てから、少し攻撃的になってるかもな・・・と自分ながらに感じた。あの手の落胆は尾を引くから。
「申し訳ないんだけど、分割とか・・・できねぇか?」
「分割?」
 マコちゃん本気で払うこと考えてるんだ・・と、感心半分、呆れが半分。チャージした本人がもう忘れかけてたのに・・・と、タカシは思わず吹き出しそうになった。
「あぁ。ちょっと、事情があって・・・貰った金返しちまったもんだから。すぐに全額ってわけにはいかなくなっちまったんだよな。いや、もちろん・・・ちゃんと払うからよ」
 やっぱり払うんだぁ・・・と、これは感心100%。そういうとこ変にマジメよねぇ。
「だから、ちょっと待ってくれねぇかな・・・と」
「Gボーイズに入ってくれたらチャラにしてもいいよぉ」
「へ?」
 頭を下げるマコトに、タカシが投げかける。車のシートの上にしゃがんで、タカシが食べかけのチュッパチャップスを口に入れた。
「Gボーイズにはいってくれたら、百万が・・・チャラ!」
 チュッパチャップスをくわえたまま、両手を目の前でぱっと開いて見せる。マコトはその動きに一瞬目を捕らわれたが、今度は逆に攻撃的な瞳でタカシを見返した。
「それは断るって言ってんだろう?」
「じゃあどうすんだよ」
 笑いの無いマコトの言葉に、タカシも無表情で問い返す。
 視線は逸らさない。瞬きひとつしない中で、タカシの腕がすっと動いた。
「えいっ」
「げっ!」
 飴の無くなったチュッパチャップスの白い棒を、マコトの鼻の穴に突っ込む。
「げ・・痛てっ・・。な・・何すんだよ!!」
「あはははは。緊迫の一瞬、カメラは見た!なんちって」
「お前なぁ・・・」
 痛む鼻を押さえてマコトがタカシを睨む。すると、タカシがシートの背に身体を預けて、膝を抱えたままに言った。
「それじゃあ、非常に月並みですが・・・・」
「あん?」
 微かに涙の滲んだ目で、マコトは声を上げる。
「身体で返すっていうのはどうでっか?お客さ〜ん?」
「あ・・・・・あああん!?!?!?」
 タカシの口から出された提案に、マコトが目を丸くする。思わず上げてしまった声に、つい外のGボーイズたちを見てしまう。幸い、距離があるせいか誰一人として起きては来なかったが・・・。
「一回2万として、50回。どう?悪くないんじゃないのぉ〜?」
「お前、本気でそれ言ってんのかよ。50回だぞ。50回・・・・お前とやんのかよ」
「オーイエース!もうお試しはしてるじゃーん!」
 マジかよ・・・といいたげなマコトの表情。タカシは頭を抱えるマコトににじり寄りながら、更に続けた。
「たーだーしー!!」
「なんだよ」
 マコトはとりあえず聞くだけ聞くかというような感じで返す。目は明後日の方向を見ていたが・・・。
「俺がイッた回数からマコちゃんがイッた回数を引いての計算よ〜ん」
「あぁん?どういうことだよ、それ」
 マコトが聞き捨てならないことを聞いたように、身を乗り出す。タカシはそんなマコトの反応に、ほくそ笑みながら半開きの瞳で続けた。
「例えば、一回イイコトして、その時に俺が一回イッて、マコちゃんも一回イッたら、その時のはチャラってこと」
「え?・・・・ってことは・・・待てよ、もしもお前が一回イッて、俺が二回イッたら?」
「102万円の貸しナリ」
「待ぁてぇよぉーーー!!」
 絶望的とでも言いたげにマコトが頭を抱える。キャップを胸元でくしゃくしゃにしながら、マコトが天を仰いだ。
「お前、イくの遅ぇんだもん!俺、不利じゃんよ」
「慣れたらマコちゃんも結構イケルかも知れないじゃん」
「イッたらマズイじゃねぇかよ」
「あ、そういうイケルじゃなくってさ。オトコの誉れ度合いっていうかさぁ〜」
「ホマレドアイ?」
  聞きなれない言葉にマコトの眉が寄る。また解説に手間取りそうだから、上手く誤魔化そうとタカシは思った。
「まぁ、なんていうかさ、慣れればはやくなくなるんじゃないかなぁってこと」
「タカシ・・・・」
「なぁにぃ?」
 ため息をつきながら首を横に振るマコト。タカシはそんなマコトに顔を寄せて答えた。
「ってことは、だ。・・・・やっぱり俺は、はやいってことか・・・・・?」
 マコトは、周囲が思うよりずっと繊細な所がある。それを分かってるつもりだったが、さすがに今回は言い過ぎたかなと、タカシは思った。やっぱり今日はちょっと変なのかも。
「別に。普通なんじゃないの?」
「お前、俺の目を見て言えるかよ」
「はい。じゃあ、これでいい?」
 ぴとっと、自分の額をマコトの額にくっつける。
「マコちゃんは、はやくなんかありましぇ〜ん。極々一般的な男の子でぇ〜す!」
  じ〜〜〜〜〜っと、四つの瞳が開かれる。マコトはタカシの目を見つめたまま、ぼそっと言った。
「極々一般的っていうのも・・・・ちょっと・・・なんだなぁ」
 ったく、このオトコはなんて言ったら納得するのやら。タカシは額を離すと、口唇を突き出して肩をすくめた。
「で、どうするの?するの?しないの?」
「一回2万って・・・安くねぇか?一回5万位に・・・」
「マコちゃ〜ん。いい加減怒るよ」
 毅然とした態度でタカシが言って、マコトがうなだれる。
「・・・すみません」
「あ〜い!じゃあ、しようか?」
「は?」
「善は急げ!ゴーゴー!!」
「え・・・・あ・・・・あぁ・・・・・・」
 すっかりペースに乗せられたマコトは、言われるがままにタカシと向き合う。タカシが首を傾げてマコトを見た。
「いい加減手順は分かってるっしょ?それとも、俺の方からやるの?俺の方からやったらますます借金がかさむと思うけど・・・」
 確かに、タカシに主導権を握られてる限り、マコトの方が回数多くイかされてしまう。マコトはそんな簡単な計算をすると、タカシのタンクトップから出た肩に手を乗せた。
「あ・・・じゃあ・・・・」
 キスをしようと顔を寄せるマコトに向かって、その言葉を遮るように、タカシが喉をそらせて口唇を重ねる。マコトの目が瞬間開き、それからゆっくりと閉じられた。
 白い喉が動いて、舌を絡ませていることが分かる。タカシの細い腕が伸びて、マコトの首にけだるげに回された。
「っ・・・・・」
 口唇を重ねながらも、マコトの指がタカシのタンクトップの上を這って、小さな存在感を示すそれに触れる。こするように摘まむと、タカシの身体がピクリと動いた。
「お前・・・本当に好きなのな・・・ここ」
「わ〜る〜いっ?」
 喉の奥で笑いながらタカシが首を傾げる。マコトはシートにタカシの身体を倒しながら、汗のにじんだTシャツを脱ぎ捨てた。
「マジであっちーよ、ここ。おまけにせめぇしよ。どうやってやれっツーんだよ」
「狭いのが、カーセックスの醍醐味でしょ?」
 とはいえ、パックマンはまだ普通の車よりは広いし車高も高い。が、それに比例するように二人の身長も高いのである。タカシの身体を横たえたものの、依然窮屈な車内に、マコトがタカシの腕を引っ張った。
「なに?どーすんの?」
 細い身体がしなって、だるそうに身体を起こす。マコトは自分がシートに座り、太腿の上でタカシの身体を背後から抱いた。
「この方が、お前も悪さできねぇもんな」
 悪さねぇ・・・と思いながらも、タカシがおとなしくマコトの胸に身体を預ける。マコトの指がタカシのベルトを器用に外した。
 慣れてきてるなぁ・・・とタカシは素直に感心。つい暇なので、顔を倒し、自分の肩に顔を乗せてくるマコトの頬に噛み付いた。
「おめぇ、何してんだよ」
「はわがうぃ(甘噛み)」
 マコトのほっぺたに噛み付いたままで答える。するとマコトがため息交じりにタカシのジッパーを下ろしきった。
「俺が一生懸命やってるのに、お前が気ぃ散らしてたらイクもんもイかねぇだろうがよ!集中しろ、集中!」
「ふあぁ〜い」
 噛んでいた頬を離して、一応は答える。かといって何もしないのはつまらないので、とりあえずタカシは唾液で濡れたマコトの頬をペロッと舐めた。
 マコトはというと、タカシの白いパンツの中で眠っているモノに手をかける。タカシは頬を舐めるついでに、マコトの耳に舌を入れた。
「うわっ!」
 突然の感覚に、マコトが耳を押さえて目を丸くする。タカシはそんなマコトを見ると、まさに獲物を見つけた野生動物のようにキラリと目を輝かせた。
「あははっ・・・マコちゃんさぁ・・・」
「な・・なんだよ・・」
 マコトの太腿の上で向きを変えながら、タカシがマコトの胸の上に手を這わせる。
「最初の一回はカウントしないでいてあげるから、ちょっと・・・させてくんない?」
「させるって・・・な・・なにを?」
 マコトは既に及び腰でタカシを見返す。そんな様子も、タカシにはたまらなく面白かった。
「マコちゃんいじめ」
「え!?」
 マコトの返事を待たずに、タカシの手は既に服の上からマコトのそれを捉えている。やんわりと弄ぶように何度も握り、感触を確かめる。
「あははは」
 ゆっくりと固さを増すそこに、タカシの口端が上がる。うっとりとマコトを見返しながら、タカシがマコトの肩に顔を乗せた。
「お・・・まえっ・・・・」
  細い指は休むことなく、服の上から、揉んだりなで上げたりを繰り返す。マコトは、自分でも恥ずかしいくらい簡単に形状を変えてしまう自分のものに、思わず舌打ちした。
「直接触って欲しいでしょ?」
 そう言いながら、焦らすようにタカシは指先でマコトのそれのカタチをたどる。
「ばっ・・か・・・・。別に・・・」
 マコトはかすかに赤くなった顔を背ける。タカシは顔が背けられたことによって剥き出しになったマコトの喉笛に舌を這わせながら、愉快そうに言った。
「そ。じゃあ・・・直接触ってあげな〜い」
 両手でくすぐるようにマコトのそこを弄びながら、タカシはマコトの首筋や胸を味わう。マコトもそれに耐えるように口を閉じていたが、タカシの舌が再び耳にさし入れられた時に、熱い息が震える口唇を割った。
「・・・ん・・・・っ・・・馬鹿っ・・」
 タカシの身体を押し返そうとするマコトを組みしいて、執拗に耳を責める。舌が動くたびにマコトの身体が小刻みに震え、それが余計にタカシの中の何かを駆り立てた。
「ふ〜ん・・・・マコッちゃん・・・・耳も好きなんだぁ・・・」
「やだ・・・おまっ・・・・やめろ・・・よ・・っ・・」
 マコトは頭を振って、なんとかタカシの舌から逃れようともがく。感じ過ぎる自分に、マコトが苛立っていることも手に取るように分かった。
「やめないよ〜。だって・・・マコちゃんのその顔・・・・すっげーいいんだも〜ん・・・ねっ・・」
「ば・・・タカ・・・ッ・・・・」
 すると瞬間、すごい力でマコトがタカシの身体を引き剥がした。うっすらと涙を浮かべるマコトは、肩で息をしながらタカシから目を逸らす。
「マコちゃん・・・・」
「おめー・・・・今日なんか変じゃねぇ?・・・・なんか、よくわかんねぇけどよ・・・っ・・」
 息を切らしながら、たどたどしくマコトが言葉を紡ぐ。その時、タカシは今日の自分がやり過ぎたことを悟った。
「こんなお前・・・・なんか・・・違ぇよ・・・」
 自分のモノにしたくてたまらない。けれどきっと、そんな気持ちはマコトには分からない。分からせようとも思わない。だからこそたまにやって来る、こんな衝動。
 でもその衝動でマコトのプライドを根こそぎ取ってしまったら、きっと二度とマコトと対峙することは出来なくなることを、タカシはよく分かっていた。
「マコちゃん・・・・」
  両腕を伸ばして、マコトの頭を抱く。
 マコトの髪に顔をうずめて、ぎゅっと抱く腕に力を入れる。
「ごめんね・・・・・お遊びが過ぎました。許してちょんまげ」
「おめー、真剣味がたりねぇぞ」
 文句を言いながらも、マコトはタカシの口唇を受け入れる。マコトがタカシの腰に手を回すと、タカシがマコトのベルトを外した。
 指を滑り込ませ、愛しげに愛撫を繰り返す。
「ん・・・っ・・・」
 お互いのモノをまさぐり合いながら、音がする程に舌を絡ませ合う。タカシが腰を浮かし、マコトがタカシの下を剥ぎ取った。
「マコちゃん・・かなり・・・・手順・・・っ・・」
 覚えてきたんじゃない?と続けるつもりが、言葉にならない。マコトは身体をかがめると、タカシの胸をタンクトップの上から吸った。
「・・・ふ・・・っ・・・・んん・・っ・・・」
 京一の時とは違う感触。何が違うといわれても、説明はできないけど。
 もっと舌を絡ませて、もっと熱くし合って、心臓を引きずり出すほどに内側まで感じたい・・・と思う。タカシはマコトの手の感触に目を閉じながら、少し熱くなった目頭に、自嘲気味の笑みを浮かべた。
「ん・・・あっ・・・・マコッ・・ちゃん・・・?」
 マコトがシートの下に手を入れて、片側のシートを倒す。フラットになったそこにタカシの身体を横たえ、マコトが今まで自分の手でいじっていたそれを口に含んだ。
「っ・・・・あっ・・・」
 あまり声を出すと、さすがに外の連中に聞こえるかもしれない。自分は別に構わないけど、それで中断されたら嫌だなと、タカシは意識的に声を殺した。
 マコトの舌は、熱くまとわりつくように、じれた刺激をくれる。自分がこんなに感じてるってことを、マコトはきっと知らないに違いないとタカシは思った。
 マコトだけがくれる刺激や甘さや切なさを、倍にして返せたら。
 きっとこんなに狂いそうになりはしなかったのだろう。
 それでもいつか。きっといつか・・・。そんな思いを胸に秘めながら、タカシは汗ばむ手でマコトの髪をぎゅっと握り締めた。
「あっ・・・は・・・・あははははは!」
 限界まで高ぶったそれを弄ばれながら、タカシは声を上げて笑い出す。マコトはそんなタカシから口を離して顔を上げると、変なものを見るような目つきで呟いた。熱気がこもる車内に、低く響くマコトの声。
「タカシ・・・お前、本当に・・・・変だぞ・・・?」
「マコちゃんが・・・上手になったから・・・じゃない・・・っ?」
 首を一度捻って、マコトが再びタカシのそれの先端を口に含む。歯で噛むように窪みを刺激すると、タカシが喉を反らして立てた片膝を開いた。
「んあ・・・っ・・・・ふ・・・っく・・」
「あ、こっち忘れてたし・・・」
 マコトが言いながら、タカシの後ろに舌を入れる。そのままタカシの下半身を持ち上げて、背中の下に自分の膝を入れてきた。
「・・・・っん・・・・・そ・・こ・・・っ・・・」
 そのまま指と舌で、既に息づいているそこをほぐすように湿らせる。タカシは、熱い吐息に喘ぎ声を逃がしながら、自分の後ろをなぶるマコトを見上げた。
「は・・・っ・・・・・マコッ・・ちゃん・・・・」
「・・・ん?・・・・っ・・・なんだよ・・・」
 指先で内側をこするように撫でる。タカシの背中が小刻みにひきつった。
「あ・・・もう・・・いいから・・・っ・・・・・・来・・て・・・・っ・・・」
「・・・どうしよっ・・・かなぁ〜・・・」
 実はかなりさっきのことを根に持っていたようである・・・と、思わずタカシは苦笑い。しかし、マコトはタカシの足を開くと、そのまま上にのしかかってきた。
「なんちゃって・・・っ・・・」
 下半身を割って入ってくるマコトの背に爪を立て、タカシが口唇を噛む。マコトのそっちはタカシがそこまで触らなかったにもかかわらず、かなりの成長具合で、タカシが少し痛みに顔を歪めた。
「マコッ・・・・ちゃん・・・は・・・・」
「・・・あん?・・・っ・・・なん・・だよ・・・・?」
 奥までゆっくりと侵入する。マコトがタカシの締め付けに、深呼吸を繰り返す。
「気持ち・・・いい・・・・っ・・・?」
 タカシは、汗の浮かんだ顔であどけない笑みを見せる。そんなタカシに、マコトが一瞬動きを止め、タカシを見下ろした。マコトの汗が一粒、タカシの胸に落ちる。
 問い掛けるタカシの大きな瞳。マコトはそんなタカシの目に、思わず顔をほころばせて言った。
「ば〜か。・・・・気持ちいいに決まってんだろ・・・・」
 その途端、ただの19歳に戻るタカシの顔。マコトがそのまま更に深く入り込むと、タカシはその細い身をシートの上に投げだして笑い出した。
「あはははははははっ!!」
「ばか。うるせーんだよおめー。外の奴が起きたらどうすんだっツーの」
「だって、マコちゃん・・・あははっ・・・あ・・・んっ・・・」
 マコトが黙れといわんばかりに腰を使いはじめる。タカシは右腕をマコトの背にかけながら、笑い声とも喘ぎ声ともつかない声を断続的にあげはじめた。







 「思いっきり揺らしたよねぇ・・・」
「揺らしちまったかもなぁ・・・・」
 半裸状態のマコトの胸の上に顎を乗せたまま、タカシはぼんやりと呟いた。
 きっちり2回もイッてしまった後になって、日が傾いていることに気付いた二人。車は揺れ放題、声は上げ放題。冷静になって考えてみると、外の連中が気付かない訳がない。
 マコトは車のカーテンを開けるのが怖いと頭を抱え、タカシはそんなマコトを面白そうに見ていた。
「これで今日からマコちゃんは、Gボーイズのキング・オブ・キングって言われるナリねぇ〜」
「なんだそりゃ!?」
 マコトはタカシに突っ込みながら、とりあえず汗ばんだ身体に脱ぎ捨てたTシャツを着る。
 カーテンに手をかけ、離す。手をかけ・・・離す。そんなマコトをニヤニヤしながらタカシが横目で眺めた。
「ああああ!!めんどうくせぇ!!」
 バッ!!!
 マコトが一気にカーテンを引く。・・・・・と、そこには誰もいなかった。
「どういうことだ・・・?」
 マコトが車のドアを開けて外へ出る。人影は・・・無し。さっきまで、距離はあったものの、Gボーイズの面々が寝転がっていたはず。マコトが首を捻りながら、その方向へ歩いていくと、タカシもそれに続いて外へ出た。
「あいつら、お前一人を置いていなくなったりするのか?」
「うんにゃ」
 タカシはふるふると首を横に振る。と、マコトが足を止め、ある一点を見つめた。
「あ・・・・・」
「あ・・・・・」
 それにならって、タカシも足を止め、呟く。今までいたところから建物の角を曲がって数メートルの地点に、黄色い装束の固まりがあった。
 無言でタカシが空を見上げる。そして地面を見下ろす。
 さっきまでの日陰と、今の日陰。傾いていく日の強さに、寝ながらにして避難をした黄色いモノたちの群れがそこにはあった。
「あははははははは!!!!」
 途端、はじけたように笑い出す二人。すると、寝ていた中の数人が目を覚ました。
「あれ?キングどうしたんすか?・・あ、マコトさんも・・・」
「ぎゃはははは!!!」
 マコトはお腹を抱えて苦しそうに笑い転げる。タカシはその場にしゃがみこむと、いつもののほほん顔に戻って呟いた。
「んー。みんな、ずーーーーーっと寝てた訳ぇ?」
「え?・・・あ、俺たち寝てたっすか?」
「ぎゃはははは!!!」
 その答えに、またマコトが死にそうなくらいに笑いはじける。タカシは片方の眉をあげると、困ったねぇとでも言いたげに口唇を突きだした。
「こ・・・こいつら・・・これじゃあガードになんねぇぞ・・・・。お前に何かあっても・・・絶対寝てるって・・・」
 笑いでひくつく腹を抱えて、マコトがタカシに囁く。すると、タカシはそれは大丈夫と言うように、微笑んで返した。
「それはいいのぉ〜。だって、どうせ俺のこと殺せるのなんて、マコちゃんだけでしょ?」
「え?」
 笑い泣きの顔でマコトが見返す。
「だから、へ・い・き」
 マコトはポカンとタカシをただ見返している。まだ分かってないんだなぁと、タカシは心の中でほくそ笑んだ。一体いつになったら分かってくれる日が来るんだか・・・。
 とりあえず、今日も夜がまたやってくる。だから滑り込もう、いつ明けるとも知れない夜に。
 マコトにいつもの不敵な笑みを投げ、タカシは黄色い固まりの中に歩きながら、寝転がる群れに向かって言った。
「はぁ〜い。いちにのさんで起きなかった人は、鼻からカレーうどんを食べるのよ〜ん!・・・はい、いち、にの、さんっ!!!」


 全員が、即座に起きました。



−暗転−
更に、更に、更に続く・・・らしい??










今回は裏キリリクを練り込んでの書き上げ。
ちょっとメンタル部分を重視。
これがないと、続きがねぇ・・・。