平成の養正訓 




2007年3月 被団協新聞3月号

 水ぬるむ春なれば花の噂に浮き立つ頃なれど、3月末の東京判決、如何ならんと心騒ぐなり。大阪、広島、名古屋地裁は何れも国の認定審査の基準、適切ならず、改むべしと判決せり。然るに厚労省は否定されし審査基準、誤りなしと控訴す。
 医学的証明困難な残留放射線内部被爆の被害が公に認められたるは今回の集団訴訟が初めてで、世界の医師、学者、人々に核兵器が長く人間を殺し続ける危険と脅威を知らせた功績は計り知れず。被爆者、人間国宝にして世界の宝なるゆえんなり。



2007年2月 被団協新聞2月号

 如月に思うは新米医師の頃、深夜往診の最も多き月なりしこと。震えながら患家に着けば、意識なく半身麻痺の主人囲みてなす術なき家人の様、今も変わらず。救急車などなき時代なり。夜明けを待ちてリヤカーに患者をのせ、路上で血圧を測り強心剤を注射して、病院まで生かせて送るが医師の責務なりき。
 救急車、救急病院の整いし現在も、2月は脳梗塞と心筋梗塞の最も多き月たること昔と変わらず。早朝の排尿時が危険なれば、便所は必ず暖めおくべし。発作の前の備え、肝要なり。



2007年1月 被団協新聞1月号

 2007年の新年明けたり。できれば歳とらずに生きたしと願うが人情なれど、時は酷くも被爆者に一歳を加えて容赦なく過ぎ行く。されば我ら、一年減りし人生を密度濃く生きて埋め合わすべし。居眠りて過ごすも余生、猛く生くるも人生なり。
 憲法、変えて軍隊作らば近代兵器数多必要となり、軍事予算増え、社会保障費減額されて、被爆者、老人など弱者の生活、困難になること、戦争体験にて明らかなり。安閑として時流に流されず。憲法守り、敢然と争う道を選ばん。


このページのトップへ