「被団協」294号 2003年7月 

主な内容
1面 日本被団協総会開かれる 原爆症認定集団訴訟第3陣 日本被団協にマックブライド平和賞
2面 総会詳細 「核かくしかじか」
3面 中央行動―政府・政党へ要請 集団提訴の原告プロフィール
4面 相談のまど「長期入院で生じる特定医療費について」

日本被団協総会開かれる

 日本被団協第48回定期総会が6月4、5日の両日、東京・水道橋グリーンホテルで開かれ、39都道府県から115人が参加しました。
 総会は、2日間にわたって提案と議論が行なわれ、2002年度活動報告、2003年度運動方針、会計の決算・予算を承認し、新役員を選出。二つの決議を採択して無事終了しました。
 6日には、総会の新方針をうけて中央行動。全国から総会に参加した被爆者代表と首都圏の被爆者の約百人が終日、政府、政党、議員への要請にとりくみました。

▼決議要旨 「日本政府がふたたび被爆者をつくらない決意をこめて原爆被害への国家補償をおこない」「核保有国、とくにアメリカに核兵器廃絶をもとめる」ようにするために、「集団訴訟運動、国際市民会議、国連原爆展の三大運動が提起されました」「『被爆者はみんな原告』を合言葉に、かつてない広範な人々と連携し、原爆展、『聞きとり・語りつたえ』をはじめ、被爆の実相をいっそう大きく広げ、『基本要求』実現の旗を高くかかげながら」「命燃え尽きるまで悔いなくたたかいましょう」

原爆症認定集団提訴第3陣

 6月12日、集団提訴の第3陣として、広島27人、長崎12人、熊本6人がそれぞれの地裁に提訴しました。
 広島では、提訴期限の関係で9日に1人が提訴していたので、この日と合わせて28人。1陣からの提訴者は、合計で74人となりました。
*  *  *
【広島】雨の降るなか、裁判所に訴状提出をした原告や弁護団、支援者は、弁護士会館で、報告集会を開きました。
 原告は59歳から83歳までの被爆者で、0.5kmのC型肝炎から4.1kmの肺癌などで申請を却下された人たちです。集会では、「苦しんでいる被爆者の代弁をする意味でも、責任を持ってとりくむ」と、重住澄夫原告団長が声明を読み上げました。
【長崎】第1次の3人につづいて、57歳の胎内被爆者から90歳までの被爆者12人が提訴。合わせて原告は15人となりました。
 提訴後、原告と弁護団、長崎被災協は記者会見に望みましたが、まず1陣の提訴後に亡くなられた原告の市川さんに黙とう。裁判を通じて認定制度の抜本的な転換をめざすことを改めて決意し合いました。
【熊本】6人が提訴した熊本では、原告3人が雨のなか提訴行動に参加。提訴前に支援者七十人が参加して門前集会が開かれ、提訴後には記者会見。夜には報告集会が開かれました。

第1回弁論の日程
 4月の第1陣、5月の第2陣で提訴をした裁判の日程が、つぎのように決まってきました。
  長崎=7月2日午後1時10分
  名古屋=7月23日午前10時半
  東京=7月28日午後1時半
  大阪=8月8日午前10時半
  千葉=9月12日午後1時半
 弁護団はそれぞれの地裁で、1時間をとって弁論を行なうことにしています。

日本被団協にマックブライド平和賞

 日本被団協が、2003年度の「ショーン・マックブライド平和賞」を受賞しました。これは、国際平和ビューロー(IPB)が世界平和に貢献した団体・個人に授与している賞です。
 授賞式は8月7日午前11時から、長崎市内で行なわれます。
 受賞理由は、地道な語り部活動をはじめ、国連軍縮特別総会での証言など国際的な活動をつうじて、核兵器廃絶の国際世論を形成するうえで果たした役割の大きさを評価。在外被爆者、各国の核実験被害者との連帯など、世界的な視野での活動も注目されました。
 こうした日本被団協の活動にたいし、同賞は「被団協と日本の被爆者を称えるもの」で、「被爆者が健康で、長寿をたもち、ひき続き核兵器廃絶のために世論喚起の役割を果たすことを期待」するものとしています。

マックブライド平和賞とは?
 国際平和ビューロー(IPB)は、1892年に設立された国際的な平和団体で、ノーベル平和賞受賞団体です。1977年と95年の被爆問題の国際シンポジウムにも貢献。過去3度、日本被団協をノーベル平和賞にも推薦しました。
 ショーン・マックブライド平和賞は、IPB設立100周年の1992年に、IPBの議長・会長を長年務めたショーン・マックブライド氏の名を冠して創設されました。昨年度の同賞は、9.11テロへの報復戦争に米議会でただひとり反対したバーバラ・リー議員に贈られています。

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