「被団協」新聞−1998.4月号より


「国家補償に賛同 厚生省に認定改善など要請 久保山愛吉さん墓前祭 第5福竜丸エンジン東京入り チェコで「原爆と人間展

「国家補償に賛同」70%−静岡 被爆者の訴えに首長ら署名

 「核兵器廃絶」と「原爆被害への国家補償」の要求について、地方自治体の首長、議長の賛同署名を求める運動で、静岡県原水爆被害者の会は3月1日までに、75自治体中53首長(70%)と50議長(66%)から署名を集めました。

この賛同署名運動は、95年度の日本被団協運動方針ではじめたもの。静岡の会は機会があるごとに自治体訪問をして賛同署名を訴え、96年中に34首長、31議長、97年中に19首長、18議長、今年は2月に1町議長からいただくことができました。

 地方自治体からの賛同署名は、国会請願署名と同じく、@核兵器廃絶条約の締結促進 A原爆被害への国家補償 B非核三原則の法制化 の3項目を求めるものです。  全国的には、三重県が96年に首長の賛同署名を100%集めたのをはじめ、今年3月末までに323首長、230議長からの賛同が寄せられています。 トップへ


厚生省に認定改善など要請

 日本被団協は3月17日、厚生省と9項目で交渉しました。日本被団協からは藤平事務局長ら6人、厚生省側は、岡田課長補佐ら4人でした。

 交渉のなかで明らかになったことの一つは、原爆症の認定にかかわることでした。原爆症を認定する医療審査会の委員は20人で、年4〜5回開いている、認定が遅すぎるという点では、専門医が2回欠席したら6カ月遅れるとか、弁護士がついている異議申し立てには回答を慎重にしているので時間がかかるなどのいいわけがありました。

*担当医に直接電話も

 DS86については、機械的基準にはしていない、「要医療性」などについて厚生省から直接担当医に電話で聞くこともある、松谷訴訟については情勢の変化がない限り上告を取り下げる考えがないなどと答えました。

 広島、長崎で行なわれる慰霊祭に参加する遺族を介助する人の費用を慰霊事業予算のなかから出せないかの問題では、検討すると答えました。

*簡素化は7月から

 小泉厚相が「原爆死没者追悼平和祈念館」について、建設を再検討するといったのは、建てないのではなく、重複を避けることでの再検討だといいわけしました。

 厚生省の1995年被爆者調査の結果については、5月ごろに調査委員会を開けるところまできたということでした。

 健康管理手当の更新手続きの簡素化は、7月実施になる見込みです。 トップへ


核のない21世紀へ運動つづける−久保山愛吉さん墓前祭で誓いのことば

 「原水爆の被害者は、私を最後にしてください」の言葉を残して亡くなった第五福竜丸の無線長・久保山愛吉さんの墓前祭は、日本宗教者平和会議の主催で、久保山さんの墓がある弘徳院で行なわれました。

 日本被団協の藤平典事務局長は「誓いのことば」で、「被爆体験を忘れよう、思い出すことを拒否して生きてきた」なかで、久保山さんの死に衝撃を受け、「被爆後十数年たって、やっと被爆者として自らを明らかにして被爆者運動に参加した」心境をのべ、久保山さん夫妻の遺言を果たすために核兵器廃絶を訴え続け、21世紀に引き継ぐと誓い、感動を呼びました。 トップへ


第五福竜丸のエンジン東京入り−船体と32年ぶりに再会

 和歌山市を2月20日東京・夢の島に向かって出発した第五福竜丸のエンジンは、途中大阪、京都、滋賀、愛知などで巡回展示をしながら3月1日のビキニデーにあわせて静岡・焼津入りし、2000人の集会参加者に歓迎されました。

 2日から18日まで神奈川県三浦市の三崎漁港で展示されて、3月19日に東京到着しました。

 15トントラックに積まれたエンジンは、100人を超す被爆者・都民と、50人近い報道陣に囲まれて午前10時、都庁第一庁舎正門前に到着。

 「第五福竜丸のエンジンを東京・夢の島へ都民運動」の主催で贈呈式が行なわれました。  東京までのエンジン移送を担当した和歌山県民運動の代表から、目録の贈呈うけた青島都知事は「平和を願う都民の核兵器廃絶への発信の拠点にしたい」と力強いことばで、船体との再会・保存を約束しました。

 このあとエンジンは、夢の島の第五福竜丸展示館そばに運ばれ、「お帰りなさい集会」を開いて待ち受けていた都民運動の人びとに迎えられて、31年ぶりに船体との再会を果たしました。エンジンは保存のための補修作業を経て一般公開は11月になる予定です。

第五福竜丸の船上で「第五福竜丸」の映画上映

 第五福竜丸展示館は3月7日、同船保存運動の契機となった「沈めてよいか第五福竜丸」の新聞投書30周年企画として、第五福竜丸の船上で映画『第五福竜丸』の上映会を開きました。

 同映画の監督を務めた新藤兼人氏もかけつけ、撮影の動機や当時の苦労話を紹介。普段は乗れない第五福竜丸に乗船し映画を観た人たちは、感動をあらたにした、などの感想を語っていました。 トップへ


チェコで「原爆と人間展」

 「原爆ドーム」の設計者、チェコ人のヤン・レツルをモチーフにした作品などで知られる広島出身の劇作・演出家の村井志摩子さんが、新作『アリサのヴァイオリン』のチェコ公演に合わせて、プラハ近郊の市で原爆パネル展を開き、大きな反響をよびました。

 パネル展は当初、2月27日から3月6日までの予定でしたが、あまりの反響のため9日まで延期。見学者は地元学校の生徒をはじめ若い人たちも多く、他の都市でも開催したいとの声も上がっているといいます。

 村井さんは、「原爆と人間展」パネルを自費で購入。公演準備で忙しいなかチェコ語の説明をつけ、展示後は現地に寄贈しました。 トップへ


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